発毛治療専門医が解説! 女性の薄毛を引き起こす原因と治療方法とは?

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女性の身体は、加齢や女性ホルモンの影響を大きく受けるものですが、なかでも多くの女性が気にする症状として挙げられるのは薄毛や抜け毛。頭髪の状態は、第一印象や見た目を大きく左右するだけに、女性たちにとっては大きな悩みの種となっています。

そこでTRULYがお話を伺ったのは、23年間で51万人もの治療を行い、女性専門の発毛治療において第一人者でもあるクレアージュ エイジングケアクリニックの総院長・浜中聡子先生。今回は、女性が薄毛になる原因や治療方法などについて教えていただきました。

Q.女性の薄毛には、どういった症状がありますか?

まず、女性のなかで一番多いのが、頭頂部から薄くなり、全体的にボリュームが低下していく「びまん性脱毛症」。その次は、同じところでずっと分けていたり、ポニーテールなどで引っ張ったりすることによって毛根がダメージを受ける「牽引性脱毛症」。そのほかにも、産後に抜け毛が急増する「分娩後脱毛症」、男性ホルモンが原因となる進行性の薄毛で、「AGA(男性型脱毛症)」の女性版とされる「FAGA(Female Androgenetic Alopecia)」というのがあります。また、季節的に抜けやすいのは、夏の終わりと春先。ただし、真冬はあまり抜けないので、それで1年の間にだいたい相殺されています。

Q.女性と男性の薄毛には、どのような違いがあるのでしょうか。

男性の場合は、男性ホルモンのなかでも「ジヒドロテストステロン(DHT)」という物質の影響で症状が進むことが多いとされています。あとは、遺伝子の影響。特に、父方よりも母方の遺伝が強いですね。

一方、女性の場合は、加齢とともに頭皮の血流が悪くなり、女性ホルモンの分泌量が低下することで薄毛が進行。男性に比べて女性のほうが、メインの原因を特定しづらいと言われています。遺伝に関しては、男性と同じく母方の影響を受けやすいですが、薄毛よりも髪のクセや白髪になる早さが遺伝するようです。あとは、女性には男性にはない出産や閉経があるので、そういったライフイベントによる後天的なはっきりとした違いを感じることはあります。一般的に「男性に比べて女性はいくつになっても髪の毛があるもの」とされているので、そういう社会的な概念に縛られているのは女性のほうが強いですね。

Q.更年期が頭髪に与える影響についても、教えてください。

産後にも同様のことが言えますが、女性ホルモンの急激な低下によって、抜け毛が増え、髪質も悪化します。閉経前後で特徴的なこととしては、前髪の伸びが悪くなること。美容院に行ったときに、前髪だけ切られなくなって気が付く方が多いようですが、フロント部分には顕著に出やすくなっています。

更年期に入った女性のなかに、「髪の毛が減って、ヒゲや体毛が濃くなったから男性ホルモンが増えているのでは?」と聞いてくる方がよくいらっしゃいますが、これは女性ホルモンが減ったことで相対的に男性ホルモンの影響が大きくなっているだけ。心配だとは思いますが、間違った思い込みを持ってしまう方が多いようです。

Q.どのくらい進行してきたら、病院に行けばいいのでしょうか。

女性は髪の毛が長い方が多いので、どうしても抜け毛が目に付きやすくて「病気かも?」と勘違いしまう方がたくさんいらっしゃいます。ただ、通常1日に80~100本くらいは抜けるものなので、それくらいなら問題ありません。とはいえ、ご自身が気になるようなら、ひどくなる前に1度早めに受診していただくほうがいいかなとは思います。

必要がないのに治療を勧めるようなこともありませんので、とりあえず第三者の客観的な意見を聞いてみること、そして治療に関する情報を事前に知っておくことは非常に大切です。

Q.その場合、何科を受診すればよいですか?

皮膚科に行かれる方が多いようですが、皮膚科では円形脱毛症などの一部の治療にしか対応できず、保険適応外の治療ができない場合もあります。そのため、できれば頭髪治療専門の外来で、カウンセラーだけでなく、きちんと医師が対応してくれるところが望ましいですね。

ただ、都心に比べると地方には女性専用の頭髪外来は少ないのが現状。そういったこともあり、当院ではオンライン診察や電話診察も行っています。現在、患者さんは北海道から沖縄までいらっしゃいますが、最近は遠方に住んでいても対応できる病院は増えているので、そういうサービスを利用するのもオススメです。

Q.主な治療内容についても、教えてください。

女性で一番多いのは、外用薬。これを1日1回塗ることで、頭皮の血流と毛根の働きがよくなり、毛が生えてくるようになります。個人差はありますが、だいたい6~7か月ほどで約7割の方に改善が見られているようです。外用薬だけであれば1か月に16,500円程度ですが、患者さんによっては内服薬も処方するパターンがあるので、治療内容によって費用は変わってきます。

Q.年齢や体質によって、効果に違いはありますか?

当院には10代~90代の幅広い年齢層の患者さんがいて、「年を取っていると無理ですか?」とおっしゃる方がよくいますが、「薬の効果に年齢はあまり関係ありません」とお話しています。80代でも効果が出る方はいますので、年齢で諦めることなく、気になったときから治療を始めていただきたいです。

ただ、甲状腺の機能が不安定な方、貧血がひどい方、婦人科系の疾患がある方、胃腸疾患を長年抱えている方、糖尿病の方などのように、ほかに疾患があるとそれが足を引っ張ることはあります。近年だと、新型コロナウイルスで重症化した方は後遺症による抜け毛が見られましたが、頭髪の状態を良くするためには、まず身体が健康であることも大切な要素です。髪の毛というのは、その人の生活や健康状態が出る“健康のバロメーター”の一つであると言えると思います。

お話をうかがった先生

監修医師

浜中聡子 先生

クレアージュ エイジングケアクリニック総院長。
医学博士。
国際アンチエイジング医学会(WOSSAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、米国先端医療学会(ACAM)専門医[などの資格を取得。

発毛治療のほかに、頭髪に関する悩み(抜け毛・薄毛・白髪など)から更年期・女性ホルモンを専門として女性が抱える悩みに寄り添い、精神と身体の両面からケアする懇切丁寧な診療で多くの女性から高い支持を得ている。

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