内科医が解説! 男性更年期障害の症状と発症しやすいタイプとは?

記事更新日: 2022/11/25 TRULY編集部

【監修医師】久住英二

  • 近年、女性の更年期に対する認知度と関心は高まっていますが、一方でまだまだ知られていないのが男性更年期障害(LOH症候群)について。男性ホルモンであるテストステロンの減少によって、体や心にさまざまな不調が現れる症状のことを指しています。少しずつ注目され始めてはいるものの、男性を対象に行ったTRULYのアンケートでも、「男性に更年期があるのは知っているがよくわからない」という声が多数上がりました。


  • そこで今回お話を伺ったのは、内科医として幅広い患者の悩みと日々向き合っているナビタスクリニック理事長の久住英二先生。男性と女性の更年期の違いや男性更年期障害の症状、発症しやすい人の特徴などについて教えていただきました。


  • Q.男性更年期には、主にどのような症状がありますか?

  • まず挙げられるのは、疲れやすい、気分が落ち込みやすい、太った、性機能の低下など。時期としては、女性の閉経期と同じくらいで40代半ばから50代半ばくらいに発症する方が多いです。ただ、男性の場合は、女性と違って閉経のような象徴的なイベントがないので、どこからどこまでを男性更年期障害の対象にしていいのかという指標がありません。しかも、女性の更年期と比べて研究が進んでおらず、解析も難しいので、一般の方のみならず医師のなかでもあまり認識されていないのが一番の問題だと感じています。


  • Q.では、「男性更年期障害かも?」と思ったとき、何科を受診すればよいか教えてください。

  • 肉体的な不調であれば、まずは内科でいいと思います。気持ちが落ち込み気味という方は、心療内科か精神科でもいいですが、ハードルが高いと感じる方は、内科でも問題ありません。うつ病を患っている方でも、患者の9割は最初に内科を受診すると言われているほどです。

  • 一般的に病院には行きにくいという方も多いですが、具合が悪いと感じたら、まずは気軽に受診してください。そこでどうすればいいかという相談をするだけでも、気持ちが楽になる方はたくさんいらっしゃいますので。実際、男性更年期障害だと診断される一番のメリットは、「なるほど、そういうことだったのか」と納得がいくこと、自分の症状を受け入れることができるようになることだと考えています。


  • Q.病院選びで注意したほうがいいことはありますか?

  • 医師との相性も大事になってくると思うので、自分に合う先生に出会えるまでいくつかの医療機関を回っていただくのもいいのではないでしょうか。病院選びで悩んでいる場合、ネットでの評価などよりも、自分が信頼する友達のクチコミを参考にするのがオススメです。そのほうが自分にとっていい医師と出会う確率は高いと思います。


  • Q.発症した場合、どのような治療をすることになりますか?

  • 現時点でもう一つの大きな問題は、男性更年期障害は、キチンと検査して治療しないと大きなデメリットが生じるため、気軽に万人が受けられるような安全な治療法がないことです。女性の更年期障害に関しては、ホルモン補充療法によって、ほてりやのぼせ、抑うつなどの症状は改善されますし、骨密度や筋肉量の低下を防ぎ、心筋梗塞など血管の老化に伴って増えるする病気も起きにくくなります。

  • ところが、男性の更年期障害においては、テストステロンを補充して、一部の方には症状の改善は見られますが、デメリットとして心筋梗塞のリスクが増すことが示唆されています。女性の更年期障害の治療のように、疑ったら、まずは試してみて、症状の変化で続けるか否か決めたら良い、というような気軽な治療法が確立されていません。


  • Q.テストステロンが多いことは、なぜよくないのでしょうか。

  • テストステロンは、心臓の血管のプラーク(いわゆるコレステロール溜まり)を成長させ、血管を狭くします。また、血小板の働きを高め、赤血球の産生を増加させる働きがあるので、心臓の血管が詰まりやすくなります。また、血圧は上げる作用があり、コレステロールに対する影響は、下げるとする報告と上げるとする報告の両方があり、定まっていません。

  • また、女性の乳がんがエストロゲンにより成長するように、男性の前立腺がんでは、テストステロンが成長を促進します。男性の更年期障害に対するテストステロン補充が前立腺がんのリスクを増加させるか否か、まだ長期的な観察データが少ないため、結論が出ていません。一方、前立腺がんの治療として、男性ホルモンの働きを抑える薬で治療して、人為的に男性更年期のような状態にすると、元気がなくなり、高齢者の方では認知症の症状が現れやすくなります。活力や認知機能を維持するためには、適度のテストステロンは必要でしょうけど、その人に必要な量で十分であり、過剰な補充は他の病気のリスクを上昇させます。


  • Q.発症しやすいタイプというのはありますか?

  • 男性更年期障害において、肥満、喫煙、糖尿病、高血圧など生活習慣病のある方、性的にアクティブでない方、落ち込みやすい性格の方というのはなりやすい傾向にあるように感じています。生活習慣病をしっかりコントロールし、十分な睡眠や適切な栄養を摂り、性的活動(性交渉や自慰)を行うことがテストステロン濃度を高め、予防的に働くと考えられています。


  • Q.男性更年期障害ではAGAやEDの症状が出る方も多いですが、薬の有効性や安全性について教えてください。

  • AGAの治療薬とされているミノキシジルは、もともと高血圧治療のための薬でしたが、いまは発毛に効果があることがわかっています。テストステロンを抑える働きがあるので、それによってEDのような症状が出ることもあると言われていますが、使う量さえ間違えなければ副作用はほぼありません

  • EDの治療薬に関しても、よほどのことがない限りは問題になることはないですね。作用時間も長くはありませんし、安全性においても極めて高いと思います。男性更年期障害では、まったく性欲が無くなってしまう方もいますが、歩かないと歩けなくなるように、使わないと機能を失ってしまうことも。そうならないためにも、定期的に性行為をすることが大事になってきます。

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【監修医師】久住英二

ナビタスクリニック内科医師。医療法人社団鉄医会理事長。1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。現在は立川・川崎・新宿駅ナカ「ナビタスクリニック」を開設し、日々診療に従事している。

・このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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