【更年期うつ】寝たきりにならないための4つの対策

要注意!更年期の「うつ」で寝たきりになる?
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最近、横になっている時間が増えたり、何をするにも気力がわかなくなったりしていませんか?

「このまま寝たきりになってしまうのでは…」と、不安を感じている方もいるかもしれません。

更年期うつによる心とからだの不調は寝たきりのような状態を引き起こすこともありますが、きちんと対策をとることで回復が期待できます。

この記事では、更年期うつによる寝たきりを防ぐ4つの方法と、無理をしないためのヒントをくわしく解説します。つらいときこそ一人で抱え込まず、自身を大切にする第一歩を踏み出しましょう。

目次

「更年期うつ」と「寝たきり」の関係

「更年期うつ」とは、更年期に起こるうつ症状のことを指します。

女性ホルモンのバランスが大きく変化する更年期には、心の不調があらわれやすいといわれています。1それに加えて子どもの成長による巣立ち、親の介護・死別など、心が揺れ動きやすいライフイベントが重なることも、更年期うつを発症するきっかけの一つです。[1]

更年期うつが進むと、心身のエネルギーが極端に低下し、次のような状態になってしまうことがあります。

  • 気持ちが沈み込んで何もやる気が起きず、布団から出られなくなる
  • 頭痛やだるさ、動悸といったからだの不調が重なり動けなくなる
  • 生活リズムが乱れ、日中も横になりがちになる

この状態が長く続くと、筋力や体力が低下し、寝たきりに近い状態へと進むリスクが高まるのです。

ただし、更年期うつで2ヶ月間寝たきり状態であっても、家族の支えや適切な対処でゆっくり回復に向かったというケースもあります。

決して一人で悩まず、周りの人に頼ること、そして専門家の力を借りることが大切です。

《更年期うつによる寝たきり》4つの回避策

「もしかして、いつもと違うかも?」と感じたら、早めの行動が大切です。更年期うつによる寝たきりを避けるために、以下で紹介することを心がけてみてください。

1.医師や専門家に早めに相談する

気分の落ち込みが2週間以上続いたり「何もする気がしない」という状態が続くようなら、ためらわずに婦人科や心療内科といった病院を受診してください。

医師に相談することで、ホルモン補充療法、薬物療法、カウンセリングなど、自身の状態に合った適切な治療を受けられます。

「薬には抵抗がある」という方もいらっしゃるかもしれませんが、すべてのケースで薬が必要というわけではありません。まずは自身の希望も含めて、医師に相談してみましょう。

2.からだを動かす

無理のない範囲で運動することにより、気分転換になり心とからだの回復を促します。

たとえば、近所を少し散歩したり、簡単なストレッチをしてみたりするだけでもよいでしょう。とくに寝る前の10分間のストレッチは、気分の落ち込みの改善に効果が期待できるという研究もあります。2

家族と一緒に取り組むことで、続けやすくなります。ぜひみなさんで取り入れてみてください。

3.無理をしない環境作り

今は「休むこと」が何よりも大切なときかもしれません。

これまで当たり前にこなしていた家事や仕事も、すべて一人で抱え込まずに周りを頼ってよいのです。たとえば、家事を家族に手伝ってもらったり、職場では上司や同僚に体調を伝えて業務量を調整してもらったりしましょう。

「迷惑をかけるのでは」と不安になるかもしれませんが、からだと心を守るためには周りにお願いすることも大切です。できることを少しずつ増やし、焦らず自分をねぎらいながら過ごしていきましょう。

4.リラックスする習慣を作る

心とからだの緊張をゆるめる時間を、毎日の中に少しだけでも取り入れてみましょう。

たとえば、好きな香りのアロマをたいたり、心地よい音楽を流したり、温かいお風呂にゆっくり入ったりするのもおすすめです。また、深呼吸するだけでも、緊張していた心とからだがふっと軽くなることがあります。

「リラックスしないと」と気負わず、小さなことでも自分が心地いいと感じられることを取り入れていきましょう。

家族も知っておきたい!更年期うつによる寝たきりを防ぐ接し方

家族の支え方しだいで、更年期によるからだと心の不調が軽くなることもあります。ここでは、更年期うつによる寝たきりを防ぐために家族に知っておいてほしい接し方を解説します。

共感的な態度を意識する

「気の持ちようだよ」「もっと頑張ろう」などの言葉は、本人にとって追い詰められるように感じるかもしれません。本当に必要なのはアドバイスではなく、話を遮らず受け止める姿勢です。3

「つらいよね」「いつもそばにいるよ」といった共感的な声かけが支えになります。[3]

小さな成功体験を積み重ねる

「今日は洗濯物をたためた」「少し外に出られた」など、どんなに小さなことでもできたことはすばらしい前進です。

本人と一緒に、小さな一歩を喜びましょう。その成功体験の積み重ねが自信となり、次の一歩を踏み出す力になります。

家族全体の協力体制を整える

支えてくれる家族も、無理をして疲れてしまうことがあります。パートナーだけで抱え込まず、家族全体で協力しましょう。また、信頼できる周りの人に相談してみることで負担を軽くできるかもしれません。

家族みんなが無理なく支え合えると、本人も安心して過ごせるようになります。

本人の「心の安全基地」であり続ける

否定せず、焦らせず、どんな自分でも受け入れてくれる家族の存在は、何よりの支えです。

家庭が安心して気持ちを休められる心の安全基地になるように、本人に伝えていきましょう。「そのままのあなたでいいんだよ」という言葉が、回復への大きな力になります。

更年期うつと寝たきりについてよくある質問

更年期うつと寝たきりに関して、よくある疑問にお答えします。「私ってどうなんだろう」と感じている方も、少しでも安心できるきっかけになれば幸いです。

Q.更年期うつとうつ病の違いは何ですか?

更年期うつは、女性ホルモンの急激な変化によって引き起こされるのが特徴です。うつ病と比べて、不眠や倦怠感、動悸などのからだの症状が前に出やすい傾向があります。

主な違いは以下のとおりです。

項目      更年期うつ       うつ病
おもな原因・女性ホルモンの急激な変動・ストレス・性格の傾向・環境要因・神経伝達物質の減少
発症時期・40代~50代の更年期世代に多い・年齢に関係なく発症
おもな症状・やる気の低下・イライラ・気分の落ち込み(だるさ、動悸、ほてりなどの身体症状を含む)・持続的な気分の落ち込み・興味の喪失・強い自己否定感・食欲低下や疲れやすさなどの身体症状
治療法・ホルモン補充療法(HRT)・カウンセリング・抗うつ薬・抗うつ薬・認知行動療法・カウンセリング
受診する診療科・婦人科または心療内科・心療内科または精神科

もし心やからだに違和感を覚えたら、ひとりで悩まず受診してみてください。早めの対応が、回復への近道になります。

Q.更年期障害で外出できない・引きこもりになるのは重症ですか?

外に出るのがつらいと感じても、かならずしも「重症」というわけではありません。

ただし、日常生活に支障が出ている場合は、専門的な治療やサポートが必要なこともあります。更年期の症状は「我慢しすぎないこと」が大切です。まずは、医師に相談してみましょう。

Q.更年期うつで受診するのは婦人科?心療内科・精神科?

更年期うつは、女性ホルモンのバランスの乱れが関係しているため、ホットフラッシュや動悸などからだの更年期症状がある場合は、まずは婦人科の受診がおすすめです。精神的な症状が強かったり、長引いたりしている場合は、婦人科から心療内科や精神科を紹介してもらえることもあります。

「どこに行けばいいかわからない」というときも、婦人科に相談してみましょう。

更年期うつの寝たきりは抱え込まずにみんなで防ぐ!

更年期うつによる寝たきり予防には、早めの対策が重要です。家族や周囲の人の支えも力になるため、ひとりで抱え込まず、周りに頼るように意識してみてください。

そして医師や専門家に相談し、無理のない生活を心がけながら、自分のペースでゆっくり回復を目指していきましょう。

参考

  1. 更年期の心の健康|島根県 ↩︎
  2. 中年女性の更年期症状および抑うつ症状に対するストレッチの効果:ランダム化比較試験―Menopause に掲載された英語論文の日本語による二次出版―|甲斐裕子ら ↩︎
  3. 更年期障害と更年期に好発する精神疾患|髙橋彩子ら ↩︎
要注意!更年期の「うつ」で寝たきりになる?

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この記事を書いた人

榎本なつみのアバター 榎本なつみ 【看護師・保健師】

総合病院のCCU・ICUでの経験を通じて、命を支える医療とともに、家族看護の大切さを学ぶ。退職後は訪問看護師として地域に根ざしたケアで利用者や家族をサポートしている。

自身が性に悩んだ過去や、更年期に苦しむ家族を目の当たりにした経験から、フェムテック分野に強い関心を抱くようになる。ライターとして、同じ悩みを抱える方々に向けて情報を発信し、自分のからだを大切にするための知識を広めることに力を注ぐ。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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