【更年期と早朝覚醒の関係】眠れないときどうする?対策を解説

起きたら早朝4時……更年期になると朝早く目が覚めるのはなぜ?
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「最近、朝早く目が覚めてしまって、そこからなかなか眠れない…」

「まだ眠れる時間なのに目が覚めてしまうのは加齢のせい?」

もしかしたら、その早朝覚醒は、更年期の影響かもしれません。

更年期障害の症状は多岐にわたりますが、実は「睡眠」に関する悩みも多いのです。とくに、まだ暗い時間なのに目が覚めてしまう早朝覚醒は、日中の活動に影響を及ぼし、心身の疲れを増大させる原因となります。

この記事では、更年期に早朝覚醒が起きやすい原因や、今日から実践できる具体的な対策を解説します。読み終える頃には、ご自身の状態を理解し、次にとるべき行動が見つかるはずです。

目次

更年期に「早朝覚醒」が起こりやすい理由

更年期は、女性の身体が大きな変化を迎える時期です。この時期に早朝覚醒が起こりやすくなるのは、ホルモンバランスや自律神経の乱れなどの影響が考えられます。

ホルモンバランスの崩れ

更年期に入ると、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。1)

エストロゲンには睡眠の質を保つ働きがあり、更年期にはその分泌が減ることで、眠りが浅くなり、夜中や早朝に目が覚めやすくなるのです。

また、更年期に特徴的なホットフラッシュ(突然のほてりや発汗)が夜間に起こると、寝苦しさから途中で目が覚めてしまうことも、早朝覚醒を引き起こす一因となります。

自律神経の乱れ

エストロゲンの減少は、自律神経系の働きにも影響を及ぼします。

自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスによって、体内のリズムや睡眠を調整しています。しかし更年期には、この切り替えがうまくいかなくなり、就寝時にリラックスできず、夜中や早朝に目が覚めてしまう原因となるのです。

とくに早朝の覚醒後に再入眠しづらくなるのは、心身をリラックスさせる役割のある副交感神経が優位になりにくい状態が続いている可能性があります。

「眠れない」という焦り

更年期の早朝覚醒には、心理的な要因も影響します。

「眠らなければいけない」「また今日も眠れなかったらどうしよう」といった焦りが、かえって交感神経を優位にし、眠気を遠ざけてしまうのです。

こうした不安や焦りが習慣化すると、早朝覚醒が慢性化する恐れもあります。

【セルフチェック】あなたの早朝覚醒は更年期の影響?

早朝覚醒の原因は更年期だけとは限りません。

しかし「もしかして更年期の影響かも?」と感じているなら、一般的な更年期症状があらわれていないかを確認することが判断の目安となります。

以下のチェックリストを用いて、自身の体調を確かめてみましょう。

オフ急なほてりやのぼせ(ホットフラッシュ)を感じることがある
オフ理由もなく汗をかきやすい
オフイライラしたり、気分が落ち込んだりすることが増えた
オフ肩こりや腰痛、関節の痛みがある
オフ頭痛やめまいを感じることがある
オフ疲れやすい、だるいと感じることが多い
オフ動悸や息切れを感じることがある
オフ冷え性がひどくなった
オフ集中力が続かない
オフ物忘れが増えたと感じる
オフ性欲の低下や性交痛がある
オフ肌の乾燥や髪質の変化を感じる

参考:更年期障害|公益社団法人日本産科婦人科学会

複数当てはまる場合、早朝覚醒も更年期の影響である可能性が高まります。ただし、これはあくまで目安であり、自己判断せずに専門医に相談することが大切です。

早朝覚醒が更年期の影響か気になる方は、自宅でできるホルモンチェックも参考になるかもしれません。TRULYでは、髪の毛から女性ホルモン量を知ることができる「MENOPO CHECKを提供しております。

https://menopocheck.com

更年期の早朝覚醒はいつまで続く?

一般的に、更年期は閉経前後の10年間を指し、45歳〜55歳頃に当てはまる人が多く、その期間に更年期症状があらわれると言われています。2)

早朝覚醒も、ほかの更年期症状と同様に、ホルモンバランスが安定してくるにつれて徐々に改善していくことが期待できます。

ただし、更年期の症状は個人差が大きく、いつまで続くとは一概に言えません。症状が長引いたり、日常生活に支障をきたすほどつらかったりする場合は、我慢せずに適切な対策や治療を始めることが重要です。

更年期における早朝覚醒《6つの改善策》

更年期による早朝覚醒は、日常生活に大きな影響を与えます。しかし、いくつかの対策を講じることで、症状の緩和が期待できます。

1.生活習慣を見直す

まずは毎日の生活リズムを整えることが重要です。

規則正しい生活は、体内時計を整え、自然な眠気を促します。

たとえば、以下の対策があげられます。

  • 朝起きたらカーテンを開けて自然光を取り入れる
  • 午後遅い時間のコーヒーやお茶は避ける
  • 毎日同じ時間に目覚める習慣をつけて生活リズムを整える
  • 寝る前にぬるめのお風呂で体を温めてリラックスする
  • 軽いストレッチや散歩などで身体を動かし自然な眠気を促す

これらを参考に、無理なく続けられる方法を見つけてください。

2.食事からアプローチする

日々の食事が睡眠の質に与える影響は少なくありません。

栄養バランスのよい食事を心がけるとともに、睡眠をサポートする以下の栄養素を意識して取り入れてみてください。

含まれる栄養素栄養素の働き多く含む食材
大豆イソフラボン女性ホルモンと似た働きで更年期にともなう症状の改善が期待できる・納豆・味噌・豆乳
トリプトファン日光にあたることで日中はセロトニン、夜はメラトニン(睡眠ホルモン)に変化して、睡眠の質を高める3)・豆腐・バナナ・チーズ

また、カフェインやアルコールの摂取は睡眠の質を低くする恐れがあるため、控えるのがよいでしょう。

3.睡眠環境を整える

快適な睡眠環境は、良質な眠りを誘うために非常に重要です。

寝室の温度や湿度、照明、そして寝具の快適さを確認し、より良い環境を作りましょう。

  • 夏:25~28℃
  • 冬:18~23℃

室温は上記を参考に、湿度は年間を通して50〜60%が理想です。

更年期に多いホットフラッシュ(急なほてりや発汗)が起きやすい方は、寝具の通気性をよくする、冷感素材のパジャマを選ぶ、寝室に小型扇風機を置くなども有効です。

4.ストレスとうまく付き合う

日常生活で感じるストレスは、自律神経のバランスを大きく乱し、睡眠に悪影響を及ぼします。ストレスをゼロにすることは難しいですが、以下にあげる方法で上手に付き合う方法を見つけることが大切です。

  • 好きな音楽を聴く
  • アロマを焚く
  • 趣味に没頭する
  • 深呼吸や瞑想を取り入れる

短い時間からでも、まずは試してみてください。

不安や心配事を頭の中でぐるぐる考えてしまう場合は、紙に書き出してみるのも一つの手です。日記や手帳などに思ったことを書き、それを客観的に見ることで、気持ちが整理され、心への負担が軽減されることがあります。

5.眠れなくても大丈夫!と気持ちを切り替える

「何時間寝なければいけない」「朝早く目が覚めたらどうしよう」といった過度なこだわりや思い込みが、かえって眠りを妨げ、早朝覚醒を悪化させることがあります。

もし夜中に目が覚めてしまっても「少し目が覚めたけど、また横になっていれば大丈夫」「眠れなくても体を休められているから大丈夫」とリラックスした気持ちでいることが大切です。

眠れない場合は、一度ベッドから出て、静かな音楽を聴く、読書をするなど、リラックスできることを試してみましょう。

6.漢方の力を借りる

眠れない、途中で目が覚めるといった症状に対しては、漢方薬も選択肢の一つです。

体質や症状に合わせて処方されるため、副作用が比較的少なく、長期的な使用にも適しています。

たとえば、以下のような漢方が使われることがあります。

漢方の種類向いている方
加味逍遙散(かみしょうようさん)イライラ、不安感、のぼせなどがある方
加味帰脾湯(かみきひとう)4)精神的な不安があり、微熱や寝汗がある方
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)4)冷えや肩こり、月経不順が気になる方
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)4)体力がなく、疲れや身体の冷えを感じやすい方
抑肝散(よくかんさん)神経が高ぶって寝つきが悪い方
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)不眠や動悸、不安感などがある方

漢方は薬局での相談も可能ですが、更年期の症状が重い場合は婦人科や漢方に詳しい医師に相談しましょう。

眠れないつらさが続く時は病院で相談を

更年期における早朝覚醒は、多くの女性が経験する症状の一つです。

ホルモンバランスや自律神経の変化、そして精神的な側面が複雑に絡み合って生じますが、適切な対策をおこなうことで症状の緩和が期待できます。

今日からできる生活習慣の見直しや食事からのアプローチ、睡眠環境の整備など、まずは自身に合った対策を一つずつ試してみましょう。

一人で抱えきれないと感じたら、迷わず専門家のサポートを求めることも大切です。更年期の早朝覚醒に振り回されることなく、自身の身体と心の声に耳を傾け、快適な毎日を取り戻していきましょう。

参考文献

1)更年期障害|公益社団法人日本産科婦人科学会

2)更年期|働く女性の心とからだの応援サイト

3)セロトニンを増やす方法とは?トリプトファンを含む食品と効果的な食事法 | 山梨県厚生連健康管理センター

4)Effects of three Kampo formulae: Tokishakuyakusan (TJ-23), Kamishoyosan (TJ-24), and Keishibukuryogan (TJ-25) on Japanese peri- and postmenopausal women with sleep disturbances|PubMed

起きたら早朝4時……更年期になると朝早く目が覚めるのはなぜ?

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この記事を書いた人

榎本なつみのアバター 榎本なつみ 【看護師・保健師】

総合病院のCCU・ICUでの経験を通じて、命を支える医療とともに、家族看護の大切さを学ぶ。退職後は訪問看護師として地域に根ざしたケアで利用者や家族をサポートしている。

自身が性に悩んだ過去や、更年期に苦しむ家族を目の当たりにした経験から、フェムテック分野に強い関心を抱くようになる。ライターとして、同じ悩みを抱える方々に向けて情報を発信し、自分のからだを大切にするための知識を広めることに力を注ぐ。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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