どうする? 周囲に相談できない「膣トラブル」


記事更新日: 2020/06/21 TRULY編集部

【監修医師】 中野ひとみ

多くの女性が出産や加齢をきっかけに抱えやすい「膣トラブル」。尿漏れ、頻尿、性交痛、子宮や膀胱の下垂による異物感など、生活に支障がでる症状が多いにもかかわらず、人には言えない悩みとして抱え込む方が多いそう。今回は、そんなオトナ女性が表立って相談しづらい悩みについて、産婦人科医の中野ひとみ先生にご本人の実体験を交えつつ伺います。


実は多くの人が抱えている膣のトラブル


膣トラブルは、「①出産や加齢により骨盤底筋が伸びたり切れたり弱ったりすること」「②女性ホルモンのはたらきが弱くなること」などにより発生します。


日本は海外と比較すると、膣まわりのトラブルについて出産後の指導なども少なく、医療機関も含め周囲に相談しづらい環境があります。


近年「膣ケア」という言葉が生まれましたが、まだ一般的ではなく産婦人科領域でもこの用語にあたるような言葉はありません。


①が原因で起こる尿漏れ、頻尿、子宮下垂、膀胱下垂などのうち、尿漏れは私も産後に苦しみました。出産により骨盤底筋にトラブルが発生した場合、産後時間が経ってしまうと対策が難しくなります。若年で出産した場合は治癒しやすいのですが、高齢出産の場合は治癒しにくく、30代半ば以降の出産が増えている昨今は多くの女性が抱えているリスクといえるでしょう。


②が原因で起こる性交痛については、医療機関でも言い出しにくいという方が多くいますし、対処できない医師も多いのではないでしょうか。膣は女性ホルモンの低下でうるおいや弾力が失われたり、精神的なトラブルの影響で痛みを感じたりすることがあります。時には、その痛みは子宮内膜症が原因の場合もあるため、言い出しにくいからといって我慢したり放置したりしてよいわけではありません。


自分もつらかったからこそ放置しないでほしい


私が苦しんだ尿漏れ症状は、精神的に本当につらいものでした。出産時に骨盤底筋が伸びてしまったうえ、出産により神経が鈍ってしまったこともあり、立ち上がった際に排尿をしてしまったことがありました。それ以来、立ち上がる動きで尿が出ると脳が覚えてしまったために、「切迫性尿失禁」と呼ばれる意図せず失禁する症状に悩まされるようになったのです。尿意に過敏になったせいか、水の音を聞いただけで尿意を感じることすらありました。


こうなってしまうと、外出や行事への出席が不安になってしまいます。「尿が出てしまうかもしれない」という恐怖感は本当に負担でした。


私の場合は、泌尿器科で処方された薬を服用したうえで尿漏れパッドをすることで対応しました。骨盤底筋自体の改善は、その筋肉がインナーマッスルであるため体操などでは鍛えるのが難しいのです。さまざまな体操が提唱されていますが、適切に力を加えてトレーニングをするには、医学の知見を背景とした専門的な指導が必要でしょう。


骨盤底筋をサポートする下着もありますが、一長一短です。身に着けているときはサポート機能を得られますが、それゆえに骨盤底筋の働きが弱ってしまいます。


大事なことは、出産後は早めに対策すること。そして、トラブルが発生した場合は早めにさまざまな方法を試したうえで改善しない場合は専門機関に相談することです。どうしても改善しない場合は、外科手術により骨盤底筋を吊り上げることで対応をするという手段もあります。


まずは産婦人科で相談をしてみて、必要があれば適切な泌尿器科に紹介をしてもらいましょう。泌尿器科は男性医師が多く、男性特有の症状に対する対処が中心の医療機関も多いのですが、最近は「女性泌尿器科」と掲示する病院やクリニックが増えてきました。女医がいることも多く、女性特有の悩みも相談しやすいかと思います。


自然に「膣ケア」をできる社会になってほしい


膣に関するトラブルのなかでも、女性特有の原因による尿漏れや性交痛は周囲に相談しづらく、医療機関での対応もまだ不十分な状況です。尿漏れパッドなどはドラックストアによっては介護用おむつの隣にあることも多く、購入に抵抗があった方もいらっしゃるのではないでしょうか。


しかし、最近は女性用尿漏れパッドは生理用品と似た外見になってきており、販売場所も生理用品の横にあることが増え、購入しやすくなってきました。消臭・吸水機能も優れているので、いま悩んでいる方が日常を送るうえでは大きな安心材料になるはずです。


性交痛については、心理面のケアにも対処が可能な半医療窓口のようなものが理想的ですが、この点はまだ発展途上といえるでしょう。


まだ膣のトラブルを積極的にケアする「膣ケア」の実施は難しい状況とはいえますが、強調したいのは、この症状は「あなただけではない」ということです。実は女性の多くが悩んでいることであり、恥ずかしいことではありません。


一人で抱え込まず、まずは改善のための一歩を踏み出していただきたいと切に思っています。


締めくくり

中野先生による「膣トラブル」への対処のポイントは以下のとおり。

①一人で抱え込まない

②早めにさまざまな対処法を試してみる

③改善が難しい場合は医療機関に相談する


膣トラブルを相談できる医療機関はまだ少ないのが現状ですが、「女性泌尿器科」など対応できる病院やクリニックもできてきています。症状がある場合は抱え込まずに受診してみましょう。


(C)Adobe Stock

【監修医師】 中野ひとみ

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。鹿児島大学医学部卒業。 総合病院産婦人科や不妊治療クリニック勤務など、婦人科医として10年以上の経験を持つ。 患者さんの声に耳を傾け向き合ってきた、女性の心に寄り添うことのできるドクターとして、現在は都内クリニックの産婦人科で活躍中。

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