更年期の動悸・不整脈は期外収縮?原因と対処法、危険なサインを解説

53歳の可南子さん(仮名)は、健康診断で不整脈の一つである「期外収縮」を指摘されました。気になって手首に指を当ててみると、確かにときどき「脈が飛ぶような」感覚があります。
更年期になってから、静かにしているときや寝入りばなに感じることが多く、「経過観察と言われたけれど、このまま放置していいの?」「心臓の病気だったらどうしよう」と不安が募っています。
更年期に不整脈・期外収縮が起きやすい原因の一つは「エストロゲン」の変動
更年期に期外収縮といった不整脈や動悸が起こりやすくなる背景には、女性ホルモンである「エストロゲン」の急激な減少があると考えられています。
エストロゲンは髪や肌の潤いを保つだけでなく、血管のしなやかさや自律神経の働きにもかかわるホルモンです。そのため、更年期に分泌量が大きく変動すると自律神経のバランスが崩れ、心拍のリズムにも影響を及ぼすことがあります。その結果、動悸や脈が飛ぶような感覚を自覚する場合があります。
ただし、こうした症状や状況が「更年期の影響だけ」とは言い切れません。ストレスや疲労、睡眠不足、喫煙、カフェインの過剰摂取などが引き金になるほか、甲状腺疾患や貧血、心臓の病気が関係している場合もあるためです。
そのため、期外収縮を指摘されたからといって「更年期によるものだから心配ない」と自己判断するのは避けましょう。

更年期の期外収縮は治る?起きやすい不整脈とそれぞれの予後
更年期に脈の乱れとして自覚されやすい不整脈には、「期外収縮」と「心房細動」があります。いずれも「動悸」として自覚することがある不整脈です。
期外収縮であった場合、心臓に病気がなく頻度も少なければ、治療を必要としないことが多いとされています。
一方、不整脈が心房細動であった場合は、状態により治療が必要なケースもあります。
脈が飛ぶ・抜ける《期外収縮》

期外収縮は、健康な人にもみられる比較的身近な不整脈です。
通常より早いタイミングで心臓が収縮し、そのあとに少し長い間隔ができることで、「脈が飛んだ」「一瞬止まった」と感じることがあります。
心臓に基礎疾患がなく、頻度が少ない期外収縮は、治療せず経過をみるケースも少なくありません。
ストレスや疲労、睡眠不足、喫煙、カフェインなどが引き金になっている場合は、生活習慣を見直すことで症状が軽減することもあります。
ただし、脈が飛ぶ回数が多い場合や、胸痛・息苦しさ・めまいなどを伴う場合は受診を検討しましょう。
脈がバラバラに乱れる《心房細動》

心房細動は、心房(心臓の上部)の興奮が不規則に起こり、脈のリズムがバラバラになる不整脈です。
動悸や息切れ、めまいなどが起こるほか、自覚症状がなく健診で見つかることもあります。
心房細動で注意が必要なのは、血栓ができやすくなることです。心房が十分に収縮できなくなると心臓の内部に血液が滞り、血液の塊(血栓)ができる場合があります。
できた血栓が脳の血管に飛ぶと、脳梗塞を引き起こす可能性があります。そのため、状態に応じて脈を整える治療や血栓を予防する治療などが必要です。
なお、心房細動は加齢とともに発症リスクが高まります。
どの不整脈か診断されていない場合は、「更年期によるもの」と自己判断せず、医療機関で心電図などの検査を受けましょう。
【更年期の危ない不整脈】受診を検討するサイン
不整脈には一過性のものと、すぐに治療が必要となる危険なものがあります。次のような症状がみられた場合は、受診が必要です。
【医療機関(循環器内科)への受診を検討すべき症状】
- 胸の痛み、圧迫感、息切れを伴う
- 脈が速く(目安として、安静時に100回/分以上)、リズムが不規則
- 脈拍が極端に遅く(目安として50回/分未満)、めまいや失神を伴う
- 不整脈の症状が頻繁に起こる、または長時間続く
- ご家族に心臓病の人がいる、または自分に心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺疾患などの持病がある
不整脈に加えて以下の症状が一つでも当てはまる場合は、命に関わる可能性があります。迷わず119番をして救急車を呼んでください。
【すぐに救急車を呼ぶべき症状】
- 突然の強い胸痛
- 10分以上続く胸の圧迫感・締め付け(冷や汗や吐き気を伴う、顎や左腕へ痛みが広がる)
- 強い息切れ・呼吸困難
- 意識障害(意識が遠のく、失神、反応が鈍い)
- 片側の手足の麻痺、ろれつが回らない(言葉が出にくい)などの脳卒中症状
更年期世代は「脈を取る」習慣で不整脈を早期発見!
脈の乱れを指摘されたら、自分で脈を測る「自己検脈」を日常に取り入れてみましょう。不整脈の早期発見に効果的です。
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《脈の測り方》
- 手首の内側(親指の付け根の少し下)にある動脈に、反対側の手の人差し指・中指・薬指の3本を軽く当てる
- 1分間の脈拍数を数える(30秒の測定値を2倍しても良い)。通常は60〜80回/分程度。
- 脈のリズムが一定かどうかを確認する

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不規則な脈を感じたら、日時や状況、体調をメモしておくと受診時に役立ちます。最近では、スマートウォッチなどでも脈拍数を計測できるものもありますので、活用してみるのも良いでしょう。
更年期のホルモン変動による動悸・期外収縮の対処法
更年期に動悸や期外収縮が気になる場合は、まず原因を確認することが大切です。そのうえで、ストレスや睡眠不足など脈の乱れにつながる要因を見直したり、更年期症状に対する治療を検討したりする方法があります。
生活の中で見直したいこと
脈の乱れが気になるときは、自律神経を整える習慣を送れているか見直してみましょう。
一例として、以下があげられます。
- 刺激物を控える:カフェインやアルコール、喫煙習慣を見直す
- 睡眠リズムを整える:睡眠時間を確保し、就寝・起床の時間をそろえる
- 軽い運動を続ける:ウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で
- 深呼吸を取り入れる:鼻から5秒吸い、口から10秒かけて吐く
すべてを一度に変える必要はありません。続けられそうなものから始めてみてください。

漢方やHRTという選択肢
脈の乱れに加えて、ほてりや不眠など更年期症状全体がつらい場合は、婦人科で相談するという選択肢もあります。
漢方薬は、更年期のさまざまな症状に用いられます。なかでも半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、のどのつまる感じや不安、動悸といった症状に用いられる処方です。体質によって合うものが異なるため、医師や薬剤師に相談しましょう。
HRT(ホルモン補充療法)は、減少したエストロゲンを補う治療法です。更年期症状の緩和が期待されますが、適応や副作用の確認が必要です。検討する場合は必ず婦人科を受診してください。

更年期の不整脈・期外収縮で不安なことは循環器内科に相談しよう
更年期にみられる不整脈の多くは自律神経の乱れにともなうもので、命に直結しないケースがほとんどです。一方で、なかには治療が必要なものもあります。
健康診断で指摘された場合や、動悸・息切れ・めまいが気になる場合、自己検脈で不規則な脈が続く場合は、まず循環器内科を受診しましょう。心臓に病気がないと確認できたうえで、更年期症状としてのつらさが続くようであれば、婦人科に相談するといった順番が安心です。
脈を知ることを習慣にして、この先も自分の体と付き合っていきましょう。
参考






