テストステロンを増やす食べ物はある?男性更年期に意識したい栄養素と食事の基本

「以前より疲れやすくなった」「仕事に集中できない」「性欲や体力の変化が気になる」40代、50代を迎えると、こうした不調を感じることがあります。
年齢のせいだと思っていても、症状が続くと「男性更年期かもしれない」「食事で何か対策できないだろうか」と気になる方もいるでしょう。
男性ホルモンの一つであるテストステロンは、特定の食品だけで増やせるものではありません。しかし、栄養の偏りや過度な食事制限を避け、身体に必要な栄養素を不足させないことは、心身のコンディションを支える大切な土台です。
今回は、男性更年期と食事の関係をはじめ、意識したい栄養素、毎日の食事に取り入れるポイントなどについて解説します。
男性更年期とテストステロンの関係

男性更年期には、加齢などに伴ってテストステロンの分泌が低下し、人によって身体面・精神面・性機能にさまざまな症状が現れやすくなります。
男性更年期障害とは?
40代以降、男性ホルモンの一つであるテストステロンの分泌はゆるやかに低下します。時期や程度には個人差がありますが、テストステロン値の低下によって次のような不調が現れるのが男性更年期障害(加齢性腺機能低下症;LOH症候群)です1)2)。
- 疲れやすい、体がだるい
- やる気が出ない
- 気分が落ち込む、イライラする
- 集中力や記憶力が低下したように感じる
- 筋力や体力が落ちた
- 性欲が低下した
- 勃起機能に変化がある
- ほてりや発汗がある
- 睡眠の質が低下した
ただし、これらの症状があるからといって、必ずしも男性更年期障害とは限りません。ストレス、睡眠不足、生活習慣病、服用中の薬など、別の原因が関係している場合もあります。

テストステロンは食事だけで増やせる?
テストステロンの材料の一つはコレステロールです。極端なダイエットや過度なカロリー制限によってコレステロールの摂取不足になると、原料不足からテストステロンの分泌も少なくなる可能性があります。ただし、コレステロールを多く含む食品を食べれば、テストステロンが増えるという意味ではありません。
テストステロンの分泌は、睡眠、ストレス、運動といった生活習慣など、さまざまな要因の影響を受けます。そのため、テストステロンを「特定の食品で増やす」と考えるよりも、必要な栄養素を不足させず、バランスのよい食事を続けることが重要です。
男性更年期に意識したい5つの栄養素
更年期の食事では、特定の食品を増やすことよりも、身体に必要な栄養素をいろいろな食品から摂ることが大切です。日々の食事で不足しないように意識したい栄養素をご紹介します。

亜鉛
亜鉛は、体内のさまざまな酵素の働きや、免疫機能、たんぱく質の合成などに関わるミネラルです。テストステロンの合成に必須で、精子の生成や勃起不全の改善に関与しますが、体に蓄えることができない栄養素。そのため、成人男性は1日9.5mg程度の亜鉛を毎日摂取することが推奨されています3)。
<亜鉛を多く含む食品>
- 牡蠣
- 牛肉
- 豚肉
- オートミール
- ナッツ類
- 卵 など
ビタミンD
ビタミンDは、骨の健康や免疫機能などに関係する栄養素です。テストステロンの生成を活性化する働きもあります。緑黄色野菜に含まれるビタミンCやアーモンド、アボカドなどに含まれるビタミンEと一緒に摂取するとより栄養素の吸収が高まります。
<ビタミンDを多く含む食品>
- 鮭
- まぐろ
- さば
- いわし
- きのこ類
- 卵黄
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や皮膚、内臓、ホルモンの合成など、身体を構成する重要な栄養素です。成人男性では、たんぱく質を65g/日摂取することが推奨されています3)。筋肉量や体力を維持するためにも、毎日の食事で不足させないことが大切です。
<たんぱく質を多く含む食品>
- 肉類
- 魚介類
- 卵
- 乳製品
- 大豆製品

良質な脂質
テストステロンを含むホルモンの原料はコレステロールです。そのため、良質な脂質を適度に摂ることはホルモン生成の土台となります。
とくに、オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)などは、血流をよくしたり認知機能をサポートしたりする働きがあり、健康維持に役立ちます。
<良質な脂質を多く含む食品>
- 青魚(さば、いわし、さんまなど)
- アーモンドなどのナッツ類
- アボカド
- オリーブオイル、えごま油
ビタミンK
ビタミンKは、精巣の細胞に働きかけてテストステロンの分泌をサポートします。
ただし、血液を固めないようにする医薬品であるワルファリン等を服用している場合、血中ビタミンKの値が高くなると薬の効き目が弱まることがあるため、これらの医薬品を服用中の方は医師にご相談ください。
<ビタミンKを多く含む食品>
- 納豆
- 緑黄色野菜(ブロッコリー、モロヘイヤ、ほうれん草など)
- 海藻類
【男性更年期対策の食事】無理なく続けられる5つの基本
男性更年期を意識した食事は、特別な食品を毎日食べることよりも、無理なく続けられる形に整えることが大切です。ここでは、日常生活で取り入れやすい5つのポイントを紹介します。

1. 主食・主菜・副菜をそろえる
仕事などで忙しいと、簡単な食事で済ませてしまい、必要な栄養素が不足しやすくなります。手をかけて食事を準備する必要はありません。「主食だけ」「主菜だけ」にならないように、まずは食事のバランスを意識してみましょう。
2. 毎食、たんぱく質を取り入れる
更年期は、加齢による消化・吸収機能が低下しやすく、今までと同じ量のたんぱく質を摂っていても不足しやすくなります。
そのため、毎食のどこかにたんぱく質を取り入れましょう。たとえば、朝食に卵やヨーグルト、昼食にサラダチキン、夕食に豆腐や納豆などを加えると、無理なくたんぱく質を補えます。
3. 極端な食事制限を避ける
体重を減らそうとして食事量を大きく減らしたり、糖質を極端に避けたりすると、身体は飢餓状態になります。ホルモン生成に必要なエネルギーや栄養素が不足し、テストステロンの合成が抑えられてしまう可能性も。極端な食事・糖質制限は避けましょう。
4. アルコール摂取は控えめにする
アルコールの摂り過ぎは、睡眠の質の低下や体重増加につながるだけでなく、テストステロンの分泌を低下させてしまう可能性があります4)。
アルコールの量や頻度を見直し、休肝日を設けるなど、適度な飲酒を心がけましょう。
外食やコンビニでも組み合わせを意識する
毎日、自炊を続ける必要はありません。外食やコンビニを利用する場合も、食品の組み合わせを意識すれば、食事のバランスを整えやすくなります。
たとえば、おにぎりにゆで卵やサラダチキンを組み合わせる、麺類だけで済ませず魚や肉のおかずを追加する、丼にサラダや味噌汁を加えるなど、ちょっとした食材を足してみましょう。

更年期に不調が続く場合は医療機関で相談を
男性更年期の症状は、食事だけで改善できるとは限りません。不調が長く続く場合や、仕事や生活に支障が出ている場合は、医療機関で相談しましょう。
次のような症状がある場合は、男性更年期障害の可能性もあります1)2)。泌尿器科やメンズヘルス外来などへの受診を検討してください。
- 疲労感や倦怠感が長期間続いている
- 性欲の低下や勃起機能の変化が気になる
- 気分の落ち込みやイライラが続く
- 集中力や記憶力の低下を感じる
- 筋力や体力の低下が気になる
- ほてりや発汗が繰り返し起こる
- 睡眠の問題が続いている
- 食事や生活習慣を見直しても改善しない
バランスのよい食事で活力あふれる更年期を過ごそう

疲れや意欲の低下などを感じても、年齢のせいだと決めつけてしまう方は少なくありません。
食事によってテストステロンが増えるわけではありませんが、更年期に必要な栄養素をバランスよく摂ることで、日々のコンディションを維持するのに役立ちます。
まずは、朝食に卵やヨーグルトを加える、昼食に魚や肉のおかずを選ぶ、お酒を飲まない日をつくるなど、できることから始めてみましょう。食事だけでなく運動や睡眠の質を見直すことも大切です。毎日の小さな選択が、これからの体調を見直すきっかけになります。
食事を整えても疲れや気分の落ち込み、性欲の低下などが続く場合は、男性更年期障害が隠れている可能性もあります。つらい不調を一人で抱え込まず、専門家に相談しながら、更年期をしなやかに乗り越えていきましょう。


参考






