「SELF LOVE FES(セルフラブフェス)」@BE AT TOKYO イベント参加レポート《前編》

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〜相手と共有したい「境界線」「セックスのアクセルとブレーキ」。愛とセックスについて自分を知り大切にするためのワークショップ〜

SELF LOVE FESはセクシャルウェルネス、フェムテック、マインドフルネス、フィジカルヘルス、等のキーワードをもとに、さまざまなSELF LOVEにまつわる“ヒントや気づき”を得られるイベント。2022年4月に行われたこちらのイベントに、TRULYもワークショップおよびブース出展として参加しました。

TRUYの専門家、此花わかさんとTRUYのCOO真坂が行った「自分の価値は自分で決める!「3つの境界線」と「セックスのアクセルとブレーキ」をテーマとしたワークショップの様子をレポートします。

目次

皆さんにとって「愛とセックス」は、何だと思いますか?

TRULYでパートナーシップ、コミュニケーションについての記事を執筆し、チャット相談の回答者としても活躍中のセクシュアリティ・ジャーナリストでリレーションシップコンサルタントの此花わかさんからの、冒頭の質問がこちら「皆さんにとって愛とセックスは、何だと思いますか?」でした。

TRULY真坂(以下真坂):

愛は無限で、降り注ぐもの、セックスは、女性であることを思い出させること、女性であることの象徴だと思っています。

此花さん(以下此花):

面白いですね。私は愛は無限のものではないと思っているんですよね(笑)セックスは楽しいものだと思っています。

人によって愛は「貞節」と考える人もいれば、愛は「永遠」と考える人もいます。セックスは「単なる性欲」だと考える人もいれば、セックスは「愛」だと考える人もいます。

こんなふうに、私たちは人それぞれ「愛やセックスの定義」が異なりますよね。だから、パートナーシップを結ぶ時に、お互いの定義のすり合わせをやっていかないといけないのです。

でも「愛って何?」「セックスって何?」と相手に問いかけるのは、あまりにも漠然としすぎています。そこで今日はアメリカのセクソロジスト、エミリー・ナゴスキ博士が提唱する「3つの境界線」についてお話したいと思います。

お互いの「境界線」知ることの大切さ

此花:

境界線を簡単に説明すると、「他人にどう扱ってもらいたいか」「他人にされて嫌なこと」を指します。この境界線を「性、体、感情」の3つのカテゴリーに分けると自分自身をよく知ることができます。

性の境界線は性的にされていやなこと、体の境界線は体にされて嫌なこと、感情は感情的にされて嫌なこと、となります。

みなさんのお手元(下記に添付)の境界線のチェックリストは、私が「あるある」を書いたものです。でもみんなそれぞれ境界線は違います。ですのでサンプルとして見てみてください。家に帰ったら、ひとつひとつ自分の嫌なことをぜひ書き出してみていただきたいと思います。

今回残念ながら欠席となってしまったTRULYCEOの二宮さんと真坂さんにはこの3つの境界線のチェックリストの宿題を私から出していました。

二人が恋人どうしだったらという前提で重なるところをチェックしてみたのですが、性の境界線で二宮さんと真坂さんが、重なるところは10項目ある内の2つで「他の人とセックスしたら別れる」と「セックスの最中に髪の毛を引っ張らないでほしい」でした。もしこの二人がカップルだったら、性的相性はあまりよくないと思うんですよね(笑)

感情の境界線では二宮さんと真坂さんが重なるところ10のうち2つだけ、体の境界線では4つの内ひとつだけしかないですね。

真坂さん、二宮さんとのお仕事の相性、お友達としての相性はいかがですか?

真坂:

お仕事の相性はいいと思っています!友達としても、悪くはないと思うんですけど、二人の違いがあることがこれでもすごく分かります。だからこそいいのかなと思うんですが、カップルとしてはどうですか?

此花:

カップルとしては、相性の見分け方は境界線が重なる部分なんですね。境界線が重なる部分が多ければ多いほどカップルの相性は良いということになっています。価値観が合うということなんです。

でも二人がカップルとしての相性があまり良くないけれど、これから二人の仲を深めるためにはどうしたらいいかとなった時、方法はあるんですね。それは二人の境界線を広げていくこと、重なる部分を広げていくということなんです。

性の境界線のチェックリストで、真坂さんは妥協できる境界線はありますか?

真坂:

考えたことがなかったというのがあって、二宮さんがの希望があれば……受け入れるということですね。

此花さん:

いえ、完全に受け入れなくても良いんです。

自分の境界線、絶対に嫌なもの、例えばこれをやってしまったら自分が変わってしまう、価値観が変わってしまう、世界観が究極に変わってしまう、自分自身が失くなってしまう、というなことは、どんなに愛する人でも境界線を越えさせてはいけないんですね。

でも一回もやったことがなくて反射的に嫌だと思ったことで、もしやってもいいなというものがあれば、ぜひカップルでトライしてもらって、境界線を広げていってほしいですね。

意識的に自分の境界線を把握して、デートの時なんかに話し合って価値観が合うかどうか、というのをぜひやってみていただければと思います。

ひとつ注意していただきたいのは、私達は日々変わります。とくに女性は育児とか出産とか介護とかいろんなライフステージで価値観が変わっていきます。男女ともに境界線は変わっていくんですね。

「最近、価値観が合わないな」「なんか話しが合わないな」というふうに思ったら、意識的にお互いの「されて嫌なこと」というのをコミュニケートしてみた方が良いと思います。

あなたの「セックスのブレーキとアクセル」は?

此花:

自分の境界線を知った、これによって、真坂さんは自分のことを知ることができたと思いますか?

真坂:

すごくそう思います。考えたことがなかったので、境界線も含めて自分が妥協できること、そうでないことを考える機会になりました。

此花:

自分を知ることってなんだろうという時に、こういう概念やコンセプトがあった方が探求しやすいんですよね。自分を知って自分を愛そうと簡単にいうけれど、どうやっていいかわからないと思うんですよね。

真坂:

自分に選択肢がないということが分かったと思うし、知らないものに関しては探求もできないので、色々な例があるとわかりやすいなと思いました。

此花:

境界線を知った後は、自分の性のあり方について考えていきしょう。真坂さん、性欲は食欲とか睡眠欲と同じように、人間の三大欲求だと思っていますか?

真坂:はい、よくそう聞くので。

此花:

よくそういうふうに言われれるのですが、アメリカで今すごい人気のセクソロジストであるエミリー・ナゴスキ博士という、世界中を飛び回っている方が、20年くらい研究して分かったのは、性欲は三大欲求ではないということなんですよね。性欲は食欲や睡眠欲よりもはるかに複雑なもので、とくに女性のセクシュアリティはもっと複雑だということがわかったんです。

例えば人間はセックスをしなくても生きていけますが、睡眠欲と食欲は絶対ですよね。もしセックスが100%生理的な欲求ならば、日本の既婚者の51%がセックスレスという現象はおかしいですよね。

まず、セックスとは本能とかそんな簡単なものではないということを知ることが大事なんではないのかと思うのです。

ナゴスキ博士によると、性的欲求は生殖器で起こるものではなく、脳内で起こるということなんです。では脳内で起こることだとしたら、何が関係しているのか。それは私達の背景にあると論じています。セックスに至るまでの全ての生物学的・心理的・社会的な環境や状況のことです。セックスの最中もセックスの後もそうです。

この背景を知るためにナゴスキ博士は面白い概念を持ち出しているのですが、それが、「セックスのアクセルとブレーキ」という2つの力です。

セックスのアクセルは「自分が何に興奮するか」という力。ブレーキは「何が自分のセックスを止めているのか」というもの。セックスのアクセルがブレーキより強いと、性欲が過剰に感じられます。セックスのブレーキがアクセルよりも強いと性欲が低く感じられてしまう。

ナゴスキ博士が作ったセックスのアクセルとブレーキテストのセルフチェックを、難しく考えずに直感で回答してみてください。

実は過半数の女性がセックスのアクセルとブレーキの両方において、中間点にいたんですね。

ご自身の結果を見て、点数が高いから良いとか低いから悪いとかではなく、あまでアクセルとブレーキのバランス、自分の傾向を知ることが大切です

もしアクセルが強すぎて性欲が強すぎると感じたらブレーキの要素を日常に入れて性欲をコントロールします。性欲が低くてブレーキが強すぎてアクセルが効かない、ということであればブレーキとなる要素をを日常からはずしてみる、そんなことを試してみてください。

TRULYの読者への事前アンケートによるみんなのあるあるセックスのアクセルとブレーキ

此花:

今回、アクセルとブレーキのテストを事前にTRULYの読者にしてもらいました。その結果から「みんなのあるあるセックスのアクセルとブレーキ」をご紹介したいと思います。

セックスのアクセルで一番多かったのは「誰かに性的に求められると自分も性的に興奮してしまう」で、83.9%の回答者が点数をつけていました。ここに1以上を付けた方は、パートナーにほめられたり、ロマンチックな言葉をかけられたり、ロマンチックな行動をされた時に、あなたの性欲が増すということです。

二番目に多かったアクセルは意外だったのですが、「生理やホルモンバランスが変わると性的欲求が増す」が79%いました。生理中のセックスを控える人は多いですよね?

でも生理中はホルモンバランスで性欲を感じたりするんですよね。もし痛みがないのであれば、生理中にセックスをするのは全然構わないのですが、匂いや出血が気になる方はデリケートゾーン用の匂いをおさえるジェルなどを使って、パートナーにひとこと声をかけておくといいかもしれませんね。

セックスのブレーキのあるあるですが、一番多かったのは、「パートナーを信頼しないと性的に興奮しない」が80.7%でした。パートナーへの信頼関係が性欲に影響するということですよね。ここに点数をつけたかたはセックスよりもまずは信頼関係、友情関係を築くことに注力するといいと思います。

二番目に多かったのは、「状況や環境が正しくないと性的に興奮するのが難しい」で、76.7%いました。私は日本の住環境や生活習慣が一因のような気がするのですが、どう思いますか?

真坂:

イメージとして出産後にセックスレスになる人が多いというのも、寝室が別とか……狭いですからね日本の住環境は。

此花:

狭いとか、子供と添い寝するとか、子育て世代がセックスレスになってしまう原因の一つだと思います。加えてベビーシッターを雇って二人だけの時間を持つという習慣は無いので、子育て世代で環境、住環境とかに影響されている人がいたらぜひここは頑張って、ベビーシッターなり育児サービスなりで二人だけの時間を作るようにしてほしいと思いいます。

セルフテストの結果を全体的にみると、信頼関係、パートナーからもらえる自己肯定感、そのほかにも環境や状況、生理、そういったものが性欲に関係しているんだなということがわかりました。

でもこれは人それぞれなので、自分のセックスのアクセルとブレーキを自覚してコントロールしていくようにすれば、セックスの喜びがより出やすくなるんじゃないかと思いますので、アクセルとブレーキについて考えてみてください。

さて、前編はここまでです。ぜひ皆さんも「境界線」や「セックスのアクセルとブレーキ」のセルフチェックをご自身で試してみたり、パートナーと共有してみたりしてみてくださいね。

後編では読者の皆さんから事前にお寄せいただいた、性の悩みについて、此花さんから答えていただいた様子についてお届けします。

お楽しみに!

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この記事を書いた人

此花わかのアバター 此花わか 【リレーションシップコンサルタント】

ジャーナリスト
リレーションシップコンサルタント

アメリカの性とリレーションシップのコーチングスクールで学ぶ。セックスポジティブな社会を目指す「セクポジ・マガジン」を発信中。FRaU 、Newsweek、Huffpost、SPA!、FRONT ROW、GLITTERなどで執筆。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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