「水っぽいのは大丈夫?」更年期・閉経前後に変わるおりもの

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女性の身体を守り「健康のバロメーター」として欠かせないものといえば、おりもの

子宮や腟からの分泌物のことを指し、女性なら誰にでもみられます。量、におい、色など生理の周期によって変化するのが大きな特徴で“カラダからのサイン”と呼ばれることもあるほど、女性にとっては重要なものです。

そしておりものは年齢によっても変化します。

今回は更年期世代にどのような変化がみられるのかを解説、さらに実際の体験談をご紹介したいと思います。

目次

変化のカギを握るのは女性ホルモン【エストロゲン】

おりものの量や状態は、女性ホルモン(エストロゲン)と深い関わりがあります。

エストロゲンは腟の粘膜を健康に保つ重要な役割を果たします。このホルモンが十分に分泌されていると、腟の粘膜は厚く、弾力性があり、適度な湿り気を保つことができます。これにより、自然なおりものが生産され、腟内の環境が清潔に保たれます。

そして年齢とともにエストロゲンが増減することに影響されて、おりものも変化するのです。

減る?増える?水っぽい?臭う?変化はおりものからのメッセージ

正常なおりものは白・透明・薄いクリーム色で、乾くと黄色くなります。においが無い、または少し酸っぱいにおいがするのが正常です。

異臭がある場合や、異常な色や質感(例えば、緑や黄色、泡立つ、カッテージチーズ状)が見られる場合、感染症、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れていることもあります。

おりものには主に3つの重要な役割があります。

1. 腟内の清潔を保つ

おりものは腟内を清潔に保つ役割があります。古い細胞や細菌を体外に排出し、腟内のpHバランスを維持します。

2. 感染症からの保護

腟のpH値は一般的に3.8〜4.5の酸性に保たれます。この酸性の環境は、有害な細菌の増殖を防ぎ、感染症から腟を守ります。

3. 生殖のサポート

排卵期に近づくと、より伸びやかで透明なおりものに変化します。排卵期のおりものは、精子の移動を助け、子宮内へ到達しやすくなります。

【通常】エストロゲンの減少とともにおりものは減る

女性の体は更年期には、健康面においてあらゆる変化を感じますが、これはエストロゲンの減少が密接に関与しています。

更年期に入るとエストロゲンのレベルが自然と低下しはじめ、腟壁は薄くなり、おりものの量は減少する傾向にあります。

しかし更年期はエストロゲンが乱高下する時期です。ホルモンのゆらぎが原因で、一時的にエストロゲンが増えたとき、おりものの量が急激に増えることもあります。

【萎縮性腟炎】黄色くて臭いが強いおりもの

萎縮性膣炎は、更年期や閉経後にエストロゲンの分泌量が低下することが原因で起こります。

エストロゲンが低下すると、腟の壁が乾いて薄くなり、腟の自浄作用も低下し、炎症が起きやすい状態になります。

主な症状は、黄色く臭いが強いおりもの、出血、腟や外陰部の痒み、性交痛、排尿時痛、陰部の灼熱感などです。

こうした腟の症状のほかに、尿意切迫感、尿路感染症なども含めた病気の捉えかたは「閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)」と呼ばれます。

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治療法は腟錠やホルモン補充療法があります。ホルモン不足が原因なので、少量の女性ホルモンを補充することで症状の改善が期待できます。

【細菌性腟炎】水っぽい大量のおりもの

細菌性腟炎は、腟内細菌のバランスが崩れたときに起こります。腟内環境が乱れ細菌が増殖すると、おりものから悪臭がするようになります。炎症所見がない場合には、細菌性腟症と称されることもあります。

細菌性膣炎は性感染症ではありませんが、性行為が原因となることもあります。ストレス疲労腟の洗い過ぎなどが原因にもなりますので、誰にでも起こる可能性があります。

主な症状は、水っぽい大量のおりもの、生臭いにおいのおりもの、外陰部の痛みや痒み、性交痛などがあります。

抗生剤の腟錠や内服薬による治療法があります。

【不正出血】茶色いおりもの

不正出血は、通常の月経周期外に起こる子宮からの出血を指します。

更年期の不正出血は、閉経に近づく女性にしばしば見られる症状です。ホルモンバランスが変化し、子宮内膜が通常とは異なる反応を示すことが不正出血の原因となることがあります。

しかし、不正出血には他の病気が隠れている可能性もありますので、早めに医療機関を受診しましょう。

【体験談】こう変わった!更年期のおりもの

実際におりものの変化を感じた女性の体験談を紹介します。

ケース1 水っぽいおりもので尿漏れかと思った(48歳・女性の場合)

更年期に入ってから、おりものの変化を感じるようになったというこちらの女性。以前は、生理や排卵日の前後に多かったおりものが、普段から増えてきたのを感じているのだとか。「特に水っぽいおりものが増えて、尿漏れかと思うことがありました」と話します。

いまのところ、かゆみを防ぐためにおりものシートをこまめにに交換して対応。そのほかに、デリケートゾーンのケアとして乾燥予防を行っているそうです。

ケース2 不正出血もあって子宮頸がんを疑った(62歳・女性の場合)

すでに閉経を経験した60代の女性は、更年期に差しかかった際、下着が汚れて困るほどおりものが増えてしまったのだとか。茶色でドロドロとしたおりものの量が増え、不正出血も見られたため、自身では子宮頸がんを疑うほど不安に陥ってしまったとのこと。

その後、婦人科医の診察を受けたそうです。閉経後は徐々におりものの量が減り、改善されたと話します。

ケース3 更年期で量が減った(56歳・女性の場合)

更年期に入ってから、はっきりとした変化がありました」と話すこちらの女性。色やにおいはあまり変わらなかったものの、以前に比べるとおりものの粘り気と量が少なくなったそうです。

それによって悩みが増えたこともないそうなので、特にトラブルもなく過ごせていると言います。

閉経前には対策として、おりものシートを使用していたこともあったようですが、閉経してからはごく少量のおりものが時々ある程度に変わったそうです。

更年期はおりものの変化に注目しましょう

更年期は女性ホルモンであるエストロゲンのレベルが自然に低下し、おりものの量や質に影響を及ぼすことをお伝えしました。

ホルモンのゆらぎが原因で、一時的におりものの量が増えることもありますが、更年期にはエストロゲンの減少にともない、おりものの量も減少していくのが一般的な変化です。

実は私自身、数年前のことですが、急に水っぽいおりものが大量に出るようになりました。これはおかしいと思い婦人科を受診した結果、病気が見つかり手術した経験があります。

子宮や卵巣、卵管、腟で何かしらの異常が起きているとき、おりものの変化は一つの指標になります。おりものの変化に気づいた場合は放置せず、早めに受診するようにしましょう。

おりものの変化に注目することは、自身の健康状態を理解することにつながります。更年期を心と体の健康に向き合う貴重な機会とし、より快適に過ごしていきましょう。

この記事を監修した専門家

監修助産師/看護師

東衣里


助産師として大学病院産科病棟・外来にて勤務。その後、大手百貨店で妊娠・出産・育児を中心とした相談業務を担当。また、都内複数の区からの委託を受け、こんにちは赤ちゃん訪問(出産後の新生児訪問)にも従事。

現在はTRULYにて、チャット相談業務や記事執筆などを担当。地方へ移住して、リモートワークという形で仕事とプライベートを両立。自身も、働く女性・一児の母として、困っている女性の気持ちに寄り添った、実現可能なアドバイスを心がけている。

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