更年期のストレス対策!ホルモンに関わる栄養素を不足させないコツ

40代、50代になると、「以前より疲れやすい」「イライラしやすくなった」「なんとなく気分が落ち込む」など、心身の変化を感じることがあります。
更年期は、男女ともにホルモンバランスが大きく変化する時期です。さらに、仕事や家庭、人間関係などのストレス、睡眠不足が重なることで、心身の負担が大きくなることも。
そこで意識したいのが、毎日の食事です。
食事だけで更年期の症状やストレスを解消できるわけではありませんが、エネルギーやたんぱく質、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を不足させないことは、心身のコンディションを整える基本になります。
今回は、40代・50代が知っておきたい「更年期のストレス対策」として、ストレスとホルモンの関係、意識したい栄養素、忙しい日でも実践しやすい食事のコツを栄養士の視点からご紹介します。
ストレスは更年期のホルモンバランスに影響する?
ストレスを感じると、体内では「コルチゾール」などのストレスに関わるホルモンが分泌されます。コルチゾールは、ストレスに対応するために重要なホルモンですが、強いストレスが長く続くと、心身の疲労や睡眠などにも影響することがあります。厚生労働省も、ストレス反応に関わるホルモンとしてコルチゾールを挙げています。
更年期は、ホルモンそのものが大きく変化する時期でもあります。
女性の場合、閉経前後には女性ホルモンであるエストロゲンが大きく減少します。これに伴って、ほてりや発汗、イライラ、不眠、疲労感など、さまざまな症状が現れることがあります。さらに、仕事や家庭環境などのストレスが重なることで、ホルモンや自律神経のバランスが乱れやすくなり、更年期の不調を強く感じることもあります。
一方、男性は女性のように更年期に男性ホルモンが急激に変化するわけではなく、一般的には加齢とともにテストステロンが緩やかに低下します。ただし、ストレスや睡眠不足、生活習慣なども男性ホルモンの低下に影響することがあります。
つまり、更年期世代のストレス対策では、特定のホルモンを「増やす」ことだけを考えるのではなく、ストレスや睡眠、食生活などを含めて、心身の土台を整えることが大切です。


更年期のストレス軽減!食事のコツは栄養不足や偏りを避けること

ストレスが気になると、「この食品を食べれば改善する」という方法を探したくなりますが、まず大切なのは、特定の食品に偏らず、基本的な栄養素を不足させないことが大切です。
忙しいと、朝食を抜いたり、昼食をパンや麺だけで済ませたり、夕食はお酒とおつまみだけになることもあります。しかし、こうした食事が続くと、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しやすくなります。その結果、イライラや集中力の低下などを引き起こしやすくなります。
また、カフェインやアルコールのとり過ぎにも注意しましょう。
カフェインは適量であれば問題ありませんが、夕方以降に多くとると睡眠に影響することがあります。アルコールも寝つきをよくするように感じても、睡眠の質を低下させることがあります。特に更年期の睡眠トラブルが気になる場合は、夕方以降のカフェインや飲酒を控えることも一つの方法です。
また、甘いものや糖質を極端に避ける必要はありませんが、菓子パンや甘い飲料などに偏った食事では、たんぱく質やビタミン・ミネラルなどが不足しやすくなります。
心を安定させるコツは「糖質を抜く」のではなく、主食・主菜・副菜を組み合わせること。
これが、無理なく続ける更年期の食事の基本です。
40代・50代が意識したい!ココロをおだやかにする6つの栄養素

ここからは、更年期世代が毎日の食事で意識したい栄養素をご紹介します。
「これだけを食べればOK」というものではなく、不足しないように、いろいろな食品から取り入れることを意識しましょう。
マグネシウム・鉄
マグネシウムは、体内でさまざまな代謝に関わるミネラルです。不足が続くと、疲労感や筋力低下などがみられることがあります。
マグネシウムを含む食品には、大豆製品、ナッツ類、海藻、全粒穀物、葉物野菜などがあります。
鉄は、赤血球中のヘモグロビンをつくるために必要な栄養素。不足すると鉄欠乏性貧血につながり、疲れやすさや集中力の低下などを感じることがあります。
特に女性は、閉経前まで月経による鉄の損失があるため、赤身の肉や魚、大豆製品、貝類などを意識して取り入れましょう。
なお、鉄は不足しているからと自己判断でサプリメントを大量に摂取するのではなく、気になる症状がある場合は血液検査などで確認することも大切です。
ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギー代謝や神経系など、さまざまな体の働きに関わっており、集中力の維持や疲労回復にも役立ちます。なかでもビタミンB6は、アミノ酸の代謝や神経伝達物質の生合成などに関わる栄養素です。
ビタミンB群は、豚肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、玄米などさまざまな食品に含まれています。
「疲れたからビタミンBのサプリメント」というより、まずは毎日の食事に肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質食品を取り入れることを意識しましょう。
ビタミンC
ビタミンCは、コラーゲンの生成や抗酸化作用、免疫機能、コルチゾールの合成などに関わる栄養素です。また、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収を助ける働きもあります。
ストレスが気になるときは、野菜や果物が不足していないかもチェックしてみましょう。
ブロッコリー、パプリカ、キウイ、いちご、柑橘類などを、毎日の食事や間食に取り入れるのがおすすめです。
ビタミンCは水溶性ビタミンなので、一度に大量にとるよりも、野菜や果物などから日々こまめに摂取することを意識しましょう。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や皮膚、髪など、カラダをつくる材料になるだけでなく、ホルモンや神経伝達物質などの材料にもなる重要な栄養素です。
40代・50代になると、食事量が減ったり、ダイエットを意識して肉や魚などを避けたりすることで、たんぱく質が不足することがあります。
毎食、「肉・魚・卵・大豆製品・乳製品」のいずれかを取り入れることから始めてみましょう。
例えば、朝食なら「卵+ヨーグルト」、昼食なら「おにぎり+サラダチキン」、夕食なら「魚+豆腐」のように、無理なく組み合わせるのがおすすめです。

トリプトファン
トリプトファンは、体内でつくることができない必須アミノ酸の一つです。神経伝達物質であるセロトニンの材料になります。セロトニンは、気分や睡眠などに関わっています。
トリプトファンは、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品、ナッツ類など、たんぱく質を含む食品から摂取できます。
ただし、「トリプトファンを食べれば気分が必ず改善する」という単純な話ではありません。食事と気分の関係は複雑で、研究結果にもばらつきがあります。だからこそ、サプリメントなどで単一の栄養素を大量に摂取するのではなく、普段の食事からたんぱく質をしっかり摂ることを基本にしましょう。
発酵食品・食物繊維の多い食品
腸と脳は密接に関係しており、「腸脳相関」という言葉もあるように、腸内環境と精神面との関係が研究されています。そのため、心を落ちつかせるためには発酵食品と食物繊維の多い食べ物をとることも大切です。
発酵食品には、ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどがあります。
また、野菜、果物、豆類、海藻、きのこ、全粒穀物などに含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサとなります。
ただし、発酵食品を食べればストレスがなくなるというわけではありません。「発酵食品+食物繊維」を日々の食事に取り入れ、腸内環境を含めて健康的な食生活をつくるという考え方がおすすめです。
忙しい毎日でもできる「食べるメンタルケア」のコツ
栄養バランスを整えたいと思っていても、毎日料理をするのは大変です。
そこでおすすめなのが、完璧な献立を考えるのではなく、「足りないものを1品プラスする」発想です。
コンビニ・外食での組み合わせ
コンビニでは、「おにぎりだけ」「サンドイッチだけ」にならないよう、たんぱく質や野菜をプラスしましょう。
例えば、
・おにぎり+ゆで卵+野菜スープ
・サンドイッチ+無糖ヨーグルト+サラダ
・そば+豆腐や卵+海藻サラダ
・お弁当+具だくさん味噌汁
などの組み合わせがおすすめです。
外食の場合も、丼や麺だけで終わらせず、「主食+主菜+副菜」を意識すると、栄養の偏りを防ぎやすくなります。
食欲がない・料理をする余裕がない日の選び方
ストレスや疲れが強い日は、料理をする気力がなくなることもあります。
そんな日は、無理に手の込んだ料理をつくる必要はありません。
例えば、
・ヨーグルト+バナナ+ナッツ
・豆乳+ゆで卵+果物
・納豆ごはん+インスタント味噌汁
・冷凍野菜+豆腐+卵のスープ
・サラダチキン+おにぎり+野菜ジュース
など、「たんぱく質+主食+野菜・果物」を意識して、食べられるものを組み合わせましょう。
食欲がないからといって食事を抜くことが続くと、さらに栄養不足につながる可能性があります。少量でも食べやすいものを選び、無理なくエネルギーと栄養を補給しましょう。
会食や飲酒がある日の考え方
仕事や人付き合いで、会食や飲酒を避けられないこともあります。
そんな日は、「お酒を飲んだから翌日は何も食べない」という極端な調整はおすすめしません。
枝豆、冷ややっこ、刺身、焼き魚、焼き鳥、海藻サラダなど、たんぱく質や野菜を含む料理を選びながら楽しむことを意識しましょう。
また、アルコールは睡眠の質を低下させることがあるため、眠りが浅い、夜中に目が覚めるなどの悩みがある場合は、飲酒量や飲む時間帯を見直すことも大切です。
更年期のストレス対策は「毎日の食事」から

更年期のストレス対策というと、特別な食品やサプリメントを探したくなるかもしれません。
しかし、まず意識したいのは、毎日の食事で必要な栄養素を不足させないこと。
肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質に加えて、野菜や果物、海藻、きのこ、全粒穀物なども組み合わせ、できるだけ多くの食品から栄養をとることが基本です。
そして、食事だけですべてを解決しようとしないことも大切です。
睡眠不足が続いている、疲れが取れない、気分の落ち込みや不安が続く、仕事や日常生活に支障が出ているなど、強い不調がある場合は、セルフケアだけで様子を見ず、医療機関に相談しましょう。
女性の更年期障害は婦人科、男性の更年期に伴う不調は泌尿器科やメンズヘルス外来などが相談先になります。更年期障害は治療によって症状が改善することもあります。
「食事で整える」と「必要なときに医療機関を頼る」。この両方を上手に取り入れることが、更年期を健やかに過ごすためのポイントです。

出典
- 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト「更年期」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menopause.html - 更年期情報サイト(厚生労働科学研究費補助金(女性の健康の包括的支援政策研究事業)『性差にもと づく更年期障害の解明と両立支援開発の研究』(研究代表者 安井 敏之)) 男性更年期とはhttps://www.ryoritsu.dohcuoeh.com/menopause_yasui_group/?page_id=42
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 更年期・睡眠・ストレスの関係
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-005 - 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
- 更年期の睡眠とカフェイン・アルコールについて https://www.nia.nih.gov/health/menopause/sleep-problems-and-menopause-what-can-i-do
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~トリプトファンとセロトニンについて https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-074






