リスタートのきっかけに…更年期におけるパートナーシップの築き方【座談会】
現在、TRULYが推進パートナーとして取り組んでいるのが、ライフスタイル誌「メトロポリターナ」による女性の心と身体のケアを考える「フェムケアプロジェクト」。今回は、その一環として、更年期を控えた働く女性たちとともに座談会を開催しました。女性特有の健康課題や働き方と向き合うなかで、更年期とどのように付き合っていくべきか。そして、よりよいパートナーシップを築くうえで大切なことなどについて、語っていただきました。
■座談会参加者
ブランスクム 文葉さん 45歳
株式会社ゼロワンブースター コミュニティ開発チーム / ディレクター
オリエンタルランドで店舗運営や人材教育、ディズニーシー立ち上げを経験後、カルチュア・コンビニエンス・クラブに転職。経営管理部門、CFO秘書を経て野村證券へ。ファイナンシャル・アドバイザーとして15年、コンサルティング業務を行ったのち、2020年2月より01Boosterに参画。起業家支援・新規事業・新産業創出支援を行う。グロービス経営大学院でMBA習得。
久保 彩さん 43歳
株式会社フライヤー 新規事業担当 執行役員
大手OA機器メーカーにて、クライアント企業の業務システム開発の要件定義・設計・PJマネジメントに携わる。夫の海外転勤をきっかけに退職し、シンガポール在住中にMBA修学。帰国後にコンサルティング・ファームの新規事業 専門チームに属する。2020年2月より株式会社フライヤーの執行役員 新規事業担当に就任。
鈴木 美帆子さん 42歳
KonMari Media Japan 株式会社 コンサルタントコミュニティーディレクター
外資企業にて外国人エグゼクティブ付き秘書業務と2人の子育てを両立しながら、グロービス経営大学院の英語コースでMBA取得。家事代行マッチングサービス「タスカジ」の立ち上げに参画する。2019 年、KonMari Media Japanに入社。こんまり流片づけコンサルタントの育成やコミュニティ形成に情熱を注ぐ。
千葉 彩さん 36歳
一般社団法人RAC 代表理事/訪問歯科医師
キッズウェル・バイオ株式会社 社外取締役
養育里親を広く知ってもらい、親子に関わる人を増やすべく活動を開始。MBAを取得し、2018年に一般社団法人RACを起業。多様なテーマで里親の情報発信を行っている。現在は、シェアハウスで7人の子どもたちと合計20人の拡大家族で生活を送っている。帝京大学大学院公衆衛生学研究科(MPH)に在学中。
更年期のネガティブイメージは、情報不足が原因
―まずは、更年期に対してどのような印象をお持ちですか?
ブランスクム:私は45歳なのでちょうど更年期世代に入ったところですが、更年期には戦線離脱してしまうようなネガティブなイメージを持っています。現時点では体の不調を感じていないこともあり、あまり深刻に考えてはいないですが、まだそこに自分を置きたくないというのが正直なところですね。
久保:確かに、私も「更年期」というラベルを貼った時点で自分が弱々しくなってしまう気がしているので、ちょっと距離を置きたい感じはあります。特に、ホルモンの減退は美の減退に結びついてしまうというか……。仕事においても、40代から50代はいままでの経験が蓄積されてピークを迎えるときでもあるので、そこでセーブしなければいけなくなるのは悲しいことですからね。
鈴木:おそらくそれは、年上の女性がイライラしているのを見た人たちが「更年期なんじゃないの?」と陰で悪口のように言っているのを若い頃に散々見たのも原因かなと。女じゃなくなっていくというか、良くない状態に自分が近づいていってしまう感覚なんだと思います。
ブランスクム:いまだに、更年期は「イライラしているおばさんの代名詞」みたいな印象が強いですからね。
千葉:そうですね。私はシェアハウスで20代から40代後半の女性たちと一緒に暮らしているので、更年期についても話すことはありますが、親世代の問題だと考えていたほど。知識がないというのもありますが、何十年も先のことだと思って意識したこともありませんでした。
鈴木:実際、更年期に関する情報はなかなか入ってこないのが実情ではないでしょうか。とはいえ、これから自分の体がどうなっていくのかは気になるので、非常に興味はあります。
健康検診の項目に更年期検査も入れて欲しい
(写真後列左から鈴木美帆子さん、ブランスクム文葉さん、前列左から千葉彩さん、久保彩さん)
―では、更年期に対する認知度を上げるために、必要なことは何だと思いますか?
久保:まず、更年期は医療の力で検知できるのに、そのことを知らない人が多いというのは問題のひとつだと感じています。といっても、ただ不調なだけで婦人科に行くのはハードルが高いと感じている女性は結構いますよね。
鈴木:しかも、更年期の症状と言えば、ホットフラッシュとイライラくらいしか事例を知らなかったりしますから。経験者の方に話を聞くと、ホルモン補充療法で改善されたのを実感して初めて、体の不調がホルモンの乱れで起きていたことに気が付くそうですが、自分ではなかなか判断できないみたいです。私はミレーナを入れていることもあって、半年に1回くらいは経過観察として婦人科に行くサイクルがありますが、そうじゃなければ病院に相談に行こうとはならない気がします。
千葉:私もミレーナを入れてから定期的に婦人科に通うようになったので、そのおかげで病気の早期発見ができる場合もありますし、主治医がいる安心感を得られるようにもなりました。もともとは生理の回数やPMS(月経前症候群)の症状を抑えるために入れたものですが、そういう意味でも入れてよかったなと思っています。ちなみに、もし会社の検診とかで更年期検査みたいなのができたらどうですか?
久保:あったらありがたいし、ぜひやりたいです。たとえば、血液検査の項目に「○○歳以上の女性はオプションで更年期も調べましょう」といった項目があるといいですよね。
ブランスクム:特に、更年期は大きな症状が出るまで病院に行きにくい人もいると思うので、それが検診の段階で予防の一種として教えてもらえるのは、すごく助かるんじゃないかなと。ウェルビーイングやメンタルケアとしても、必要なことだと思います。どうやって啓蒙活動するのかは難しいところですが、会社でもマネージャー研修に入れて知識を学んでもらったり、働き方改革のなかに載せたりするのは大事かもしれないですね。
鈴木:あとは、男性にも更年期があるということがもっと認知される必要はあると思います。
更年期がパートナーとの関係を見直すきっかけとなる
―となると、パートナーシップの在り方も重要になってきますが、いい関係を築くために実践していることがあれば、教えてください。
ブランスクム:私はパートナーと同じアプリを入れて、生理日を共有しています。そうすると、何も言わなくても体調の変化を理解してくれますので。生理も更年期も、まずは自己開示から始めるべきかもしれないですね。
久保:そうですね。私もパートナーには、いつ生理が来るかは伝えていますが、先にわかっているだけで安心するようです。どれだけ近くにいても、相手に起きていることはわからないので、「イライラしているのは自分のせいかな?」みたいに勝手に想像してしまう場合もありますから。なので、更年期もお互いに知ろうとするのはいいことだと思います。
千葉:過去にはパートナーと自分の体調に関してまったくシェアできずにつらかったこともありますが、いまのパートナーにはちゃんと話せるようになりました。それができるようになったのは、ベースにしっかりとした信頼関係があるからこそ。今後、更年期についても、共有することで一緒に乗り越えたいと考えています。
鈴木:確かに、一番プライベートな話でもあるので、信頼関係がないとできないですよね。ただ、男性からすると、なかなか聞きにくい話題ではあると思うので、女性側から説明する機会を設けるというのは大事かなとは思います。
千葉:それに、女性から更年期の話をすれば、男性も「実は僕も……」といった感じで、自分の不調について話しやすくなる場合もありますからね。
心の距離を感じているのなら、まずは8秒間のハグから
久保:もし、その前に心の距離を感じてしまっている人がいれば、オススメは8秒間ハグすることです。8秒以上ハグをすると、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが出るらしいという記事を読み、まずは形からということで実践してみました。続けていると、だんだん自分を見せるのが心地よくなってきて、最初はテキストで気持ちを伝えていたものが、自分の口で言えるように。そんなふうに、パートナーとの関係も更年期をきっかけに元に戻せたらいいんじゃないかなと。
千葉:それが人生の第二幕になるといいですね。
ブランスクム:そうそう。夫婦としてのリスタートを切るための共通の話題になると考えれば、更年期も悪いことばかりではないのかもしれません。パートナーとの健全な関係を維持するためには、会社経営と同じで「ミッション・ビジョン・バリュー」が大事なのかなと感じています。
久保:あとは、“大人のためのホルモン教育”も必要じゃないでしょうか。
鈴木:確かに、そういう解説をしてくれるところがあるとすごくいいですよね。ぜひ、開催して欲しいです。
千葉:自分の体のことを知る機会がなさすぎるので、そういったことを知ることができたら、また自分との向き合い方も変わるような気がしています。
※注釈 「ミレーナ」は医療用医薬品名です。一般名はLNG-IUS(Intra Uterine System)と呼ばれるもので持続的に黄体ホルモンを放出し、子宮内膜を薄くする医薬品です。避妊以外では、過多月経・月経困難症に適応があり、装着には医師の処方が必要です。