【男性の追っかけ漏れ・ちょい漏れ】骨盤底筋トレーニングで改善

トイレのすぐ後なのに尿漏れ!? 泌尿器科医師が解説 お悩み解消筋トレ
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「トイレのすぐ後なのに少し漏れてしまった」

「ズボンに尿漏れのシミが……」

実は若い世代でもこのような排尿直後の少量の尿漏れ、いわゆる「追っかけ漏れ」で多くの男性が悩んでいます。しかし、なかなか相談できなかったり、病院へ受診できなかったりと一人で悩まれているようです。

今回は男性の追っかけ漏れの原因や対策について、専門家である泌尿器科医師が詳しく解説します。

目次

30代・40代でも起こる「追っかけ漏れ・ちょい漏れ」とは?

追っかけ漏れ・ちょい漏れの正式な名称は、「排尿後尿滴下」と言い、便器から離れたあとに意図せず尿が出てしまうことを指します。

男性の場合には、「排尿を済ませてスラックスのチャックを上げた後で、少量の尿が出てしまい下着やスラックスを汚してしまう」と聞くと具体的にイメージしやすいかもしれません。ごくわずかな量の漏れですが、時に下着やズボンを濡らして汚してしまうこともあり、尿シミができてしまうと他人の目も気になることもあり、男性にとっては不快な症候の一つです。

2023年に日本排尿機能学会が行ったインターネット調査では、50歳以上では3人に1人以上が、30・40代でも5人に1人以上が、追っかけ漏れ・ちょい漏れの症状があるとされています。

男性にちょい漏れ・追っかけ漏れが起こりやすい理由

排尿に関わる筋肉として尿道括約筋があります。尿道括約筋は、男性特有の臓器である前立腺の直下に存在します。排尿時には尿道括約筋がゆるみ、尿が膀胱内から尿道内に流出します。そして、排尿を終えると尿道括約筋が再び固く閉じられて膀胱から尿道への尿の流出を食い止めます。後述する加齢や肥満、前立腺の病気などの原因により尿道や尿道括約筋に支障をきたすと尿漏れが生じます。

そして、男性は女性と比べて尿道が長く、尿道に湾曲した部位があり、そこに尿が残りやすいとされています。チャックを閉めたり、ズボンを直したりしようとして、体を前に屈めることで、排尿後に尿道に残った尿が出てくることで、ちょい漏れや追っかけ漏れが生じるとされています。

また、排尿の際に尿道の一部が、下着のゴムやズボンなどで圧迫されていると、尿道内に尿が残りやすくなるとされています。

➀加齢による筋力低下

膀胱や直腸を支える筋肉や靱帯を総称して骨盤底筋とよびます。骨盤底筋は尿道括約筋や肛門括約筋と協働して、尿や便が漏れない様に尿道や肛門を閉鎖する機能を担っています。

加齢により骨盤底筋の筋力が弱くなると、尿道括約筋の締りが緩くなり、尿道に残る尿が増えてしまい、ちょい漏れや追っかけ漏れが生じやすくなるとされています。

➁肥満

最近の研究では、肥満など生活習慣病、メタボリックシンドロームが、尿漏れなどの排尿トラブルの一因と考えられています。

内臓脂肪で膀胱が圧排される物理的刺激や、動脈硬化により膀胱や尿道への血流が低下することで、機能が低下してしまい、尿漏れなどの排尿トラブルの原因になるとされています。

➂前立腺肥大などの病気

ちょい漏れ・追っかけ漏れは、病気が原因であることもあり注意が必要です。特に、男性特有臓器である前立腺の影響は大きいとされています。

前立腺は膀胱に隣接し尿道を取り巻く様に存在しています。前立腺は加齢に伴い肥大し、肥大した前立腺で尿道が圧迫されたり、膀胱が刺激されることにより、様々な排尿症状が生じます。

ちょい漏れ・追っかけ漏れも前立腺肥大症の症状の一つとされています。

前立腺直下には尿道括約筋があるので、前立腺の手術で尿道括約筋がダメージを受けて、尿漏れが生じることもあります。

他にも、末梢神経にダメージを与える糖尿病や、脊髄の病気である脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアにより、排尿を制御する神経が障害を受けて、尿漏れを起こすことがあります。

ちょい漏れ・追っかけ漏れに3つの改善策

ちょい漏れ・追っかけ漏れで困っている場合は、泌尿器科や医療機関への受診をお勧めしますが、尿漏れで受診するのは気が引けるという方もいらっしゃると思います。この中の方法を試してみるのもお勧めです。

1)骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋を鍛えるトレーニングである「骨盤底筋体操」、ちょい漏れ・追っかけ漏れの対策として有効とされています。

骨盤底筋を鍛えることにより、尿道の締りが改善し、尿道内に残る尿を減らすことができます。骨盤底筋だけでなく、骨盤内のインナーマッスルを鍛えられるため、運動やダイエットにも有効とされています。1日5分でも良いので継続してみましょう。

立ったままできる尿漏れ体操

1.足を肩幅に開いて立ちます。手を前に出し、テーブルや壁につけます。

2.肛門の周りの筋肉をギューっと締めて、1分間のうち5〜10秒間キープします。

3.残りの時間は、体の力を抜き、全身をリラックスさせます。

4.このサイクルを2〜3回から始め、慣れてきたら徐々に増やしていきましょう。

寝ながらできる尿漏れ体操

1.仰向けに寝て、足を肩幅に開き、膝を軽く曲げて立てます。(腰が反らない様に注意しましょう)

2.お尻や内ももに力が入らないように、肛門の周りの筋肉を締めて、1分間のうち5〜10秒間キープします。

3.残りの時間は、体の力を抜き、全身をリラックスさせます。

4.このサイクルを2〜3回から始め、慣れてきたら徐々に増やしていきましょう。

「締め方が分からない」そんな時は?

骨盤底筋は速く収縮する速筋と、ゆっくり収縮する遅筋で構成されます。骨盤底筋体操では、まず骨盤底筋をしっかり収縮させ、その後リラックスし筋を弛緩させるメリハリが非常に重要とされています。

肛門や尿道を締める感覚がわかりづらい際には、排尿中や排便時に、実際に尿や便を止めてみるのも有効です。尿や便を止めることで、尿道括約筋や骨盤底筋の締り方が感覚的にわかります。

また、会陰部(陰茎の根本付近)を触りながら体操を行うと、骨盤底筋の収縮を確認することができます。

2)排尿時の工夫

尿道の構造上、立った状態で排尿すると、尿道に尿が溜まりやすくなってしまいます。そのため、洋式便座で座った状態で用を足すと、ちょい漏れ・追っかけ漏れの予防になるとされています。

また、前立腺肥大症がある方は、立った状態での排尿に比べ、座った状態での排尿の方が残尿が少なく、尿の勢いも良いとの論文報告もあります。具体的には、座った状態で陰茎をしっかりと下向きに伸ばし、尿を出し切るようにすると良いとされています。

また排尿後に、会陰部から陰茎、尿道口にかけて指先でしごくことにより、尿道内に残った尿を絞り出すのも有効とされています。乳搾りの要領で尿を絞りだすため、ミルキングとも呼ばれます。

3)生活習慣の改善

前述した様に、肥満やメタボリックシンドロームは、ちょい漏れ・追っかけ漏れなど排尿トラブルの原因となります。

日常の食生活や運動習慣など生活習慣を見直すことで、排尿トラブルの予防や改善につながります。また、尿漏れの原因として糖尿病や神経疾患が隠れている場合もあります。定期的に健診を受け健康管理を行うのも重要です。

対策と泌尿器科受診で尿漏れの悩みから解放!

今回は男性のちょい漏れ・追っかけ漏れについて解説しました。

何となく尿漏れと言えば女性のイメージが強いかもしれませんが、若い世代から悩んでいる男性も少なくありません。尿漏れは男女共通の悩み。ぜひ女性の尿漏れについても知ってみて下さい。

そして尿漏れはぜひ泌尿器科で相談を。お伝えしたように、尿漏れの原因に病気が隠れていることもあります。

女性読者の方で、もし家族など身近な男性が尿漏れに悩んでいるようでしたら、泌尿器科への受診を提案してみてください。

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この記事を書いた人

小澤迪喜のアバター 小澤迪喜 【医師】

医学博士
日本泌尿器科学会認定専門医
日本メンズヘルス学会テストステロン治療認定

2010年国立大学卒業。泌尿器科医として、急性期病院に勤務し、泌尿器がんや尿路結石などの泌尿器科一般疾患の診療に従事。
2021年からは、一般内科クリニックで院長を務め、生活習慣病や泌尿器科疾患の診療を行っている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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