【EDについて学ぼう】病気が隠れているかも?ED(勃起障害)と健康管理について
男性更年期の症状の中で、最も皆さんの関心が高いのがED(Erectile Dysfunction勃起障害)です。 EDとは、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が持続または再発すること」とされています。
EDは特別な病気ではありません。またEDの原因は、男性ホルモンであるテストステロンの低下だけではありません。しかし近年、EDが心筋梗塞などの心臓病や、糖尿病や高血圧などの生活習慣病とも深い関連があることが分かってきました。
今回の記事ではEDと健康管理の関係についてお伝えします。
EDの分類と原因
EDの原因は男性ホルモンの低下だけではなく、意外と複雑です。EDが起こる原因は下記の4つの種類に分類することができます。
1. 器質性ED
主に血管と神経の障害により起こるEDです。加齢により血管は老化し、弾力性が徐々に低下していくため、50~60代の中高年に多く見られます。
2. 心因性ED
30~40代の若い世代に多く、精神的なストレスによって、神経の性的な興奮がうまくペニスに伝わらないために起こるEDです。「またうまくいかないのではないか」と不安になり、EDを悪化させることもあります。
3. 薬剤性ED
他の病気で使用している薬が原因で起こるEDです。抗うつ薬・向精神薬・睡眠薬・降圧剤などで起こることがあります。
4. 混合性ED
上記の3種類の要因が複合的に絡み合って起きるEDで、原因の特定が難しいEDです。実際の治療現場では、最も多いとされています。
EDが教えてくれるサイン
心臓の病気とED
中高年のEDは加齢による血管の老化(動脈硬化)が原因の一つですがが、ここに心臓の病気が隠れていることがあります。 EDとの関連性が高いのは、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患です。
狭心症や心筋梗塞は、心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が狭くなったり、詰まったりして血流が悪くなったり、止まったりする病気です。
EDの中でも、器質性EDは血管が細くなったり、弾力性が低下したりして、血流が悪くなり、陰茎海綿体にも十分な血液が流れ込まなくなり、勃起しなくなります。
虚血性心疾患とEDは、血液の流れが悪くなる場所が違うだけで、同じメカニズムで起こっています。そして、陰茎動脈は心臓の冠動脈よりも非常に細いため、血液の流れが悪くなった影響を先に受けやすいのです。
実際に、複数の研究で心臓の病気とEDに関連性があるという結果が出ています。
糖尿病とED
米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の調査によると、糖尿病のある男性は、糖尿病のない男性に比べ、EDの発症率が2~3倍高くなると言われています。
糖尿病によって血糖コントロールが悪くなると、血管がダメージを受け、陰茎への血液の流れが悪くなり、陰茎海綿体にも十分な血液が流れ込まなくなります。これが原因で勃起しなくなるのです。
また、血糖コントロール不良は、神経損傷や神経障害も起こしやすくなり、勃起力に影響を与えます。つまり、糖尿病を患っている男性で、EDの症状がみられる場合は、糖尿病が悪化している可能性があるのです。
単なるEDと放置しないで
EDの治療をするというのは、心理的なハードルが高いものかもしれません。「年齢的なものだから」「性交渉しなければ気にならないから」……など症状があっても、アクションを起こさないままにしておきたい気持ちはよく分かります。しかし、EDの背景に、病気が隠れている可能性があります。
もしEDのような症状があるのであれば、一度EDの原因を調べてみることをおすすめします。専門の医師(日本性機能学会専門医)は、ほとんどが泌尿器科医です。もし自覚症状がある方は、泌尿器科やED専門外来などを受診して相談してみて下さい。