【50代女性の理想の睡眠時間】更年期との関係は?

何時間寝てる?更年期のせいで眠れない時の対策
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50代に入ってから「夜中に何度も目が覚める」「以前より睡眠時間が短くなった」と感じることはありませんか?

年齢とともに睡眠の質は変化しやすく、その原因の一つに更年期の影響が考えられます。

しかし、すべての睡眠トラブルが更年期によるものとは限りません。

この記事では、50代女性の理想的な睡眠時間と、更年期による影響かどうかを判断する方法、さらに質のよい睡眠をとるための対策について解説します。

目次

50代女性のベストな睡眠時間

50代女性の理想の睡眠時間は、「6時間以上」が目安とされています。

しかし、実際には6時間未満の睡眠で過ごしている人が多く、睡眠の質にも課題があることがわかっています。

「令和5年国民健康・栄養調査」によると、50代女性でもっとも多い平均睡眠時間は5時間以上6時間未満でした。また、5時間未満の睡眠である人も16.1%いることが明らかとなっており、50代の半数以上は6時間未満の睡眠である結果でした。1

さらに「睡眠で休養がとれている」と感じている割合は64.6%にとどまり、20代以上の世代でもっとも低いこともわかっています。[1]

とはいえ、睡眠時間が長ければ質も高まるというわけではありません。

海外の研究では、睡眠時間を十分に確保していても「不眠症」と診断されるケースがあり、心理的な要因がある傾向を示しています。2

つまり、「よい睡眠」は、適切な睡眠時間と質の両方が確保されていることが重要なのです。3

「7時間以上寝ても疲れが取れない」人もいれば「5時間でもスッキリ起きられる」人もいます。睡眠時間だけにとらわれず、自分に合った睡眠リズムを整え、質のよい眠りを確保することが理想の睡眠につながります。

睡眠の質が落ちる理由<年齢のせい?更年期の影響?>

50代になると「眠りが浅くなる」「途中で目が覚める」「寝つきが悪い」などの変化を感じることが多くなりがちです。その原因として、以下のような要因が考えられます。

  • 加齢による生理的変化
  • ライフスタイルの影響
  • 病気や薬の影響
  • 更年期症状

自分にあてはまるものがあるか、確かめながら読み進めていきましょう。

加齢による生理的変化

年齢を重ねることで、睡眠の質は自然に変化します。とくに、以下の点が影響すると考えられています。

加齢による変化解説
徐波睡眠(深い睡眠)の減少4夜間の睡眠が浅くなり「ぐっすり寝た」という感覚が得られにくくなる
ステージ1睡眠(浅い眠り)の増加[4]覚醒しやすい状態が増え、外からの刺激や体内の変化によって目覚める可能性が高まる
体内時計の変化5加齢により体内時計(サーカディアンリズム)が前倒しになるため、早寝早起きの傾向が強まり、夜間の中途覚醒や早朝覚醒が増える
ホルモン分泌量の低下6睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量が加齢とともに減少するため、寝つきが悪くなったり、夜間に目覚めやすくなったりする

これらの変化は自然なものですが、工夫次第で質のよい睡眠を確保することは可能です。

ライフスタイルの影響

50代になると、若いころと比べて活動量が減ることが多く、適度な疲労感が得られにくくなります。その結果、夜の眠りが浅くなり、睡眠時間も短くなる傾向がみられます。

また、夜間の眠りが浅いと日中の眠気を補うために昼寝が増えることがあります。しかし、昼寝のしすぎはさらに夜の睡眠を浅くし、悪循環を引き起こしかねません。

そのため、睡眠の質を改善するためには、日中の適度な運動30分以内の短時間の昼寝が有効になるでしょう。

病気や薬の影響

加齢とともに関節痛や睡眠時無呼吸症候群などの病気が増え、睡眠に影響を与えることがあります。

また、を服用していると、副作用として睡眠障害が起こる可能性もあります。気になる場合は、かかりつけ医に相談してみるのもよいでしょう。

さらに、加齢やホルモン変化の影響で更年期には頻尿になりやすく、中途覚醒の原因となることが少なくありません。

更年期症状

50代女性の睡眠トラブルの原因として、更年期によるホルモンバランスの変化が関係していることもあります。

一般的に、50代の女性は更年期にあてはまる年代で、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が低下しやすい時期です。エストロゲンの減少が以下のような更年期症状を引き起こし、眠りを妨げる傾向にあります。

  • 夜間のホットフラッシュ
  • 更年期の精神的症状である不安や落ち込み
  • セロトニン(睡眠にかかわる脳内神経伝達物質)の不足

更年期の影響を判断するには、睡眠の悩み以外に上記のような更年期症状(ホットフラッシュ、気分の浮き沈みなど)があるか確認するのがポイントです。

もしあてはまった場合は、更年期対策を取り入れることで睡眠の質が改善するかもしれません。

もしかして更年期のせい?睡眠の悩みチェックリスト

ここまで読み進めた結果「もしかしたら更年期のせいで眠れないのかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。

  ●夜中に何度も目が覚める
  ●急に暑くなり寝汗をかく
  ●寝つきが悪くなかなか眠れない
  ●布団に入ってから不安や嫌なことを考えて眠れなくなる
  ●朝早く目が覚めてしまう
  ●日中の眠気や疲労感が強くなった

こまらの症状が続く場合、主に更年期によるホルモン変化、そしてストレスや生活習慣も関係している可能性が考えられます。

50代女性が睡眠の質を改善するためのポイント

睡眠の質を向上させるために、以下を試してみてはいかがでしょうか。

  • 生活習慣を変えてみる
  • 寝室環境を改善して深く眠る
  • ホルモンバランスを整える食事を意識する
  • 漢方サプリメントを活用する
  • 病院で相談する

生活習慣の見直し

睡眠の質を向上させるには、生活習慣の見直しを検討してみましょう。

  • 朝日をたっぷり浴びる
  • 夕方以降のカフェイン摂取を控える
  • 起床時間を一定にして体内時計を整える
  • 就寝2時間前にぬるめの湯舟にゆっくりつかる
  • 適度な運動(ストレッチやウォーキング)でリズムを作る

自分のライフスタイルで取り入れやすいものから、少しずつ始めましょう。

寝室環境を改善

快適な睡眠環境は、質のよい眠りに欠かせません。

以下を参考に、寝室環境を工夫してみましょう。

  • 寝具(枕・マットレス)を見直し、自分に合ったものを選ぶ
  • 室温や湿度を適切に調整する(理想は室温18~22℃、湿度40~60%
  • 眠る前にリラックスできる習慣(読書、アロマなど)を取り入れる

寝室環境の調整を習慣化することで、より深い睡眠を得られるでしょう。

ホルモンバランスを整える食事

更年期によるホルモンバランスの乱れが、睡眠の質に影響を与えることがあります。そのため、食生活を整えることも睡眠トラブルの改善策のひとつです。

とくに、大豆イソフラボンを含む食品は、体内で女性ホルモンに似た働きをするため、積極的に摂取するとよいでしょう。

豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品を毎日の食事に取り入れることがおすすめです。

漢方やサプリメントを活用

睡眠の改善には、漢方薬サプリメントが役立つ場合もあります。自分の体質に合ったものを選ぶことで、より効果的に睡眠の質を向上できます。

漢方薬は、抑肝散(よくかんさん)が不眠で使われることがあります。

自分の症状にはどの漢方が効果的?更年期に効く5大漢方薬詳しい漢方薬については、以下の記事も参考にしてください。

また、エストロゲンとよく似た働きをする成分「エクオール」を含むサプリメントが更年期の不調に効果があると言われています。

漢方薬やサプリメントは自己判断で使用するのではなく、事前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

病院で相談する

睡眠の問題が更年期症状と関連している場合、婦人科での相談が有効です。

たとえば、女性ホルモン補充療法(HRT)は、減少した女性ホルモンを補うことで更年期のさまざまな症状を改善する効果が期待できます。

また、睡眠の悩みがメインの場合は、内科心療内科で相談するのも選択肢の一つです。

自分に合った対策でぐっすり眠れる毎日を

50代の理想の睡眠時間は6時間以上とされていますが、「よい睡眠」と感じる基準には個人差があります。たとえ睡眠時間が短くても、満足感が得られていれば過度に心配する必要はありません。

また、50代女性の睡眠トラブルは、ストレスや生活習慣だけでなく、更年期症状・更年期障害も関係している可能性があります。まずは自分の睡眠の悩みを把握し、生活習慣の改善や環境の見直しなど、身近なところからできる対策を試してみましょう。

それでも眠れない日が続く場合は、専門家に相談することも大切です。適切なサポートを受けることで、無理なく睡眠の質を向上できるかもしれません。

自分に合った方法で睡眠を整え、心地よい毎日を手に入れましょう。

参考文献

  1. 令和5年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省 ↩︎
  2. Insomnia with Objective Short Sleep Duration: the Most Biologically Severe Phenotype of the Disorder|PMC ↩︎
  3. 健康づくりのための睡眠ガイド 2023|厚生労働省 ↩︎
  4. Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human lifespan|PubMed ↩︎
  5. Contribution of circadian physiology and sleep homeostasis to age-related changes in human sleep|PubMed ↩︎
  6. 高齢者の生体リズム異常とライフスタイルに関する研究|厚生労働科学研究成果データベース ↩︎
何時間寝てる?更年期のせいで眠れない時の対策

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この記事を書いた人

榎本なつみのアバター 榎本なつみ 【看護師・保健師】

総合病院のCCU・ICUでの経験を通じて、命を支える医療とともに、家族看護の大切さを学ぶ。退職後は訪問看護師として地域に根ざしたケアで利用者や家族をサポートしている。

自身が性に悩んだ過去や、更年期に苦しむ家族を目の当たりにした経験から、フェムテック分野に強い関心を抱くようになる。ライターとして、同じ悩みを抱える方々に向けて情報を発信し、自分のからだを大切にするための知識を広めることに力を注ぐ。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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