なぜ止まらない?【更年期のイライラ】をどうにかしたい!

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「これまで気にならなかったことにもイライラしてしまう」

「最近、怒りやすくなった自分が嫌になる」

イライラなどの心の不調は、更年期の多くの女性が悩まされる症状です。ときには、止まらないイライラにどのように対処したらよいのかわからないという女性も少なくありません。

そこで今回は、更年期のイライラはなぜ起こるのか、イライラへの対処法についてお伝えしていきます。

目次

「家族にあたる」「八つ当たり」イライラの悩み体験談

48歳のKさんは、最近疲れやすさを感じています。月経周期もばらついてきたので、更年期を意識しはじめていますが、何よりも困っているのは家族へのイライラがコントロールできないことだそう。

夫と話すと腹が立つことばかりなので、ほとんど会話はありません。高校生の長男の反抗的な態度にも我慢ができず、ついカッとなり強くあたってしまい自己嫌悪……というつらい日々を過ごしています。

Kさんのように、更年期の女性で家族や周囲の人に「イライラして八つ当たりしてしまう」という悩みを持つ女性は多くいます。自身の心の変化についていけず悩みを抱えてしまう人もいますが、イライラをはじめとした精神的な症状は更年期症状の一つなのです。

更年期にイライラする原因【女性ホルモンエストロゲンとの関係】

更年期になると、卵巣機能の低下によりエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が減少します。エストロゲン分泌の指令を出している脳の視床下部は、実は自律神経の調整や睡眠・感情などをコントロールする役割も担っています。エストロゲンの減少にともない自律神経のバランスも乱れてしまうことで、イライラなどの心の不調がおこるのです。

また、エストロゲンが少なくなると脳の神経伝達物質の一つである「セロトニン」も減少してしまいます。セロトニンは、精神を落ち着かせてくれる働きがあり「幸せホルモン」とも呼ばれているものです1。そのため、感情をコントロールしづらくなり、急にカッとなってしまったり、イライラしやすくなったりするのです。

いつまで続くの更年期のイライラ

更年期のイライラに悩まされると、つらい症状が永遠に続くように感じてしまうかもしれません。しかし、イライラなどの不調は必ず終わりを迎えます

更年期は閉経の前後あわせて10年間を指します。日本人の閉経年齢の中央値は52歳と言われており2、個人差はありますが、更年期症状・更年期障害は40代後半〜50代前半にみられる一時的なものです。

更年期症状の中でも、イライラは更年期の前半にあらわれやすいといわれています3。更年期を迎えたばかりの時期では、脳の視床下部が「エストロゲンを分泌せよ」と指令を出すにもかかわらずエストロゲンはうまく分泌されません。そのため、視床下部はパニック状態になり、イライラ・不安などの心の不調があらわれやすくなるのです。

ただし、エストロゲンの減少に体が慣れてくると、しだいにイライラも落ち着いてくるのが一般的。個人差はありますが、閉経から1年以上過ぎるとイライラの症状は少なくなるともいわれています3)。イライラの終わりの時期を知るためには、閉経を一つの目安にするとよいかもしれません。

更年期のイライラに対処法はある?

止まらないイライラが続いていても「更年期だから仕方ない」とやり過ごしていると、人間関係のトラブルにつながることも……。更年期のイライラを感じているなら、早めに対処することで症状を軽減できる可能性があります。

➀生活習慣を整えて心と体をリラックス

まずは生活習慣を整えることがイライラ解消への第一歩。不規則な生活習慣は自律神経のバランスを乱すので、イライラしやすくなってしまいます。

できるだけ生活リズムを整えることや良質な睡眠を心がけましょう。セロトニンの分泌をよくするために、朝起きてすぐに日光を浴びるのもおすすめです。ウォーキングやヨガなどのゆったりとした運動はストレス発散やリラックス効果も得られるので、イライラ解消を期待できます。

セロトニンの材料となる、トリプトファンやビタミンB6といった栄養素を意識した食事もおすすめです。

②漢方やサプリを取り入れる

イライラのほかに肩こりやホットフラッシュといった体の不調も感じている場合は、漢方薬やサプリメントの力を借りるのもおすすめです。

イライラを含む更年期症状によく用いられる漢方薬は「加味逍遙散です。加味逍遙散は、肩こりやのぼせ、冷えといった体の症状だけでなく、気の巡りをよくすることからイライラや不眠などの精神症状を和らげる効果を期待できます。

エクオール」のサプリメントも更年期症状の軽減に役立ちます。エクオールはエストロゲンに似た作用をもつサプリ。取り入れることで、卵巣機能の低下によるエストロゲンの変動を少なくして、更年期症状をゆるやかに改善してくれます。

➂病院で相談《ホルモン補充療法・向精神薬・カウンセリング》

イライラなどの心の不調は自分だけで解決するのはなかなか難しいもの。悩みを一人で抱え込まずに、婦人科のある病院を受診しましょう。

たとえばホルモン補充療法(HRT)は、不足する女性ホルモンを補うことで心身の不調を和らげるのに役立ちます。イライラや不安が強くみられる場合は、抗不安薬や抗うつ薬などの処方やカウンセリングを行うこともあります。

更年期の症状や程度は人それぞれ。専門家のアドバイスのもとで自分にあった治療をすることで、心のつらさを少しでも軽くできるでしょう。

イライラしても自分を責めないで

更年期のイライラは女性ホルモンの減少が関係しており、セルフケアや漢方・サプリ、病院受診によって対処することで改善できることをお伝えしました。

ちょっとしたことでイライラしてしまうのは、あなたが悪いのではなく更年期のせいなのです。イライラを止められないことに、自分を責めたり不安に思ったりする必要はありません。

心にゆとりをもちながら、更年期をしなやかに乗り越えましょう。

出典:

  1. e-ヘルスネット(厚生労働省)セロトニン ↩︎
  2. Yasui T, Hayashi K, Mizunuma H, et al. Factors associated with premature ovarian failure, early menopause and earlier onset of menopause in Japanese women. Maturitas 2012; 72: 249-255.  ↩︎
  3. 中村幸雄ほか. 生殖・内分泌委員会報告 : 本邦におけるHRTの現状と副作用発現検討小委員会(平成9年度~平成10年度検討結果報告). 日本産科婦人科学会雑誌, 1999, 51(12), 1193-1204. ↩︎
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この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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