女性のための鍼灸師が教える!運動器症状編〜肩こり編〜あなたはどのタイプ?

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「東洋医学の観点から更年期に向き合うシリーズ」の今回からは、運動器症状をテーマにお話をします。

初回は、更年期の悩みの中でトップに入る『肩こり』がテーマです。

厚生労働省の令和元年国民生活調査「性別にみた有訴者(病気やけがなどで自覚症状のある者)率」によると、日本人が訴える症状で、『肩こり』は女性の1位、男性でも2位となっています。

こういったことからも、更年期症状に限らず、肩こりは多くの人が悩んでいることがわかっています。

肩こりにもいくつかの原因が考えられます。肩こりの原因を理解し、東洋医学的視点でのセルフケアを学んでいきましょう。

目次

運動器症状編 ~肩こり~

肩こりというと、姿勢の悪さや運動不足を指摘されることは多いと思います。

しかし、中には肩こりとなる原因疾患なども考えられます。

原因は大きく分けると、こちらの4つとなります。

①筋肉の疲労による肩こり

②首、肩、胸郭部の疾患による肩こり

③関連痛による肩こり

④心因性の肩こり

肩こりの原因として最も多いと言われているのが、①筋肉疲労による肩こりです。

首や肩甲骨周囲の筋肉は、常に頭部や腕を支えているため負荷が継続的にかかり、筋肉疲労を起こしやすい状態です。

また、不良姿勢やなで肩といった、首肩に負担のかかる状態が続くことによって、さらに筋肉疲労が増し、肩こりの原因となります。

首、肩、胸郭部の疾患では、頸椎椎間板ヘルニアや五十肩といった疾患が挙げられます。これらの疾患による痛みなどをカバーするため、一部の筋肉へ負担がかかったり、良い姿勢が保てずに肩こりへと移行します。

関連痛による肩こりとは、肺疾患、心疾患、耳鼻科関連の疾患、眼疾患などが肩こりを引き起こす原因になると言われています。

心因による肩こりは、ストレスや精神的な緊張、心理的な葛藤などから肩こりを誘発すると言われています。

またこの他にも肩こりを誘発する因子として、運動不足による筋力低下、自律神経失調、過労、冷え(クーラーを含む)やホルモンの異常などがあると言われています。

これらが引き金となり、首肩の筋肉の緊張が亢進し、筋肉内の循環障害が起こります。そのため、乳酸やカリウムといった代謝されるべきものが蓄積してしまい、痛みや疲労感を起こしやすくなってしまうのです。

社会人になってから肩こりを感じる人が多くなるのも、デスクワークが多く頭部を前に出した姿勢で長時間過ごすことが多く、筋緊張が長く続くことが原因として挙げられます。

このように肩こりの多くは、解決できる原因も多くありますが、まれに心疾患や肺疾患といったことが原因の場合もあります。気になる方は専門医を受診することをお勧めします。

東洋医学でいう「肩こり」とは?

「肩こり」は、「通ぜざれば則ち痛む」(滞っていると痛む)、「営ぜざれば則ち痛む」(栄養が不足すると痛む)という考えに基づきます。

前者は、外から来る邪(体を害するもの)が侵入することにより、本来体中を流れている気血水が滞ることによって起こると言われています。

後者は、消化器が弱ったり体力が元々ないといったことが原因で、気血水が不足してしまっている場合などに起こると考えられています。

あなたはどのタイプ?

肩こりという症状に加え、その他の特徴などから、ご自身の体を評価していきましょう!

一つでもチェックが当てはまれば、そのタイプに該当します。タイプはどれか一つというわけではなく、いくつか当てはまる方もいるかもしれません。

①”胃腸が弱い”肩こりタイプ

□食欲不振気味である

□胃もたれしやすい

□下痢気味

□皮下出血しやすい

□甘いものをよく食べる

②”栄養分が足りない” 肩こりタイプ

□顔や爪の色が悪い

□手足がしびれる

□筋肉がピクピクする

□月経量が少ない

□目がかすむ

③”エネルギー不足” 肩こりタイプ

□髪が抜ける

□足腰がだるい

□冷えやすい

□めまいや耳鳴りがある

□頻尿気味である

①のタイプは、食事の不摂生や胃腸機能が元から弱い方に多く、消化機能が低下しています。そのため、必要な栄養分(特に「気」)を適切に摂取することができず、肩こり症状を引き起こしています。

②のタイプは、元々食事量が少ない、または胃腸機能が弱いために栄養分(特に「血」)が不足しています。循環している血液が不足している状態で、その一つとして筋肉の痙攣や疲労が起こり肩こり症状も現れるのです。

③のタイプは、加齢や過度な活動により、生命エネルギーを司どる「腎」の機能が低下します。腎機能の低下は、加齢による症状と一致します。そのため、髪の毛が抜ける、視力が落ちるなどの症状も現れますが、その一つとして肩こり症状が引き起こされてきます。

ツボ押しでセルフケア!

あなたはどのタイプでしたか?

東洋医学では、出現している症状を一つの病気と断定するのではなく、様々なことを複合して考えていきます。

いくつも当てはまったため、自分の体の症状が悪いというわけではないので安心してください。大切なのは、自分の体の症状を理解し適切な処置をしていくことです。

それでは、それぞれのタイプに良いツボをご紹介していきます。

ツボは、1回に5秒間程度2~3回、押しやすい指で痛気持ち良い程度に押しましょう!

目安は、毎日1回。習慣化していくのがベストなので、朝起きたらベットの中で、お風呂を出た後に、など時間を決めて押してみてください。

①のタイプの方

◇陰陵泉(いんりょうせん)

<位置>

膝の下。すねの骨の内側を下からたどり、膝下の辺りで止まるところ。

<効果>

胃腸機能の改善。むくみや下痢に効果がある。

②のタイプの方

◇曲泉(きょくせん)

<位置>

膝を曲げた時にできるシワの先端。

<効果>

肩こりの解消以外にも、婦人科系や生殖器系にも効果がある。

③のタイプの方

◇太谿(たいけい)

<位置>

内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。

<効果>

老化や免疫力にも効果がある。泌尿器系や婦人科系の疾患に良い。

あなたは肩のどの部分は辛いですか?

肩こりツボでは、こりを感じる部位によっても様々なツボが用いられます。

辛い部位に該当するツボも合わせて刺激していきましょう。

①の部位が痛い場合

◇後渓(こうけい)

<位置>

小指の付け根の骨の出っぱっている部分の終わり。

②の部位が痛い場合

◇外関(がいかん)

<位置>

手の甲と手首の境目にあるシワから、指3本分ひじ側へ進んだところ。

③の部位が痛い場合

◇崑崙(こんろん)

<位置>

外くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。

※出典

2019年国民生活基礎調査の概況

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矢野忠(2014年)レディース鍼灸 医歯薬出版株式会社

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http://www.hal.msn.to/bensho_ronji/ben121.html

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この記事を書いた人

淺田麻希のアバター 淺田麻希 鍼灸師

「かかりつけ鍼灸師 for woman」代表として、女性特有の自律神経やホルモンバランスによる不調に特化して施術。自身も国内航空会社にてCA時代に、自律神経失調性の様々な体の不調を経験。その時出会った鍼灸にて、改善したことをきっかけに、家庭で社会で活躍する女性を健康面で支えると決意。施術だけでなく、お灸セルフ講座や、東洋医学的視点での体の不調などを学べるセミナーを開催している。

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