コロコロ・カチカチ【更年期の便秘】原因と治し方

40代・50代になって悪化!どうにかしたい更年期の便秘
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「更年期に入って、コロコロ便になった」「お通じがカチカチでスムーズに出ない」

女性に多い便秘の悩みですが、更年期になると症状がひどくなる人も少なくありません。

硬いコロコロ便を放っておくと、肌荒れや切れ痔などのトラブルにつながる可能性も。更年期に起こりやすい便秘を早めに対策することで、心も体もスッキリと過ごしたいものですね。

今回は更年期の便秘はなぜ起こるのか、便秘の解消法についてお伝えしていきます。

目次

40代・50代《ひどい便秘》女性ホルモンが関連

40代・50代の女性では、便秘に悩まされる人が年齢とともに増えていきます1。更年期を迎えると便秘がひどくなる背景にあるのは女性ホルモンの変化によるもの。更年期は女性ホルモンの影響でなぜ便秘になりやすいのか、くわしく解説します。

自律神経の乱れ

更年期に便秘を引き起こす要因の一つは、自律神経が乱れることです。

更年期には、卵巣機能の低下によりエストロゲンという女性ホルモンの分泌が乱高下しながら減少していきます。エストロゲンを分泌するように指令を出している脳の視床下部は、自律神経のバランスを保つ働きも担っています。

腸の動きをコントロールしているのは自律神経です。そのため、エストロゲンの変動にともなって自律神経が乱れると、腸の動きが鈍くなり便秘が起こりやすくなるのです。

腸内のうるおいの低下

エストロゲンには、皮膚や粘膜のうるおいやハリを保つ働きがあります。更年期によりエストロゲンの分泌が少なくなると、腸内のうるおいが不足してしまいます。すると、便を送り出すのに時間がかかり、コロコロと硬くなってしまうのです。

筋肉の衰え

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは筋肉にも関わっています。

筋肉量は加齢とともに減っていくのが一般的です。それに加えて更年期は、エストロゲンの減少により筋肉量や筋力が低下しやすくなってしまうのです2。腹筋や肛門括約筋などの力が低下すると、便を押し出す力が弱くなります

ストレス&忙しさ

更年期は体だけでなく心もゆらぐ時期です。イライラや不安などの更年期症状が現れる人も少なくありません。ストレスが溜まると、自律神経が乱れて便秘につながりやすくなります

また、更年期世代は子育てや親の介護、仕事など、何かと忙しい日々を過ごしている女性も多いことでしょう。便意を感じても、忙しくてトイレを我慢してしまうと、便秘が悪化しやすくなるので注意が必要です。

【更年期の便秘】は治る?おすすめセルフケア

更年期の便秘を改善するためには、日々のちょっとした工夫が大切です。おすすめのセルフケアをご紹介しますので、できることから始めてみましょう。

1.腸内環境をよくする食事

まず意識したいのは、腸内環境をよくする食生活です。便秘がちになる更年期では、ヨーグルトや味噌・納豆などの発酵食品に加えて、果物・野菜・穀類・海藻などの食物繊維が多く含まれる食べ物も意識して摂りましょう3

また、便をやわらかくするために、水分をしっかりとることも大切です。

2.ちょこちょこ体を動かす

適度な運動も便秘解消に有効です。ちょこちょこ体を動かすことで血行がよくなり、腸の動きが活発になります。また、ストレス発散にもつながるので、自律神経のバランスを整えるのにも効果的です。

ウォーキングやヨガなどの軽い運動でも効果を十分に期待できるので、ぜひ取り入れてみてください。

3.排便タイムを作る生活リズム

排便リズムを作るために、食事や睡眠などの生活習慣を整えることも重要です。規則正しい生活によって自律神経が整い、便秘の解消につながります。

また、便意を感じたときは我慢せず、トイレに行くようにすることも大切です。特に、朝食を食べた後は腸の動きが活発になりやすいので、便意がなくてもトイレに行く習慣をつけるとよいでしょう。

4.便秘に効くツボ

更年期の便秘が長引き、お腹の張りが気になるときは、便秘に効くツボを押してみるのもおすすめです。

たとえば、おへその左右にある天枢(てんすう)というツボは、胃腸の働きを整えて、便秘を解消してくれる効果が期待できます。おへそから左右対称に指3本分外側のところを、呼吸にあわせながらゆっくり押してみましょう。

便秘のツボ

5.更年期の便秘には漢方が効く?

更年期のコロコロ硬い便を改善するためには、漢方の力を借りると効果的な場合もあります。

たとえば麻子仁丸(ましにんがん)は腸を刺激して便を出しやすくするだけでなく、腸をうるおして便をやわらかくしてくれます。また、便秘からくる頭重感・のぼせ・吹き出物などの不調も緩和してくれる漢方薬です。

ただし、漢方薬は体質にあっていないと効果を十分に感じられない場合もあるので、使い始める際は医師や薬剤師にご相談ください。

〈Q〉更年期の便秘に下剤は使ってもいい?

更年期の便秘が長引くようであれば、市販薬の下剤(便秘薬)を試してみるのも一つの方法です。

下剤には腸のぜん動運動を促す刺激性下剤と、便をやわらかくする非刺激性下剤があります。刺激性下剤は腹痛を起こす場合があるので、まずは自然なお通じをサポートしてくれる非刺激性下剤を試してみるとよいでしょう。

ただし、下剤を飲んで便秘が一時的に解消されても、根本的な原因が改善されないと便秘を繰り返してしまうことも。下剤だけに頼るのではなく、できる範囲でセルフケアも取り入れてみましょう。

コロコロ便は「大腸ガン」のサイン!?

便秘は「仕方がない」と見過ごしてしまいがちですが、何らかの病気のサインかもしれません。コロコロ便が数ヶ月続くような場合や便秘と下痢を繰り返すような場合は、大腸がんや過敏性腸症候群の可能性もあるので注意が必要です。

さまざまな対処法を試しても更年期の便秘が改善しない場合は、自己判断せずに医療機関へ相談することをおすすめします。

便秘を解消してスッキリ更年期を過ごしましょう

更年期の便秘は女性ホルモンの変動によるものであり、日々のセルフケアによって改善できることをお伝えしました。

更年期世代の女性は、子育てや親の介護、仕事、家事など、一人何役もこなすバタバタと忙しい毎日を過ごしており、自分のことは後回しにしがち。しかし更年期の便秘は、体調のバロメーターでもあります。

まずは自身の体や心の状態をしっかり見つめて、早めに対処することが大切。更年期に起こりやすい便秘の悩みをいち早く解消して、毎日をスッキリと過ごしましょう。

  1. 厚生労働省. 令和4年国民生活基礎調査 ↩︎
  2. 茂木ら(2019). 中年勤労女性の閉経前後における生活習慣と関連因子の比較〜性ホルモンとの関連〜. 日本職業・災害医学会会誌, 67(1), 22-29. ↩︎
  3. e-ヘルスネット, 便秘と食習慣 ↩︎
40代・50代になって悪化!どうにかしたい更年期の便秘

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この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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