発毛治療専門医に聞く、薄毛と白髪のためのセルフケアと注意点
女性にとって、若々しさと美しさを維持するために欠かせないものといえば頭髪の健康。そのなかでも、人目につきやすい薄毛や白髪に関する悩みは尽きませんが、実際にどういったケアをしたらいいかわからないという人は多いと思います。
少しでも症状を改善させるために、大切なのは正しい知識。そこで、女性たちが抱える頭髪の悩みに早くから取り組み、上手に歳を重ねることを提唱する「ウェルエイジング」を掲げているクレアージュ エイジングケアクリニックの総院長・浜中聡子先生に、ヘアケアにおけるポイントや注意点などについて、教えていただきました。
Q.薄毛や抜け毛に対して、自分でもできる対策はありますか?
まず大事なのは、食事の栄養を見直すことと、睡眠時間をきちんと取ること。もし、更年期に入っているのであれば、ホルモンのバランスをよくするサプリメントを摂取してみるのもいいかもしれませんね。ただ、これはホルモン補充療法に関しても言えることですが、あくまでも更年期障害による症状の緩和に効果があるものであって、それによって髪の毛が生えることはないので、そのあたりも考慮したうえで治療を受けるようにしてください。
Q.頭髪にいい食べ物や栄養素について、教えてください。
髪の毛の原料はタンパク質なので、肉や魚、大豆、卵などいろんな食材からタンパク質を摂取していただくのがいいかなと思います。カロリーが高いので、タンパク質を減らしたくなるかもしれませんが、お肌の質を保つためにも、免疫力を高めるためにも、タンパク質は削らないでいただきたいです。
Q.「髪には海藻がいい」とよく言われていますが、本当ですか?
わかめや海苔、ひじきなどの海藻類は悪くありませんが、単品で食べるだけではダメで、海藻だけで髪が生えるということはありません。やはりタンパク質がメインで、そこにプラスアルファして海藻類というのが理想的ですね。
Q.頭皮のマッサージは、したほうがいいのでしょうか。
絶対にしたほうがいいというわけではなく、するのであれば2~3分のマッサージを1日に1、2回するくらいでも十分だと思います。ただ、気を付けて欲しいのは、髪が濡れているときにはしないこと。濡れた髪は弱いので、乾いた状態で軽くブラッシングしてからしてください。それから、こすったり叩いたりするのではなく、指を使って頭蓋骨から頭皮をほぐすような感じでするのがポイントです。
Q.髪は毎日洗ったほうがいいですか?
たまに、抜け毛が心配でシャンプーの回数を減らす方がいますが、それだと頭皮の環境が悪くなって逆効果ですし、たとえ3日に1回にしたところで、抜ける毛の数はあまり変わりません。抜け落ちる毛というのは、抜けるべくして抜けるものなので、結果的に1回で3日分まとめて抜けるだけです。特に、日本は高温多湿の国ですし、いまの時期はウイルスが付着する場合もあるので、毎日洗うほうがいいと思います。
Q.では、頭髪のために気を付けたほうがいいことがあれば、教えてください。
常在菌が増えてしまうので、髪を洗ったあとは自然乾燥ではなく、根本からしっかりと乾かすようにしてください。あと、髪も頭皮も痛むのでブリーチは避けたほうがいいですね。カラーリングやストレートパーマなども、効きがいいものほど負担は大きいので、たまにはヘアマニュキュアやカラートリートメントのような負担の少ないタイプを使うなどして、調整していただくのがオススメです。
ほかにも、紫外線に過剰にあたるとか、逆毛を立てる、ブラッシングをし過ぎて静電気を起こすと切れ毛や抜け毛の原因になります。ヘアアイロンも使いすぎると乾燥や退色を引き起こし、枝毛になるので、ヘアオイルなどを使って熱の負担を抑えていただきたいです。最近は、低温でもうまくまとまるタイプがあるので、そういったものをうまく活用してみてください。
Q.女性にとっては、白髪も悩みの一つですが、減らすことはできますか?
残念ながら、白髪は減らすことも止めることもできません。「メラノサイト」という色素細胞を増やせば髪も黒くなりますが、それが多いと肌がシミとホクロだらけになってしまうため、髪だけを黒くできる治療がないというのが現状です。ただ、栄養と睡眠をきちんと摂って、しっかりとヘアケアをすれば、遅らせることはできます。とはいえ、髪の毛というのは、結果が出るまでに時間がかかるので、なるべく早めにアプローチしましょう。
Q.白髪や薄毛を目立たなくする方法があれば、教えてください。
白髪に関して言うと、まずはあまり黒く染めすぎないこと。黒すぎると白髪が生えてきたときに、かえって分け目がはっきりとしてしまいます。黒髪の色味も年齢とともに薄くなってくるので、少し明るめの色にしてみたり、メッシュを入れたりすると白髪が目立ちにくくなると思います。
あと、薄毛が気になる方は、前髪を作ってみたり、カットの仕方を工夫してみたり、週単位や月単位などを目安に分け目を変えてみたりしていただくといいのかなと。ご自身ができる範囲で結構なので、いつも同じにならないような意識を持つだけでも違いが出るはずです。
Q.頭髪に悩みを抱えている女性たちに、メッセージをお願いします。
症状に個人差はありますが、誰にでも悩みはあるものです。ただ、いまは年齢に応じた治療やケア方法がたくさんあるので、そういったものを受けながら前向きに進んでいくことができるようになっています。髪質も見た目も変わってくるものなので、若い頃と同じことをするのではなく、ご自身の変化とともにオシャレの仕方や似合うものを変えていきましょう。そうすることで、結果的には自然な若々しさを手に入れられると思います。ハードルが高いと感じる方も多いようですが、気になることがあれば、病院にもぜひ気軽に来ていただきたいです。
お話をうかがった先生
監修医師
浜中聡子 先生
クレアージュ エイジングケアクリニック総院長。
医学博士。
国際アンチエイジング医学会(WOSSAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、米国先端医療学会(ACAM)専門医[などの資格を取得。
発毛治療のほかに、頭髪に関する悩み(抜け毛・薄毛・白髪など)から更年期・女性ホルモンを専門として女性が抱える悩みに寄り添い、精神と身体の両面からケアする懇切丁寧な診療で多くの女性から高い支持を得ている。