更年期に体重が減ることはある?知っておきたい原因とケア

更年期と聞くと、「太りやすくなる時期」というイメージを持つ方が多いでしょう。そのため、特別な理由がなく体重が減ってくると、「何か病気なのでは」「このまま痩せ続けたらどうしよう」と不安になる方も少なくありません。
実際、更年期にはホルモンバランスの変化によって、体重が増える人もいれば、減る人もいます。多くは一時的な体の変化ですが、なかには医療機関での確認が必要なケースもあるのです。
この記事では、更年期に体重が減る理由、注意したいサイン、無理のないケア方法をわかりやすく解説します。ご自身の体調と照らし合わせながら、ゆっくり読み進めてみてください。
更年期に体重が減るのは珍しい?
「更年期になると太りやすくなる」と世間ではそう言われています。「中年太り」という言葉があるように、基礎代謝が落ちてお腹周りに脂肪がつく……そんな悩みが多いのは事実です。
一方で「特別なダイエットをしていないのに体重が減っていく」「食欲がなくて痩せてしまった」という悩みを抱える方もいらっしゃいます。
体重の増減は、どちらであっても「体からのサイン」です。数字だけに一喜一憂せず、背景にある体の変化に目を向けることが大切です。
体重が増えて悩んでいる方のケースについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

更年期に体重が減少する主な原因
更年期(閉経前後5年間の約10年間)は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下し、心身にさまざまな変化をもたらします。
一般的には代謝低下による体重増加が目立ちますが、「体重減少」が起こる理由には、以下のようなことが考えられます。
自律神経の乱れによる胃腸機能の低下
女性ホルモンの分泌を調整している「視床下部」は、自律神経の司令塔でもあります。
そのため、更年期のホルモン変動によって自律神経が乱れると、胃腸の働きも影響を受けやすくなるのです。
具体的には、以下のような不調があらわれやすくなります。
- 胃もたれ
- 食欲不振
- 消化不良
- 下痢
「食べたい気持ちはあるのに量が食べられない」「食後すぐにお腹を下す」状態が続くと、栄養が十分に摂取・吸収されず、体重が少しずつ減ってしまうことがあります。

精神的なストレスと「うつ状態」
更年期は、体の変化だけでなく、生活環境が変化しやすい時期でもあります。
- 親の介護
- 子どもの独立
- 仕事での責任の増加
こうした出来事が重なり、心に負担がかかりやすくなります。
ホルモンバランスの乱れとストレスが重なると、不安感や意欲の低下があらわれ、食欲が落ちてしまうことが少なくありません。
「食事が楽しく感じられない」「食べるのが億劫」と感じる状態が続くと、結果として体重が減少してしまうのです。
加齢による筋肉量の減少(サルコペニア)
体重が減ることは「痩せたい」と感じる方にとって一見良いことのように思えるかもしれませんが、大切なのは「何が減っているか」です。
加齢とともに、体は筋肉を作り維持する力が弱まります。とくに運動不足の場合、脂肪よりも重い「筋肉」が落ちることで、体重が減ることがあるのです。1
筋肉量が減少し身体機能が低下した状態を「サルコペニア」と呼びます。[1]
サルコペニアになってしまうと、疲れやすくなって活動量が減り、その結果食欲がわかなくなるという悪循環に陥りやすく、やつれたような痩せ方をしてしまいます。

更年期以外の原因の可能性は?体重減少がサインになる病気
体重減少の原因として考えられるのは、更年期による変化だけではなく病気が隠れている可能性もあります。
自己判断は危険ですので、当てはまる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
更年期の体重減少で、注意深く見極めたいのが「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」です。2
更年期障害と症状が似ているため、見分けが難しい病気のひとつです。
<共通する症状>
- 体重減少
- 動悸
- 多汗(ホットフラッシュに似ている)
- イライラ
- 疲れやすさ
- 不眠
一方で、「食欲」には決定的な違いがあります。
更年期障害で痩せる場合は「食欲不振」を伴うことが多いのに対し、バセドウ病では代謝が異常に高まるため「いくら食べても痩せていく(食欲は旺盛)」というのが特徴です。
「すごく食べているのに、どんどん痩せていく」という場合は、更年期障害と決めつけず、一般内科や内分泌内科などで相談することをおすすめします。

糖尿病
糖尿病では、体が糖をうまくエネルギーとして使えなくなり、脂肪や筋肉が分解されることで体重が減少します。[1]
「のどが渇く」「尿の回数が増える」といった症状も特徴です。
消化器系の病気
体重減少を引き起こす代表的な病気には、以下のような消化器系のものも考えられます。
- 胃炎、胃十二指腸潰瘍:慢性的な胃の炎症や潰瘍によって食欲が落ち、体重が減少する
- 消化器がん(胃がん・大腸がん・膵臓がんなど): がん細胞が増殖するために大量のエネルギーを消費したり、消化吸収機能が障害されたりすることで体重が減る3
胃痛や貧血、便の異常、黄疸など、体重が減ること以外にあらわれる症状に着目して、あてはまるものがあれば早めの受診を検討しましょう。
受診の目安|更年期世代が注意すべき体重減少
更年期の不調による体重減少であれば、ホルモン補充療法や漢方薬、生活習慣の改善で快方に向かうことが多いですが、中には注意が必要な体重減少も隠れています。
半年で体重の「5%以上」減る
注意が必要な「体重減少」の目安の一つとして、「6ヶ月で体重の5%以上の減少(意図しないもの)」という基準があります。4
たとえば体重50kgの方であれば、ダイエットもせず半年で2.5kg以上減ってしまった場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
「最近、ベルトの穴がゆるくなった」「服のサイズが合わなくなった」といった変化も重要なサインです。
理由がないのに減り続ける
「ダイエットをしているわけでもないのに、体重計に乗るたびに数字が減り続けている」という状態が続いている場合は、医療機関で相談してみましょう。
更年期だからと自己判断せず、まずは内科や婦人科で検査を受け、体の状態を確認することが大切です。検査で異常がないとわかれば、それだけでも安心材料となります。
40代で体重減少を経験した女性の体験談
40代後半の美香さん(仮名)は、特にダイエットをしていないのに半年ほどで体重が3kgほど落ちました。
最初は「食べる量が減っただけかな」と気にしていませんでしたが、服がゆるくなり、周りから「痩せた?」と言われることが増えて不安に。ネット検索では病気の可能性も出てきて、心配が膨らんだといいます。
思い切って婦人科を受診したところ、更年期によるホルモン変化と、睡眠の質の低下が影響している可能性があると説明されました。医師から食事・睡眠・運動のアドバイスを受けて生活を整えるうちに体重は安定し、「早めに相談してよかった」と感じたそうです。
体重減少が気になるときのセルフケア
病気によるものではなく、更年期特有の胃腸の弱りやストレスが原因である場合、生活習慣を整えることで体重と体力を回復できるかもしれません。
少量ずつでも栄養価の高い食事を
胃腸の働きが弱っているときに、一度にたくさんの量を食べるのは逆効果です。1日3回の食事にこだわらず、1日5〜6回に分けて少しずつ食べる「分食」を取り入れてみてください。
とくに意識して摂りたいのはタンパク質です。筋肉の材料となる肉、魚、卵、大豆製品を、毎食少しずつ取り入れましょう。消化の良い半熟卵や豆腐、白身魚などがおすすめです。
食欲がないときは、栄養補助食品(ゼリー飲料やプロテインドリンク)を活用するのもひとつの方法です。
漢方薬で体のバランスを整える
更年期の不調には、漢方薬が相性が良いといわれています。「検査では異常がないけれど、なんとなく不調で痩せてしまう」という場合、体質や症状に合わせた漢方薬が助けになることがあります。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう): 疲れやすく食欲がない人向けで、胃腸の働きを高め、気力・体力を補う
- 六君子湯(りっくんしとう): 胃の水分代謝を良くし、胃もたれや食欲不振を改善する
- 加味逍遥散(かみしょうようさん): 不安やイライラが強く、精神的なストレスから食欲が落ちている人におすすめ
漢方薬は体質に合うものを選ぶことが重要です。薬局や病院で相談するようにしましょう。
ストレスケアと「頑張りすぎない」選択
「食べなきゃいけない」というプレッシャーが、さらなるストレスを生んでいるかもしれません。
更年期は、体が「休んでほしい」とサインを出している時期です。以下のように自分をいたわる時間を意識的に作りましょう。
- 家事の手を抜く
- 睡眠時間を優先する
- 好きな香りの入浴剤を使う など
自律神経が整えば、自然と胃腸の動きも回復し、食欲も少しずつ戻ってくることもあります。焦らず、ゆっくり自分の症状と向き合いましょう。
更年期の体重減少は放置しないで対策しましょう
更年期は太りやすい時期である一方、自律神経の乱れや消化機能の低下、ストレスなどによって「体重減少」に悩む方も決して少なくありません。
痩せていくこと自体に過度な恐怖を感じる必要はありませんが、そこには甲状腺や消化器の病気などが隠れている可能性があることだけは覚えておいてほしいポイントです。
「食べているのに痩せる」「短期間でガクッと減った」などのサインが見られたら、まずは内科で検査を受けることを検討しましょう。
病気でないことがわかれば、それは体が変化に対応しようとしているサインです。焦らず、消化の良い食事と休息をたくさんとって、ご自身の体を労ってあげてください。
参考






