腟トレーニングの5つの効果とは?やり方とNG行動を解説

「くしゃみで尿が漏れる」「お風呂上がりにお湯が流れ出る」
40〜50代に多いこれらの悩みは、骨盤底筋の衰えが原因かもしれません。
骨盤底筋とは、骨盤の底で膀胱・子宮・直腸をハンモック状に支える筋肉群で、更年期のエストロゲン低下によってその弾力と収縮力が失われていきます。
この進行予防が期待できるのが、腟トレーニングです。
この記事では、更年期に腟トレーニングが必要な理由と、今日から取り入れやすいやり方を解説します。
なぜ更年期に「腟トレーニング」が必要なの?
更年期に腟トレーニングが必要なのは、エストロゲンの低下が骨盤底筋に直接影響を与えるためです。
閉経前後からエストロゲンが急激に低下すると、骨盤底組織のコラーゲンが減り、筋肉の弾力と収縮力が失われていきます。その結果、膀胱・子宮・直腸を支えきれなくなり、尿漏れや腟の緩みが起こりやすくなるのです。
放置すると、臓器が腟から脱出する「骨盤臓器脱」のリスクも高まります。
出産・加齢・閉経のほか、慢性の便秘や肥満も骨盤底への腹圧を増す危険因子です。まずは手軽に始められる腟トレーニングから取り組んでみるのはいかがでしょうか。
腟トレーニングで得られる5つの効果
腟トレーニングには、日常生活の質を高めるさまざまな効果が期待できます。
「少し恥ずかしい」と感じる方もいるかもしれませんが、更年期のセルフケアとして、ぜひ前向きに取り入れることをおすすめします。

1.尿漏れ・頻尿の不安を軽減し、外出を楽しくする
腟トレーニングに取り組むことによって、更年期に起こりがちな尿漏れや頻尿の心配が少なくなるかもしれません。
というのも、腟トレーニングを含む骨盤底筋訓練(PFMT)は、腹圧性尿失禁の一次治療として確立されているためです。1
複数のランダム化比較試験でも、治癒または改善の割合が最大97%に達することが報告されており、トイレの心配なく旅行や運動を楽しめるようになる可能性があります。2

2.腟の締まりを改善し、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)をケア
腟トレーニングによる骨盤内血流の改善が、GSMの症状緩和をサポートできる可能性があります。
GSMとはエストロゲン低下によって外陰・腟・下部尿路に生じる症状の総称で、腟の乾燥・かゆみ・性交痛・頻尿などが代表的です。3
更年期以降に多いこれらの不快感に、腟トレーニングが役立つかもしれません。

3.骨盤周りの血流を促し、冷えや生理トラブルを緩和
骨盤底筋を含むインナーマッスルを動かすことで骨盤内の血流が改善し、下半身の冷えや骨盤まわりのだるさが和らぎやすくなります。
更年期以降に多いこうした不調は、腟トレーニングで骨盤内の血流を促すことでケアできる可能性があります。
就寝前におこなうと冷えを感じにくくなるという声も多く聞かれるため、冷えに悩む方は就寝前に取り入れると良いかもしれません。
4.体幹が安定し、ポッコりお腹の解消や姿勢改善に
腟トレーニングで骨盤底筋を鍛えることで、体幹の安定とポッコリお腹の解消、姿勢改善が期待できます。
骨盤底筋・腹横筋・多裂筋(たれつきん:脊柱を支える筋肉)・横隔膜は「インナーユニット」として体幹を支えており、骨盤底筋の機能低下が骨盤前傾とポッコリお腹につながるためです。
体型の変化が気になる世代にとって、腟トレーニングは内側から美しさを支える心強い味方となるでしょう。
5.パートナーとのセクシャルウェルネスの向上
腟トレーニングで骨盤底筋の収縮力が向上することで、性交時の感覚改善や不快感の軽減に役立つかもしれません。
更年期以降のQOL(生活の質)を高めるポジティブなケアとして、ぜひ取り入れてみてください。
初めてでも続けやすい腟トレーニングのやり方
まず「どの筋肉を動かすか」を理解することが大切です。
感覚としては「腟でストローを吸い上げるように内側に引き上げる」のが目安です。
お腹・お尻・太ももの力は抜き、内側だけをそっと引き上げる感覚で試してみましょう。

【寝ながら】腰への負担が少ない「基本のヒップリフト」
- 仰向けで膝を90度に曲げ、足を腰幅に開いて足裏を床につける
- 鼻から息を吸い、吐きながら骨盤底筋を締めてお尻を持ち上げる
- 肩・腰・膝が一直線になったところで1〜2秒キープする
- ゆっくり下ろして力を緩める
- 10~15回を2~3セットくり返す
お腹やお尻に力を入れすぎず、内側をそっと引き上げる感覚を意識しながらおこないましょう。
【座りながら】骨盤底筋の感覚を掴みやすい「タオルトレーニング」
- フェイスタオルをきつく丸めて直径約3cmの筒状にする
- 恥骨から肛門にかけて当たるよう床に置き、その上に座る
- 背筋を伸ばして骨盤を立てた姿勢を保つ
- 「おならを止める感覚」で肛門を締める→「尿を止める感覚」で腟を締める→尿道を内側に引き込むように締めるの順で締める
- 締めた状態を2〜3秒キープし、ゆっくり緩め、これを3〜5回繰り返す
- 慣れてきたら、キープ時間を4〜6秒に伸ばし、1日3〜5セットを目指す
正しい姿勢(骨盤を立てた状態)を意識することで、骨盤底筋が活性化しやすくなります。
【ペットボトルを活用】内転筋・体幹も同時に鍛える
水を3〜4割入れた500mlペットボトルを立った状態で股に挟み、腟を締めながらゆっくり呼吸するだけです。
骨盤底筋だけでなく体幹・内転筋も同時に刺激できるのが特徴で、料理中や洗い物中など立ち作業の「ながらトレーニング」として取り入れやすいのもメリットです。
続けるうちに骨盤底筋を締める感覚が身につき、ボディラインの変化を実感できるかもしれません。
効率アップ!腟トレーニング効果を高めるグッズとプラスアルファのケア
腟トレーニングの効果をより高めるために、合わせて取り入れたいケアがあります。
トレーニングと組み合わせることで、骨盤底筋への働きかけがより効果的になる可能性があります。
インナーボールで「筋肉の動き」を意識する
インナーボールとは腟内に入れることで、骨盤底筋を締める感覚が掴みやすくなるトレーニンググッズです。
重みを感じながら「締めるべき場所」を意識できるメリットがあります。
腟トレーニングになれておらず、「どこに力を入れたら良いかわからない」という方にとって有効となるかもしれません。
実際の使用感は、以下の記事を参考にしてみてください。

腟まわりの「保湿・マッサージ」で柔軟性を高める
更年期の腟粘膜は乾燥・萎縮しやすいため、デリケートゾーン専用の保湿ジェルやオイルで柔軟性を保つことでトレーニング効果が引き出しやすくなります。3)
乾燥したまま筋肉を動かすと摩擦や不快感につながることもあるため、保湿は腟トレーニングを快適に続けるための土台ともいえます。
入浴後など肌が柔らかくなったタイミングでケアするのがおすすめです。

正しい「姿勢」と「深い呼吸」で骨盤底筋を活性化させる
骨盤底筋と横隔膜は連動しており、吐く息に合わせて骨盤底筋を締めることを意識するとトレーニングの質が上がります。
猫背は骨盤底筋を緩める原因にもなるため、日常の姿勢改善も合わせておこなうことが大切です。
椅子に座るときは骨盤を立てて背筋を伸ばす、立つときは重心を均等にかけるなど、日常のちょっとした意識が骨盤底筋の働きを助けるでしょう。
これは逆効果!NGな腟トレーニング
これから腟トレーニングを取り入れるなら、逆効果になる方法は避けたいところです。
以下の点に注意しながらおこなうと安心です。
- いきむ(お腹に力を入れすぎる): 腹腔内圧が高まり骨盤底筋が下方に押し下げられ、骨盤臓器脱の悪化リスクもある
- 呼吸を止める: 息こらえは腹腔内圧を上昇させるため逆効果となり得る
- アウターマッスルへの力み: お尻・肩・太ももに力が入ると骨盤底筋への刺激が分散して非効率的になってしまう
- 体調不良・生理中の無理な実施: 骨盤内充血時は不快感が増す可能性がある
- 骨盤臓器脱・術後・腟炎の急性期: 自己判断を避け、必ず医師に相談してからおこなう
腟トレーニングは一生ものの健康習慣!続けやすい方法を取り入れましょう

腟トレーニングは、更年期の尿漏れや冷え、姿勢の崩れなど、気になる不調を根本からケアできる習慣です。
特別な道具も場所も必要なく、就寝前の3分からすぐに始められます。
毎日少しずつ続けることで骨盤底筋が鍛えられ、日常生活の質が上がっていくのを実感できるでしょう。
セルフケアで改善が難しい場合は、婦人科または泌尿器科への相談も視野にいれておくことをおすすめします。

参考文献






