【男性の頻尿と更年期】夜中にトイレで何度も起きてしまう理由は?
関西のとある薬局。
これまで出されていなかった睡眠薬の処方箋を持参した、50代の男性との会話です。
顔色も悪く、明らかに疲れている様子。ストレスや悩みを抱えているのでしょうか。久しぶりの来局だったこともあり、気になって色々と聞いてみることにしました。
【夜中のトイレ】で眠れないから【睡眠薬】
あれ、最近眠れないんですか?睡眠薬が出ているけど
眠れないっていうよりも、夜中に何度も目がさめてね。
ぐっすり眠りたいから、先生に頼んでお薬出してもらってん
何回も目が覚めたら、熟睡感がないですよね
そやねん。しかも最近寒いから、わざわざ布団から出てトイレいくのが億劫やねん
目がさめるっていうか、トイレに行きたいから起きてる感じやな
だいたい何回くらいトイレに行くんですか?
4~5回やな
睡眠時間はどれくらい?
7時間くらいかな
ちょっと待って……7時間で5回も行ってたら、ほとんど寝てないやん!
夜中に何回も起きるから、妻に「こっちも気になって寝られへんやん」って怒られて。
最近は気を使って、リビングで寝るようにしてるねん
私でもそう言ってしまうかもな……
奥さんの気持ちもわかるけど、リビングでは余計に熟睡できへんかもね
トイレの回数が増えた理由は?
ここで渡しているお薬以外に、何か他に飲んでないですか?
お薬はここでしかもらってないで
どうやら頻尿や排尿障害を起こす可能性がある薬は飲んでなさそうやね
夜寝る前に、お酒をたくさん飲んだりしてませんか?
トイレが近くなってからは量を減らすようにしてるけど
最近疲れやすいとか、イライラするとか、今までとなんか違うなって思ったことない?
最近ぐっすり眠れてないから、寝不足で、仕事中もぼーっとしてまうわ
単純な原因ではなさそうやな
原因が複雑な【男性の頻尿】
男性の頻尿は、さまざまな原因によって引き起こされます。
・過活動膀胱
・尿路感染症
・薬剤性排尿障害
・心因性頻尿
・男性更年期障害
などが、主な原因ですが、実は男性更年期障害も頻尿に関与しています。
男性更年期障害によって男性ホルモンであるテストステロンが減少すると、一酸化窒素(NO)が生産されにくくなり、血流も悪くなります。その結果、膀胱の柔軟性低下が生じ、頻尿の原因になるのです。
しかしこれらの原因を自己診断することは難しく、また、治療法も原因によって大きく異なります。
例えば、前立腺肥大症の場合、薬物療法によって症状が改善することがあります。一方で、心因性頻尿では、ストレスの管理が重要です。
さらにストレスは、頻尿の原因となるだけでなく、男性更年期の症状を悪化させる可能性があるため、放置せずに対処することが大切。
男性の頻尿に関しては、内科よりも泌尿器科に相談する方がより適切なアドバイス・治療を受けることができます。
頻尿から気付く 夫と妻の「同時更年期」
ところで、熱とか排尿時の痛みはないですか?
熱も痛みもないけど、なんでそんなこと聞くん?
ばい菌が尿道から入って、頻尿になる場合もあるんですよ。その場合は抗生剤が必要やから。
もしかしたら、他に大きな病気が隠れているかもしれへんし、一度泌尿器科で診てもらった方がいいと思いますよ
脅かさんといてや
もしもってこともあるし、奥さん心配してると思うし
うん……そやな。
実は夜中にトイレばっかり行くから「あんたどっか悪いんちゃう」って言われてん
妻は更年期のせいか、最近イライラしてるから、俺も気をつかうわ
トイレの回数が増えたのはストレスが原因のこともあるけど、そのストレスが原因で男性ホルモンの分泌量が減ってしまって頻尿の原因になってることもあるんですよ
男性ホルモンって減るんか?
減りますよ。女性と同じように男性にも更年期ってあるんです。
奥さんが更年期かどうか、私はお会いしてないからわからないけど、もしかして夫婦揃って更年期の可能性もあるかもしれませんね。
仲良し夫婦やな(笑)
うらやましいわ(笑)
パートナーにも「更年期」の可能性がある
このように夫婦で同じタイミングで更年期を迎えるパターンがあります。また厄介なことに、更年期の症状は日内変動があり、同じ人でも現れる症状が日々違っています。
心身が健やかであれば、相手を思いやれる余裕があるのですが、仕事や家事、介護など、ストレスの洪水に流されがちな日々では、その余裕を持つのは難しいものです。余裕がない時は、少し距離を保つことも必要なのかもしれませんね。
休日はゴルフなどに出かけて、家にいなかったパートナーが、最近どこにも出かけず、家の中で特に何をするわけでもなく、ぼーっとテレビを見ている時間が増えてきたと感じることはありませんか?
一緒にいる時間が長くなると脱いだ服がそのままだったり、電気の消し忘れがあったりと、相手の欠点が気になりますよね。
「疲れているのかな?」って思える時は良いのですが、ついつい、きつい口調で指摘してしまい、激しい口論になってしまうこともあるでしょう。
そんな時は「あなたも更年期なのね」と思うだけでも、心が軽くなるでしょう。
相手を思いやる気持ちが、回りまわって自分の心も満たしてくれるかもしれませんよ。