《薬剤師に聞く》女性&男性更年期のリアル対策あれこれ
40代が近づくと、女性も男性も気になってくる【更年期】。
最近はテレビやインターネットなどで、更年期に関する色々な情報が発信されています。
しかし、もっと身近な「他の人はどんな対策をしているのか」という、リアルな話を知りたいと思いませんか?
今回は、調剤薬局勤務での経験のある薬剤師が出会ってきた、女性更年期&男性更年期に悩む人々とのエピソードをご紹介します。
実際に悩みのある人はどんな対策を取っているのかを知って、自分なりの更年期対策に役立てて下さい。
女性の更年期対策
Q:女性は更年期対策をされている方も多いと思いますが、一般的にはみなさんどのようなことからまず始められる傾向がありますか?
そもそも、男女で更年期症状が出るタイミングや症状は異なります。
女性の一般的な更年期は平均的な閉経年齢である50歳を挟んだ10年間、つまり45歳~55歳頃の期間です。
この時期は女性ホルモンのエストロゲンの低下により、ホットフラッシュ等の症状が出ますが、見逃されがちな症状として「疲れやすい」「忘れっぽくなる」「眠気が強くなる」などがあります。
薬局に相談にいらっしゃる患者さんには「仕事でミスをたくさんしてしまった」といった悩みを抱えている方も多いです。
また、ご家族のお薬を受け取りにいらっしゃる患者さん自身が非常に疲れている場合もあります。
更年期世代の女性は、仕事、家事、育児、介護などさまざまなことを抱えているだけでなく、年齢も重ねたことで、どうしても「老化減少かな」「忙しすぎて疲れているだけかも」とこれらの症状を軽視しがちです。
病院で検査しても、何も問題ない場合は更年期症状である可能性が考えられます。
そういった方には、婦人科に相談するようにおすすめしています。
Q:なるほど。原因のはっきりしない不調を感じたら、婦人科を受診するとよいのですね。薬剤師から見て「これはいい!」と感じる対策はありますか?
婦人科で更年期症状だとわかったら、そこは医師の指導に従うようにしましょう。
薬剤師としては、イライラを緩和する漢方薬を紹介することもあります。
- 加味帰脾湯(カミキヒトウ):イライラする、落ち込みやすい、不安、不眠
- 温経湯(ウンケイトウ):ほてり、抑うつ、イライラする、落ち込みやすい
- 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどの症状、更年期障害
漢方薬を試された患者さんには、効果を実感できる方も少なくありません。
そして、“予防医学”という視点でぜひ実践していただきたいのは、休息、食事、ストレス回避、睡眠を整えること。
忙しい日々を送っているとなかなか難しいかもしれませんが、疎かにしてしまうと自律神経が乱れてしまい、さらに症状が悪化してしまう可能性も。
また、もう1つの対策としてお伝えしたいのがエストロゲンの減少による影響を知り、自分を見つめ直すことです。
「なんでイライラしているんだろう」「なんで疲れるんだろう」と、自分を責めるのではなく自己分析してください。
そうすることで自分に合ったストレス解消法が見つかるはずです。ただ注意したいのが、他者と比較して競争するようなストレス解消法は避けた方がいいですね。
他者と比較してしまうと、どうしても自己嫌悪に陥りがちなので……。
Q:では更年期を迎える前の30代から、予防的に何か取り組まれている方もいますか?
30代の方からも「更年期が心配だから今からしておくことはある?」と相談されることも多いです。
繰り返しになりますが、食事、睡眠、運動を意識して生活することが重要です。
「そんな当たり前のことじゃなくて!」なんて言われることもありますが(苦笑)、体作りは家作りと一緒。
基礎をしっかり作らないと、簡単に崩れてしまうのです。
そして、続けることがとても大事。運動も食事も流行に乗るのではなく、自分が心地よいと思えるものを続けるように心がけてください。
Q:「ちょっと惜しいな」「もっとこうしたらいいのに」と薬剤師の視点から感じた女性の更年期対策があれば教えてください
具体的な事例でいくと、「ホットフラッシュ中に冷たいものを食べる」でしょうか。
体を冷やそうとアイスなどを好んで食べる方がいらっしゃいますが、これは逆効果。体の内部が冷えることで血流が滞り、自律神経の乱れにつながります。
ホットフラッシュは一時的な症状なので、外側から冷やす程度に留めると良いでしょう。
また、だるいからといって、寝てばかりいるのもNG。
筋力が低下してしまい、悪循環に陥ってしまいます。少しでも体を動かせるようなら、部屋の掃除でも良いので軽く体を動かすようにしてください。
部屋もきれいになって一石二鳥ですね。
もちろん起き上がれないくらい辛い場合は、休むことも必要ですが、生活に支障が出るようでしたら婦人科を受診しましょう。
男性の更年期対策
Q:男性は更年期への認知がまだ広がり切っていないと思うのですが、対策をされている方も少ないのでしょうか?
女性の更年期は専門外来もあるように広く認知されていますが、男性の更年期についてはほとんど知られていないのが現状です。
男性の更年期は女性と異なり、40歳頃から男性ホルモンのテストステロンが、ゆっくりとゆるやかに減少していきます。
ホットフラッシュのようなわかりやすい症状もなく、認知度も低いため、ちょっとした不調だと見逃しがちですし、「更年期は女性のもの」「疲れのせい」と認めることができない方も多いです。
よって、ご自身で更年期対策をされている方は、ほぼいらっしゃらないのではないでしょうか。
Q:そうなのですね。それでは、更年期世代の男性はどんな対策から取り入れ始めたらよいでしょうか?
テストステロンは運動によって増えることが知られているので、まずは運動からですね。
負荷のかかるマラソンのようなハードな運動より、ウォーキングなど軽く体を動かすことがおすすめです。
自宅でできる筋トレも良いですね。
Q:多忙な男性の更年期対策で、これはおすすめできると感じたものはありますか?
女性の更年期と同じく、休息、食事、ストレス回避、睡眠が基本となります。
女性にも言えることですが、特にこの年代の方は社会的に責任のある役職についていたりとストレス過多でもあります。
うまくストレスコントロールすることは非常に大事です。
先ほど、女性は自分を見つめると良い。とお伝えしましたが、男性には職場以外で自分の居場所を見つけると良い。とお伝えしています。
定年退職などで職場を離れた方は、他者から認められる場がなくなってしまいます。テストステロンは他者から褒められることで増える、という特徴があるので、人から認めてもらう機会が減ってしまうと、更年期の症状が悪化してしまう可能性があるのです。
趣味やスポーツ、ボランティアなど、職場以外のコミュニティに参加して他者との交流を持つことは、更年期世代の男性に有効な対策なんですよ。
Q:「ちょっと惜しいな」「もっとこうしたらいいのに」と薬剤師の視点から感じた男性更年期対策を教えてください
男性も更年期の時期は疲れやすくなります。
仕事の疲れを回復させようと、休日はお昼近くまで寝だめしたり、ずっと部屋でTVを見て休んでいる……という方の話もよく聞きます。
テストステロンは運動をすることで低下を防ぐことができるので、軽くでもいいので体を動かすようにしてください。
また中年太りを解消しようとダイエットされる方もいますが、食事制限でのダイエットは逆効果です。栄養バランスの良い食事を適量召し上がってください。
更年期はひとそれぞれ違うから色々試してほしい
Q:更年期対策に取り組もうと考えている女性・男性にメッセージをお願いします
「自分だけは大丈夫」「今だけ我慢すれば良い」と考えないでほしいです。
人間は思っている以上に、ホルモンに翻弄されて生きています。そのことを知り、おかしいと思ったら一度立ち止まって専門家への相談や検査をして、対策を講じるようにしましょう
日常のささやかな体調不良は体からのメッセージです。そのメッセージと向き合い、仕事や生活を見直すことを恐れないでほしいですね。
更年期対策の選択肢【バストミン®・グローミン®】
大東製薬工業の「バストミン®」、「グローミン®」は、更年期に不足する女性・男性ホルモンを皮膚から補充できる医薬品です。
「バストミン®」「グローミン®」は塗り薬なので、皮膚から吸収されたホルモンが血中に入り、体内を巡ってから最後に肝臓で分解されます。そのため肝臓にやさしく、安心してご使用いただけることが特長です。また、本来の分泌リズムに合わせて少しずつ塗ることにより、自然で体にやさしいホルモンの補充が期待できます。