「なぜ性欲がわかないの?」2種類の性欲と性欲ギャップを埋める方法とは?
こんにちは。リレーションシップコンサルタントの此花わかです。
様々な研究から、セックスの回数は世界的に減ってきていると言われています。SNS、ゲーム、ストリーミングと多様な娯楽があるのも一因ですが、現代社会の”忙しさ”も大きな原因だと思います。
性欲は人間の本能であるように考えられていますが、睡眠欲や食欲のように生存に必要不可欠な欲求ではなく、非常に複雑。だからこそ、人により性欲は大きく異なります。
今回は、アメリカで30年以上もセックス・セラピストとして活躍するダイアナ・ウィリー博士の研究から、2種類の性欲と性欲ギャップの解決法をご紹介します。
2種類の性欲
多くの性科学者は性欲には2つのタイプがあると主張します。
① 自発的性欲
自発的に発生する性欲タイプ。突然スイッチが入ってムラムラするタイプの欲求。AVを見る、裸体を見る、好きな人を見るなどの物理的な刺激で性欲が引き起こされる場合もあれば、そうでない場合も。研究によると、男性の約75%、女性の約15%がこの自発的性欲を有する。
② 反応的性欲
何らかの刺激に反応して起こる性欲タイプ。環境や状況に敏感なタイプの性欲で、その日の出来事や体の調子、環境や状況に応じてオン・オフすることが多い。身体的な接触から感情的な前戯まで、男性よりも多くの女性がこのタイプに当てはまります。つまり、何かの”きっかけ”がないとなかなか性欲に火がつかない。
私たちの誰もがこの2つの性欲タイプを併せ持ちますが、性欲が強い人は「自発的性欲」寄り、性欲が弱い人は「反応的性欲」寄りと考えられます。
性欲の弱い、反応的性欲タイプに「セックスしよう」はうまくいかない
パートナー同士が違う性欲タイプをもっている場合、性欲にギャップが生じます。そんなときはどうすればよいのか? 自発的性欲タイプのほうは性欲を抑えて、反応的性欲タイプが性的興奮を感じるまで待たなければいけません。
自発的性欲タイプは辛抱強くならなくてはいけないし、反応的性欲タイプも自分の性的興奮要素を探究するなど、どちらも努力しなければ着地点が見つかりません。
しかし、自発的性欲タイプの人に少し考えてほしいことがあります。性欲があまりにも強いのであれば、性欲を感じたときに「いま本当にセックスをする必要があるか? ストレス、退屈や不安からセックスをしたいのではないか?」と自問自答してみてください。
「パートナーとの愛を感じたい」「パートナーと性の喜びを感じたい」のであれば、セックスではなく、反応的性欲タイプとロマンチックでセンシュアルな時間を過ごすように心がけてください。
なにかのはずみで性欲がなくなってしまう反応的性欲タイプに「セックスしよう」と誘うのは、うまくいかないことが多いのです。それよりも、セックスを期待せずにロマンチックでセンシュアルなときを過ごすことで、反応的性欲タイプが性的興奮を感じることもあります。
同時に、反応的性欲タイプのほうもパートナーに歩み寄るために、できるだけ自分の身体のどこを触られると気持ちよいのか、どんな心理・状況・環境でセックスしたくなるかを探究しましょう。お互いの気持ちを想像して着地点を見つけるのがパートナーシップの基本です。
世界中のセックス・セラピストが指導するセンシュアル・ボディマッサージ
ロマンチックでセンシュアルな関係を築くためには、日ごろの非性的スキンシップが大切。非性的スキンシップはお互いの自己肯定感や幸福感を高めます。
過去記事「2つのセンシュアル・スキンシップとは」で紹介した、「7秒キスと15秒ハグ」と「ハグ・エクササイズ」を毎日行いましょう。
その他にも、性科学の先駆者であったウィリアム・マスターズ博士とヴァージニア・ジョンソン氏が1960年代に開発したマッサージ「センシュアル・ボデマッサージ」が効果的。世界中のセックス・セラピストが患者にこのマッサージを指導しています。
このマッサージは性的反応を起こすものではなく、カップルが性交の際に感じるストレスやプレッシャー、パフォーマンスへの不安を軽減するもので、乳房や性器には触りません。アロマを炊き、照明を落として好きな音楽をかけてロマンチックなムードで行うのもよいでしょう。
また、互いに感想を伝えたり、笑ったりして感情をシェアするのが大事。4つのステージからなるこのマッサージには1時間ほどかけましょう。
① ステージ1
服の上からでも裸でもよい
・各パートナーは、順番に相手の顔、頭、手、足を探究するように触っていく
・まず、指や手で触ります
・その後、口や唇を使って愛撫することもできます。触る時間や強さにメリハリをつけましょう
・性器、性的行為や挿入はNGです
② ステージ2
裸になって行う
・服を脱いで、ステージ1のエクササイズを行う
・性的同意があれば性器や胸を軽く撫でる
・パートナーが交互にお互いの全身をタッチする
・オーガズムに導くようなタッチはNG。性交や挿入もダメ
③ ステージ3
パートナーと一緒に触り合う
・ステージ1、2で練習した快感を今度はパートナーと同時に触ってみましょう
・触ったり、なでたり、キスしたりと、同時に快感を得られる方法を探します
・性行為、挿入、オーガズムは禁止
④ ステージ4
ステップ1~3を繰り返す(服は脱いだままでよい)
・最初の3つのステージをもう一度ゆっくりとリラックスして行う
・お互いの体をこすり合わせて、喜びを分かち合いましょう
・挿入前に全身の愛撫にたくさん時間を費やし、性的行為やオーガズムもOK
上記が基本のセンシュアル・マッサージですが、「すぐに性器に触らない」「ゆっくりと時間をかけて行う」ことができれば、正確に4つのステージを守らなくてもよいです。クリエイティブに楽しみましょう。とにかくスローを心がけてくださいね。
2人の性欲にギャップがある場合、性欲の強いほうは「自分は求められていない」、性欲の低いほうは「自分は“ひと”として不完全なのではないか」とそれぞれの自己肯定感が低くなってしまいがち。
しかし、性欲は非常に複雑な欲求だからこそ、性行為以前にしっかりとした”信頼関係”を築くことが大切です。そのためには、日頃から対話と非性的なスキンシップが必要なのです。
【参考】「Love in the Time of Corona – Advice from a sex therapist for couples in quarantine」ダイアナ・ウィリー PhD