Gスポットには賛否両論がある!? オーガズムギャップを縮めるために知っておくこと

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前回のオーガズムの男女格差=オーガズムギャップから、今回はそのギャップを埋めるために知っておきたいことを此花さんがご紹介します。

こんにちは。リレーションシップコンサルタントの此花わかです。

前回の記事「セックスからオーガズムを感じるのは男性の9割、女性の4割。「オーガズムギャップ」のリアルとは?」ではオーガズムギャップの統計をご紹介しました。今回は、カップルが幸せな性生活を送るためにオーガズムギャップを縮める方法について記したいと思います。

目次

性的興奮を得ないと挿入時に性交痛を感じることも

前記事では女性のオーガズムが男性の射精目線で表現されてきた文化、そしてクリトリスが無視されてきた社会の刷り込みについて言及しました。

クリトリスはギリシャ語で「鍵」と呼ばれる、女性の体では唯一性的快楽のために存在している器官。実際にクリトリスには8,000から10,000もの末梢神経が集中しています。

フロリダ大学を含む様々な大学で人間のセクシュアリティの心理を教えるローリー・ミンツ教授によると男性器と同じように、クリトリスも興奮すると勃起します。

ミンツ教授は「女性は挿入前に興奮している必要があります。そうでないと、腟が潤滑にならず、子宮頸部が後ろに伸びません。すると非常に強い痛みを感じる女性もいます」と挿入には性的興奮が必須だと説明します。

性的興奮を促す要素は個人により異なりますが、一般的に以下の行動により女性の性的興奮は高まる傾向があります。(※1)

  • キス
  • 性器以外の体中を撫でられる
  • オーラルセックスによるクリトリスへの刺激
  • タッチによるクリトリスへの刺激

2015年にJournal of Sex & Marital Therapyが発表した1,000人以上のアメリカ人女性を対象としたインターネット調査によると、36%が性交時にクリトリスの刺激でオーガズムを得られたと回答したのに対し、約18%が挿入だけでオーガズムを得られたと回答しています。

つまり、挿入だけでオーガズムを感じる女性はクリトリスからオーガズムを感じる女性の半分ほどしかいないということ。(※3)

Gスポットは必ずしも存在しない

それでは、腟内にあると言われている”Gスポット”はオーガズムに関係していないのでしょうか? 実はGスポットについては性科学者の間でも賛否両論があります。

ミンツ教授によると、Gスポットとは触ればオーガズムを感じるようなピンポイントの場所ではなく、「腟のすぐ上側に位置し、クリトリスの脚、女性の前立腺腺、腟の壁など広領域を指す」ものだそう。ミンツ教授は決してGスポットの存在を否定していませんが、統計を見てもクリトリスのほうがオーガズムに影響すると主張し、Gスポットがない女性もいるのだとか。

Gスポット至上主義には、”男性器を挿入すれば気持ちのよいスポットが腟内に存在するはずだ”、という男性主体のセクシュアリティを文化やメディアが形成してきたことにあるというのが教授の考えです。(※1)

オーガズムには個人差がありますが、挿入から性的興奮やオーガズムを得られない人はキス、愛撫、オーラルセックスやタッチを重要視し、Gスポットを無理やり見つけようと乱暴に腟を扱わないでくださいね。

性的コミュニケーションは日常から始まっている

アメリカの性科学者エミリー・ナゴスキ博士は「セックスのアクセルとブレーキ」理論で有名。性的興奮を加速させる要素(アクセル)と性的興奮を抑制する(ブレーキ)のバランスがとれていないとオーガズムを感じることが難しいと言います。

ナゴスキ博士によると、性行為に至る心理的・環境的・状況的背景や過程がオーガズムに密接に関わっているとか。

加えて、女性に対するエイジズムやルッキズムは男性よりも強いので、ネガティブなボディイメージがオーガズムのブレーキとなり、女性の性の喜びを抑圧していると主張します。(※2)

ナゴスキ博士が説く性行為に至る背景や過程とは、日常のコミュニケーションや親密さ、部屋の間取り、育児・家事・仕事のストレスなど様々なこと。

だからこそ、カップルは日々のお互いへの向き合い方や生活スタイルから、性的コミュニケーションが始まっていることを知っておきましょう。

恋人同士のほうがオーガズムを感じる

American Sociological Reviewが2012年に発表した調査によると、恋人とセックスするほうが女性のオーガズムの確率は高いそうです。以下がその調査で分かったこと。

6ヶ月以上交際している相手とセックスした女性は、初対面の相手とセックスをした女性と比較して、性行為中にオーガズムを感じる可能性が6倍以上

3~5回目の相手とのセックスをする女性は、初めてのセックスからオーガズムを得る可能性が40%高い6回以上セックスをすると、最初の出会いよりもオーガズムの可能性が2倍になる。(※3)

先述したミンツ教授やナゴスキ博士の説を鑑みると、女性は、自分の性のあり方をよく理解してくれている相手とセックスをしたほうがオーガズムを得られやすいということではないでしょうか?

自分が求める恋愛感情、愛着、性的興奮、欲望や性的快楽を知りニーズに答えてくれるパートナーとのセックスのほうがオーガズムを感じやすいのは自然ですよね。

まとめると、男女のオーガズムギャップを縮めるには、女性のオーガズムの複雑性を男性も女性も理解しなければいけません。そのためには、以下に注意しましょう。

・ほとんどの女性はクリトリスからオーガズムを得る。

顔や体へのキス、オーラルセックス、タッチは女性の性的興奮に繋がる。

・ワンナイトや行きずりではなく、何度もセックスをしている親密な関係の相手から女性はオーガズムを感じやすい。

・性行為に至る過程や背景にある日常から性的コミュニケーションは始まっている。特にネガティブなボディイメージは女性のオーガズムに影響するので、女性の外見を絶対にイジらない

さらに、ミンツ教授はいつも同じようなセックスをするのではなく、新しいセックスを取り入れることも、より深い喜びを味わうためには重要だと説いています。

【参考】

※1……The ‘orgasm gap’: Why it exists and what women can do about it – NBS News
※2……Come as you are
-Emily Nagoski
※3……Accounting for Women’s Orgasm and Sexual Enjoyment in College Hookups and Relationships – American Socialogy Review

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この記事を書いた人

此花わかのアバター 此花わか 【リレーションシップコンサルタント】

ジャーナリスト
リレーションシップコンサルタント

アメリカの性とリレーションシップのコーチングスクールで学ぶ。セックスポジティブな社会を目指す「セクポジ・マガジン」を発信中。FRaU 、Newsweek、Huffpost、SPA!、FRONT ROW、GLITTERなどで執筆。

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