【アラフォー男性医師の実体験シリーズ Vol.3】男性更年期診療のリアル~診療する立場医師の視点から~

【アラフォー男性医師の実体験シリーズ Vol.3】悩む男性へのメッセージ 医師も感じる男性更年期の難しさとは?
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近年、メディアでも目にする機会が増えている男性更年期障害。更年期に関しては、いまや女性だけでなく、男性の間でも関心が高まっているトピックスの一つです。とはいえ、病院に行ったり、周囲に相談したりするのは、ハードルが高いと躊躇している人が大半と言われています。

そんなときにTRULYがオススメする記事は、連載中の「アラフォー男性医師の実体験シリーズ」。ここではKARADA内科クリニック渋谷で感染症専門医・内科医として多忙な日々を送っている田中雅之院長に、医師としてだけでなく、一人の男性として感じていることを語っていただいています。

第3回目は、診察する際の心がけ更年期障害に悩む方へのアドバイスなどについて、お話いただきました。

―内科で診察に来る患者さんのなかに、男性更年期障害の方は増えていますか?

「私は男性更年期ではないでしょうか?その症状と合致しています」のような訴えで受診される方の数はあまり多くはありませんが、自分が医者になった約15年前に比べると、男性更年期障害について調べている方が増えているなと感じることはあります。実際、患者さん自身から男性にも更年期あるんですよね?」と聞かれることもあるくらいです。

―そういう場合は、どのように対処されているのでしょうか

私自身、地域の開業医・つまり渋谷のクリニックの医師(健康に関するあらゆる困り事に対する身近な相談役)として意識しているのは、みなさんが抱えている健康上の困りごとをどんな時でも気軽に相談できる窓口でありたいということです。そのために、普段から医学や健康分野のみならず、その他の分野にも手を出しながらいろんな事柄への幅広くアンテナを張るようにしています。とはいえ、正直な話をすると、男性更年期障害に関してはまだ情報が少ないので、私たちにも“手札”があまりないのが実情です。

医者の場合、国家試験によく出るような問題に関しての知識はつねにアップデートされるのですが、それ以外までなかなかすべてを追えないことも多いのかなと。ただ、男性更年期障害の方も増えているので、医師としてどんな提案ができるのかはつねに考えています。少しでもみなさんの手助けになるような選択肢を用意できたらいいなという思いです。

―医療関係の方々にとっても、男性更年期障害はまだ“新しい領域”ということですね

そうですね。医師たちも実際に医療現場で患者さんたちを診察し、コミュニケーションを取るなかで、教科書通りに対応してもよくならない方に必ず出会います。そういうときに、医師としての限界を感じて立ち止まるという経験は誰にでもあるものですが、おそらくその一つが男性更年期障害ではないでしょうか。それくらい隠れ潜んでいるような症状であることが多いなので、医師たちももっと知識を得たいと考えているところだと思います。

―内科医として診察をする際、男性更年期障害を見逃さないために気を付けていることはありますか?

内科領域の病気ではなさそうだなと判断しておしまいではなく、精神的に負荷がかかり心療内科的な医療が必要なものなのか、目の前の患者さんに何か医療でお手伝いできることはないものかと幅広い視点から診療を心がけています。

そういうなかで、男性更年期障害とどのくらい合致した症状があるかを確認するということもあります。

―男性更年期障害の症状を訴える方には、どういったアドバイスをされているのかを教えてください

まずみなさんにどのような日常生活を送っているのかを聞くところから始めますが、そうすると不健康そうな要素がどんどん出てくることに遭遇します。「基本的に毎日飲み会です」とか「睡眠はこの半年連日3-4時間です。」「運動は10年くらいしていません」とか…。しかも、それらを当たり前、体に悪いことだと認識されていない方をよくお見受けします。

とはいえ、色々な事情があってのその生活だと思うので、いきなり全部を改善するのは難しいことも理解しております。まずは「週に2~3日くらいは休肝日を設けられるように、どうしても行かないといけない飲み会だけにしてみてください」といった感じで無理のない範囲から提案。セルフケアからは程遠い生活を送っている方もいますが、少しでも意識するきっかけになったらいいなと思っています。

―男性更年期障害で悩んでいる方や将来に不安を感じている40代以降の男性へのメッセージをお願いします

生活していればいいときもあれば悪いときもあるので、誰にでも“波”があると思います。でも、その幅を少しでも小さくしておけば心地よく過ごせるはずなので、「自分がどういうときに大波を感じてしまうのか」とか「どうすればさざ波になるのか」みたいなことを知っておくのが大切です。

特に40代以降は身体も変わってきますし、すべてがうまく行くわけではないので、そういった術を知っておくと自分で波をコントロールできるのかなと。私も飲み会や会合の予定があったら、そのあと2日くらいは調子が整わない可能性が高いとわかっているので、「次の予定を入れるとしたら3日後に」という具合に予定が立て込まないようにできるだけ調整しています。といいつつ、私自身も実際はできないこともいっぱいありますよ。でも、「どうしたらひどいコンディションを作らないような環境にできるのか」といったことはみんなで一緒に考えていきたいものです。

お話をうかがった先生

監修医師

田中雅之先生


KARADA内科クリニック渋谷 院長

医学博士
日本感染症学会専門医・指導医
日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本医師会認定産業医

皆さんの様々な健康の困りごとをしっかり受け止め、共に考えて診療をすすめるため、“渋谷に根ざす”クリニックを目標にスタッフと共に、日々誠実に努力して参ります。

【アラフォー男性医師の実体験シリーズ Vol.3】悩む男性へのメッセージ 医師も感じる男性更年期の難しさとは?

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この記事を書いた人

志村昌美のアバター 志村昌美 【ライター】

大学卒業後、イタリア留学を経て映画宣伝会社に就職。
洋画や邦画の宣伝業務に従事する。その後、ワーキングホリデーでイギリスへ渡った際、ライターに転向。現在は映画監督や俳優のインタビュー、映画評、海外のエンタメ情報などを中心にWEBや雑誌で執筆中。
そんななか、TRULYとの出会いをきっかけに更年期やヘルスケアへの関心が高まり、医師のインタビューやアンケート記事の監修に携わるようになる。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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