【更年期は性欲が低下?】思い込みを捨てて自由に楽しむ大人の性

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こんにちは。リレーションシップコンサルタントの此花わかです。

「性欲」とは人間の基本的欲求のひとつで、「性行動(セックス・マスターベーションなど)をしたいと思う欲求」のことです。性ホルモン(エストロゲン・テストステロン)の変化や、脳への刺激など様々な要素が影響していると言われています。

この「性欲」は加齢とともに低下するというのが定説ですが、本当でしょうか?

目次

「性欲がない・セックスしたくない=更年期だから」は間違い?

更年期に起こる性ホルモンの減少は女性の身体に変化をもたらすことがありますが、実は更年期と性欲の関係についてはまだ不明なことが多く、世界の性科学者たちは統一した見解に至っていません。

ただし、更年期および閉経後の女性のなかには性的に興奮しなくなったり、セックスに興味を失ったりする人も少なくありません。

その理由のひとつに「性交痛」があります。エストロゲンの減少が膣への血液供給を低下させることもあり、そのために、膣が乾燥して性交痛を引き起こすことがあるのです。性交痛は潤滑剤を使用することで改善されることもありますが、何かしらの疾患を抱えている可能性もあるので産婦人科医に診察してもらいましょう。

 他にも、更年期女性の性欲減退には以下が原因になることもあります。1)

・排尿障害
・睡眠障害
・うつ病または不安障害
・ストレス
・薬物療法
・健康問題

更年期そのものではなく、更年期に起こりやすい問題が性欲を低下させるのです。

 更年期で性欲が向上する女性もいる!

性交痛をはじめとした身体的・精神的な問題が、更年期世代の女性の性欲を低下させることはあっても、それらの問題を抱えていない女性のなかには更年期に性欲が向上する人もいます。

「妊娠の不安が減った」「育児を終えてパートナーとの親密な関係を楽しめるようになり、心の余裕ができた」などの気持ちの変化が理由として考えられます。

他の理由として、更年期以降の女性ホルモンが減り、相対的に男性ホルモンが増えるという身体的な変化も関係していると言われています。

【更年期=性欲がなくなる】は文化が作ったジェンダーバイアス!?

興味深いことに、アメリカでいま最も注目されている性科学者のひとり、エミリー・ナゴスキ博士は更年期女性の性欲の減退の大きな原因にジェンダーバイアスもあると指摘しています。

ナゴスキ博士は下記2つのジェンダーバイアスが更年期女性の性欲に影響を及ぼしていると考えています。

①   エイジズムによるネガティブなボディイメージ/エイジズム

とりわけ日本ではエイジズムや女性蔑視がひどく、「アラフィフ」「オバ見え」「BBA」「アラフィフがやったらNGな服装」「オバ見えするイタい髪型」「劣化」などと、中年女性を卑下する言葉が溢れかえっています。

テレビ、広告、SNS、メディア……これほど“若い女性”の表象で埋め尽くされている社会に住むと、年を取ることをネガティブに捉えて自分の身体に自信がなくなってしまいます。

セックスは自分を解放しパートナーと一緒に育むコミュニケーションなのだから、自己肯定感が低くなると楽しめなくなってしまうからです。

②   中高年女性のセクシュアリティが社会で“ないもの”とされている

家父長制やエイジズムに毒された社会では、中高年女性のセクシュアリティは“ないもの”とされています。その証拠にドラマや映画で中高年女性のセックスシーンやラブストーリーをあまり見かけませんよね?

最近、やっと性的マイノリティの存在が可視化されてきましたが、私たちの文化は基本的に“若い”男女二元論や異性愛が前提となっています。

中高年女性は妻や母としての役割分業しか与えられず、中高年女性の恋愛やセックスは「はしたない」「いい年をして」「イタい」などと揶揄されるのが現実。

このように、セクシュアルな中高年女性のロールモデルが社会にないからこそ、「年をとったら性欲はなくなるべきだ」と思い込んでいる女性自身も少なくないのです。2)

更年期女性は「~べき」「~らしさ」から解放されよう!

私たちはそれぞれに自分のセクシュアリティ(性のあり方)をもっています。

違法でない限り、自分の性のあり方に“社会規範”を適用する必要はありません。文化や社会に刷り込まれた「~代女性は~であるべき」という刷り込みから自由になりましょう。

私たちはいくつになってもセックスを楽しんでもよいし、あるいは、嫌ならセックスを楽しまなくてもよいのです。セクシュアリティの自己決定権は自分だけにあることを忘れないでください。

セルフプレジャーを通して自分の身体とコネクトする

ジェンダーバイアスやネガティブなボディイメージから解放されるには、セルフプレジャーがオススメです。セルフプレジャーとはマスターベーションのことではありません(もちろん、自分の性器に触るのはよいことです!)。

自分の身体を褒めて慈しみ、身体の感覚を高めること。スマホをオフにしてひとりだけの時間を作り、セルフプレジャーを時々してみましょう。

鏡の前に全身裸で立ち、つま先から頭の先まで優しく撫でたり、こすったり、様々な強さで触っていきましょう

② 自分のカラダで素敵なところを見つけて、認識してください。あなたのボディのどこがセクシーでしょうか?

③ 手だけではなく、いろいろなモノを使って肌が感じるセンセーションを楽しみましょう。ふわふわとした羽やフリンジの鞭など、SMプレイに興味がなくとも、肌にどんなふうに触れるかトライしてみて新しい感覚を味わいましょう。

五感を高めるためにセルフプレジャーの間は、好きな音楽を聴いたり、アロマキャンドルを灯したり、ボディクリームやデリケートゾーン用のジェルをつけたりするのもオススメ。(こういった方法はパートナーとのセックスにも使えますよね)

更年期の性生活は【ココロとカラダ】で楽しむ

セルフプレジャーを通して自分の身体を知り、性の境界線(されて嫌なこと)を率直にパートナーに伝えることで、よりよいパートナーシップを育むことができます。

自分の身体を美しいと思えることで初めて、パートナーのカラダも美しいと思えるからです。

そもそもセックスとは、オーラルセックスや挿入をする単純なプロセスではなく、お互いの心、身体や感覚を大切にし、愛することではないでしょうか?

例え更年期で性欲が低下したとしても、自分自身やパートナーへの愛がある限り、多様な性のあり方を楽しむことができると思うのです。

【参考】

※1:Sex and Menopause – Web MD

※2:Confidence & Joy, “Q&A: Sex and Aging Solo Sex Follow Up“ – Dr. Emily Nagoski

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この記事を書いた人

此花わかのアバター 此花わか 【リレーションシップコンサルタント】

ジャーナリスト
リレーションシップコンサルタント

アメリカの性とリレーションシップのコーチングスクールで学ぶ。セックスポジティブな社会を目指す「セクポジ・マガジン」を発信中。FRaU 、Newsweek、Huffpost、SPA!、FRONT ROW、GLITTERなどで執筆。

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