更年期の頭痛はなぜ起こる?片頭痛が悪化する理由と治療法

ズキズキ・頭が重い・痛み止めが効かない...40代からの頭痛が悪化!?更年期との意外な関係
  • URLをコピーしました!

「40代に入ってから頭痛が増えた」 

「もともと片頭痛があり、最近ひどくなった気がする……」

そんな悩みを抱えている方は少なくありません。

更年期は、女性ホルモンが大きく揺れ動く時期です。その影響で頭痛が起こりやすくなり、特に片頭痛は悪化することがあります。

この記事では、更年期に頭痛が起こる理由や、片頭痛が悪化する理由と閉経後の頭痛の変化、治療法、すぐに受診したい頭痛のサインを解説します。

目次

更年期に頭痛が増える理由

代表的な頭痛には、片頭痛と緊張型頭痛があります。1

片頭痛は、ズキズキと脈打つような痛みが起こり、吐き気や、光や音への敏感さを伴うことがある頭痛です。

緊張型頭痛は、頭を締めつけられるような痛みが続く頭痛で、首や肩のこりを伴うことも多いとされています。

このうち、女性ホルモンの影響を特に受けやすいのは片頭痛です。片頭痛には女性ホルモンのエストロゲンが大きく関わっており、男性より女性に2〜3倍多いと報告されています。

更年期は閉経をはさんだ前後5年間を指し、卵巣の働きが低下して、エストロゲンが急激に変動しながら減っていく時期です。なかでも、月経周期が乱れ始めてから閉経後1年ごろまでの時期は、片頭痛への影響が最も大きいと考えられています。

さらに、更年期に起こりやすい不眠や気分の落ち込みも片頭痛の引き金になります。いくつかのきっかけが重なりやすい時期といえるでしょう。2

もともと片頭痛がある人は、更年期に悪化する?

もともと片頭痛がある方は、更年期に頭痛の回数が増えることがあります。

閉経に向かう時期は女性ホルモンの変動が大きく、それまでコントロールできていた片頭痛でも、発作が増えて治療が難しくなる場合があるためです。2)

閉経後は、エストロゲンが低い状態で落ち着くため、片頭痛が軽くなる人もいます。ただし、改善しない人や悪化する人もいるので、注意が必要です。特に、両側の卵巣を摘出して手術による閉経を迎えた場合は、自然閉経と比べて片頭痛が改善しにくいとされています。3閉経後も頭痛が続く場合は、我慢せずに相談しましょう。

更年期の片頭痛にホルモン補充療法(HRT)は有効?

HRTは、減っていく女性ホルモンを補う、更年期障害の治療です。ほてりなどには効果がありますが、片頭痛への効果は報告が一致しておらず、悪化したという報告もあるため、一人ひとりの状態に合わせて選ぶ必要があるとされています。

HRTを行う場合は、片頭痛を悪化させないよう女性ホルモンの濃度をできるだけ安定させることが大切とされています。そのため、飲み薬よりも貼り薬やジェルなどの経皮製剤を使い、エストロゲンの投与量を低用量にする方法が勧められています。

ただし、治療方法は一人ひとりの健康状態に合わせて医師が判断します。その際は、片頭痛があることや前兆の有無を必ず医師に伝え、薬の種類などを相談しましょう。HRTを始めてから前兆が新しく出たり、増えたりした場合も、早めに相談してください。2)

更年期の片頭痛にはどんな治療法がある?

片頭痛の治療には、痛みが出たときに抑える治療と、発作を起こりにくくする予防の治療があります。

痛みが出たときは、市販の痛み止めのほか、医療機関では片頭痛専用の薬(トリプタン製剤など)が処方されることもあります。 

ただし、頭痛のたびに痛み止めを飲んでいると、かえって頭痛が増える「薬剤の使用過多による頭痛」につながることがあり、薬を使う日数が増えやすい更年期は特に注意が必要です。1)

痛み止めを飲む日が週に2日を超える状態が続く場合や、効きにくくなってきたと感じる場合は、自己判断で飲み続けず相談しましょう。

片頭痛の回数が増えたり、仕事や家事などの日常生活に支障が出たりしている場合は、予防療法を検討しましょう。

予防療法には、毎日飲む薬のほか、月に1回などの間隔で注射するCGRP関連抗体薬があります。4更年期は片頭痛が慢性化することもあるため、症状に応じて予防療法を取り入れることが大切です。2)

また、頭痛のガイドラインでは、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、五苓散(ごれいさん)などの漢方薬も紹介されています。4)

漢方薬は体質に合わせて選ぶものなので、医師や薬剤師に相談しましょう。

すぐに受診したい危険な頭痛

頭痛の中には、脳の病気などが原因で起こるものもあります。次のような頭痛には注意が必要です。

すぐに救急車を呼んでほしい頭痛

  • 突然起こった、今まで経験したことのない強い頭痛(吐き気や嘔吐を伴うこともある)
  • 首の後ろから後頭部にかけて、突然激しい痛みが起きた
  • 頭痛とともに、手足が動かしにくい、しゃべりにくい
  • 頭痛とともに、意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍くなる

これらの症状は、くも膜下出血など命に関わる病気の可能性があります。ためらわずに119番に連絡してください。5

早めに受診したい頭痛

  • これまでの頭痛と、痛み方や起こり方が変わってきた
  • 50歳を過ぎてから、初めて頭痛が起こるようになった
  • 頭痛が日ごとに悪化している
  • 横になる・立ち上がるなど、姿勢によって頭痛が大きく変わる
  • 咳やいきみ、運動をきっかけに頭痛が起こる
  • 頭を打ったあと、しばらくして頭痛が続く

これらの症状は、脳の中の病気が隠れていることがあるため、早めに脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。4)

なお、頭を打ったあとの頭痛がだんだん強くなる場合や、手足の動かしにくさ、意識の変化を伴う場合は、様子を見ずに、すぐに受診してください。

更年期の頭痛を和らげるためのセルフケア

頭痛があるときは、「頭痛ダイアリー」をつけるのがおすすめです。

頭痛が起きた日や状況、飲んだ薬を記録しておくと、自分の引き金を見つけやすくなり、受診のときにも役立ちます。記録用紙は日本頭痛学会のホームページからダウンロードできます。スマートフォンのアプリで記録するのも手軽です。

片頭痛のセルフケア

片頭痛の引き金には、ストレスや疲れ、睡眠の不足やとりすぎ、月経周期、天候の変化、アルコールなどがあり、人によって異なります。4)

更年期は、不眠や気分の落ち込みなど、更年期の症状も片頭痛の引き金になります。リラクセーションや認知行動療法などは、更年期の症状と片頭痛の両方によいとされているので、更年期の症状のケアも心がけましょう。2)

緊張型頭痛のセルフケア

緊張型頭痛は、首や肩のこりを伴うことが多い頭痛です。ストレスをため込まないことやリラクセーション、首や肩を動かす頭痛体操なども効果的とされています。1)

更年期の頭痛は何科を受診する?

頭痛で仕事や家事に支障が出ている、頭痛の回数が増えている、痛み止めが効きにくくなったと感じる場合は、頭痛外来や脳神経内科を受診しましょう。 

受診の際は、頭痛が起きた日や痛み方、飲んだ薬、月経との関係などを伝えると、診断の手がかりになります。

片頭痛の治療を続けてもよくならず、ほてりや不眠など更年期障害の症状もある場合は、婦人科と連携して治療を進めることが大切とされています。2)頭痛の治療を受けている方は、そのことを婦人科でも伝えましょう。

更年期の頭痛は引き金を知ってケアし、つらいときは受診を

更年期は、エストロゲンが大きく変動するため、頭痛が増えたり、もともとの片頭痛が悪化したりしやすい時期です。閉経後に軽くなる人もいますが、続く人もいます。

つらい頭痛を、更年期だからと我慢する必要はありません。

痛み止めの飲みすぎは、かえって頭痛を増やすことがあります。頭痛が頻繁に起こる場合は、頭痛外来や脳神経内科に相談しましょう。

HRTを受けている方や検討している方は、片頭痛があることを医師に伝えてください。

不眠や気分の落ち込みなど、更年期の症状のケアも頭痛対策につながります。

自分の頭痛のパターンを知り、つらいときは早めに医療機関を頼りましょう。

参考文献

  1. 日本頭痛学会「頭痛について知る」(片頭痛/緊張型頭痛/薬剤の使用過多による頭痛/2次性頭痛) 
    ↩︎
  2. 下畑敬子, 下畑享良. 更年期女性の片頭痛の特徴と治療. 日本頭痛学会誌. 2024;51(1):90-93. 
    ↩︎
  3. Ripa P, et al. Migraine in menopausal women: a systematic review. Int J Womens Health. 2015;7:773-782. 
    ↩︎
  4. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修『頭痛の診療ガイドライン2021』(CQ I-2 二次性頭痛を疑う危険信号、CQ I-10 頭痛ダイアリー、CQ I-14 漢方薬、片頭痛の予防療法) ↩︎
  5. 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう〜救急車 必要なのはどんなとき?〜」 ↩︎

ズキズキ・頭が重い・痛み止めが効かない...40代からの頭痛が悪化!?更年期との意外な関係

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

「TRULY」LINE公式アカウント

医師・専門家による更年期のお役立ち情報&

LINE限定クーポン・イベント情報を定期的に発信中!

この記事を書いた人

十枝明日香のアバター 十枝明日香 【看護師】

総合病院にて13年、職場を変え乳腺外科クリニックで勤務。その間、婦人科疾患の手術と重症妊娠悪阻により入院を経験。3児の子育て中で、自分自身が女性のキャリアや働き方の壁に突き当たり、仕事・育児・夫婦関係について、楽しみながら模索している最中。女性特有の悩みに左右されることなく、日々ご機嫌さんに過ごすことが当面の目標。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

<専門家の皆様へ>
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。

目次