イライラの原因は定年退職?男性ホルモン低下との関係とは
今回は、薬局に最近頻繁に来るようになった60歳過ぎの男性患者様とのお話しです。
ご家族の処方箋まで持ってきてくださるようになりましたが、薬局に来るたびに大声で怒鳴り散らし、スタッフが怖がるだけでなく、待合室にいる他の患者様も怪訝な表情になってしまっていました。
いつも薬局で大騒ぎする男性
早くしろ!
先にお越しになられている方がいらっしゃいます
順番にお作りしますので、しばらくお待ちいただけませんでしょうか
いつも来てやっているのに、融通を聞かせろよ
うわ、またや………
薬局の雰囲気が悪くなるから嫌やなぁ
いつもお越しいただいているのはありがたいのですが、順番を変えることができないのです
なんだと!お前は俺の言うことが聞けないのか!!
今日はやけに機嫌が悪いなぁ
ピリピリしていて薬の確認もできず……
今日はいつものコレステロールを下げるお薬が処方されていませんね
血液検査の結果が良かったのですか?
俺の体の事は俺が1番わかっている
聞かなくても大丈夫だ
確かにそうなのですが、やはりコレステロールが高い状態が続いていると血管に負担がかかります
血液検査の結果に問題がなければ減らしていただいても良いのですが、そうでない場合自己判断で服用していると、次第に血管に対して負担がかかり、思いもよらない重大な病気に罹患する場合もございます
そんなん、いちいちお前に言われなくても、わかっている
はぁ……こんなにピリピリされたら話にくいなぁ
しかも、この患者さん大阪弁で話しかけたらなんでか叱られるから、なるべく丁寧語で話さなあかんの気を使うわ
イライラの原因は環境の変化?
男性ホルモンと呼ばれる「テストステロン」は生殖器だけに働きかけるものではありません。
個人差はありますが、40歳を過ぎた頃から、男性から分泌されるテストステロンの量が徐々に低下します。またテストステロンの分泌量はストレスや環境の変化によって急激に低下することもあります。
定年退職や転職などの環境の変化をきっかけに、イライラしたり、誰かに当たったり、不安を感じたり、きついことを言ってしまったりする場合もあります。
周囲の人も、歳のせいだとあきらめず、ホルモンケアをすすめるようにしてくださいね。
定年退職後の疎外感がテストステロンを低下させていた!?
いつもワンちゃんと一緒に来られますが、お散歩はよくされているのですか?
定年退職してやることがないから暇つぶしに
それに妻は毎日友達と出かけてばかりで、俺の事はほったらかしだしね
体を動かすというのは良いですよね
毎日継続されているなんて、素晴らしいです
会社勤めをしていた頃は、朝早く家を出て、夜遅くまで俺は仕事をしてきたんだ
犬の散歩ぐらいたいした事は無い
そんなことで褒められても俺は喜ばない
俺が会社にいた頃は、俺が指示すれば皆が黙ってついて来た
なのに今では誰も俺の話すらを聞かない
もう俺なんてこの世にいないほうがいいんだよ
よくよくお話しを伺うと、長年お勤めでいらした大企業を最近定年退職したそうです。企業にいる頃は、自分を慕う部下がいたが、退職すると家族以外に、自分の話しを聞いてくれる人もおらず、疎外感を感じていた様子です。
男性こそ一匹狼にならずコミュニティに入りましょう
怒鳴り散らして、周囲に迷惑をかけているこの男性。もしかすると寂しかったのかもしれません。
きっとこの男性も会社に勤務していた頃は、「仕事」という名目で、話しかけたり、何かをお願いしたりできたことでしょう。しかし、そのようなコミュニティーがなくなってしまった時、自分の将来や健康に不安を感じても誰に相談して良いかわからず、モヤモヤした気持ちを「怒り」でしか表現できなかったのかもしれません。
一般的に、他人と適度に競い合うことや、自己表現して認められることで、男性から優位に分泌されるテストステロンの分泌が高まると言われています。
例えばゲームやスポーツ観戦、同窓会やコーチング、ボランティアなど、社会やコミュ二ティーで自己表現できる場所に参加するのも良いでしょう。
退職しても自分の居場所を作ることは大事ですね。