【監修医師】髙橋怜奈
更年期世代には家族や仕事、介護などさまざまな悩みが降りかかってきますが、そのなかの1つとして代表的な問題といえばパートナーとの関係について。特に、性生活においては、若い頃とは身体的にも精神的にも、大きな違いを感じている人も増えているのではないでしょうか。とはいえ、”第二の人生“をより豊かにするためにも、性生活の充実は欠かせないところです。
そこでお話を伺ったのは、渋谷文化村通りレディスクリニックで院長を務める髙橋怜奈先生。現在は産婦人科医YouTuberとしても活動しており、女性の病気だけでなく、性や恋愛の悩みなど、幅広い発信を続けて人気を得ています。今回は、更年期世代のパートナーシップにおいて大切なことや大人のセックスにおける注意点などについて教えていただきました。
更年期に入ると、女性の場合は潤滑液が出づらくなってしまうので、性行為をしたい気持ちがあっても、性交痛が原因でできないという方がいらっしゃいます。あと、閉経をすると膣の柔軟性がなくなって乾燥しやすくなるので、萎縮性腟炎になってしまい、挿入の際に出血したり、切れてしまったりすることもあります。男性の場合だと、ED(勃起不全)になってしまう方が多いです。
女性なら産婦人科、男性なら泌尿器科に行ってみてください。受診に来てくださる方は、みなさんすごく申し訳なさそうにお話されるのですが、もっとカジュアルに相談していただいて大丈夫です。「50歳過ぎて性行為をしているのは恥ずかしいことなんじゃないか」と思っている方も多いようですが、決して変なことではありません。ホルモン補充療法や潤滑ジェル、女性モルモンの局所投与や軟膏、レーザー治療など、いまはいろんな方法があるので、一緒に解決したいと思っています。
同じように、男性の場合もEDで受診するのを恥ずかしいと感じている方が多く、ネットで薬を買う方がよく見られます。ただ、その裏に高血圧や糖尿病などの病気が潜んでいる可能性もあるので、まずは医師の判断を仰いでいただきたいです。
いまは病院のホームページや医師のSNSなどで、対応している診察内容を見ることができる場合が多いので、まずは事前にチェックするのがオススメです。私たちのクリニックでも「セックスカウンセリング」と書いていますが、自分の相談したいことと合っているのかを確認できたほうが行きやすくなると思います。
あとは、何でも相談できるかかりつけ医を見つけるという意味でも試していただきたいのは、自治体の検診などを利用して、いくつかの病院を回って様子を見ることです。つらい症状が出ているときに探すのは難しいので、特に症状がない検診のときに探すのがオススメ。医師にも合う合わないがあるので、いろいろと回ってご自身に合うかかりつけ医を見つけていただきたいです。
まずは、セックスレスになった原因を探ることが重要です。それがどちらかの身体的な問題であれば、医療機関に相談してください。もし、メンタル的な部分での問題ということならば、一緒にカウンセリングを受けてみるというのもいいかなと思います。
女性は更年期になると、若い頃に比べて膣の柔軟性がなくなるので、狭くなったり、乾燥しやすくなったりします。なので、男性に気を付けていただきたいのは、いきなり挿入をしないことです。女性側も自分が濡れづらくなっていると感じているのであれば、ホルモン補充療法や潤滑ジェルを取り入れて欲しいなと思います。
一昔前だと潤滑ジェルは“大人のおもちゃ”のような扱いをされていたので購入するのが恥ずかしかったかもしれませんが、最近はドラッグストアでも医薬部外品として扱われているほど。いまではイメージも変わってきたので、痛みを我慢するのではなくそういうものを積極的に使っていただきたいです。
たとえば、夫婦生活が長い方の場合、「察して欲しい」とか「わかっているはず」というふうになりがちですが、長年付き合っているからといって昔と同じ考えのままではありません。同じ人であっても、世代ごとに考え方も変わっていくものなので、その都度お互いの気持ちをチェックするのは大事なことです。
あとは、1人で抱え込んでしまわないこと。医療的な介入によって解決できることもあるので、何かあれば気軽に何でも相談していただきたいです。そのうえで、パートナー同士しっかりと言葉でコミュニケーションを取っていただくように心がけてください。
他の記事も読みたい方へ
記事ページTOPはこちら・このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。
・専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。