閉経だと思ったら妊娠!?更年期の妊娠リスクとは

50代でも妊娠の可能性! 正しい知識で閉経まで避妊しよう
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「生理が来ないけど、閉経?それとも妊娠?」

「更年期で妊娠したら、どうしよう……」

更年期は女性ホルモンバランスが乱れやすくなるため、月経が一時的に来なくなることもあります。しかし、月経が来ないからといって、妊娠する可能性は0ではありません

更年期女性におこる閉経妊娠は、症状が似ているため見分けるのは難しいのが現状です。生理が来ないという症状は、まわりの人に相談しづらく、閉経と妊娠のどちらなのか分からずに不安になってしまう女性も少なくありません。

そこで今回は、更年期での閉経と妊娠の違いや、更年期で妊娠した場合のリスクなどについてお伝えします。

目次

40代・50代の「生理が来ない」は月経不順?閉経?

40代〜50代の更年期を迎えると、月経のリズムがこれまでとは変わっていきます。それは、卵巣の働きが少しずつ弱まり、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が乱高下しながら徐々に低下するためです。

また、排卵をせずに月経のような出血が起こる「無排卵性月経」が度々みられるようになります。そのため、人によっては月経の周期が長くなったり短くなったりする月経不順が生じます。また、経血の量が多くなる人もいれば少なくなる人もおり、更年期での月経の状態は人それぞれです。

月経が数ヶ月来なくなることもありますが、閉経を迎えたとは限りません。なぜなら閉経とは最後の月経から1年間、月経が来ない状態のこと。実際には、月経が来ない状態が1年間続き、後から振り返って「1年前が閉経だった」とようやくわかるのです。

閉経する年齢は52 歳(日本人の中央値)1前後になることが多いですが、40代前半の早い時期に閉経する人もいれば、50代後半になって閉経する人も。月経が完全に来なくなる閉経年齢には大きく幅があります2

更年期でも妊娠する可能性はある?

更年期世代の女性では、月経がしばらく来ないからといって妊娠する可能性は0ではありません

更年期女性では卵巣の働きが弱まることから、排卵する月もあれば排卵しない月も増えていきます。いつ排卵が起こるのかは予測できません。排卵しているということは、そのタイミングで性交渉すると受精し、更年期女性でも妊娠する可能性はあるでしょう。

一般的には、35歳を過ぎてからは年齢が上がるほど卵子の質が低下することなどから、妊娠する確率は低くなるといわれています3。ただし、人によって卵子などの状態が異なるため、40代以降で妊娠する人もいます。

そのため、まだ閉経していない40~50代の女性で妊娠を望んでいないのであれば、性交渉の際には避妊しておくことが大切です。

【妊娠と更年期】違い&見分け方

生理が来なくなると、妊娠なのか閉経なのかが分からず、不安に感じてしまう女性も少なくありません。

妊娠と更年期ではほてり疲れやすさといった似ている症状がみられますが、異なる症状もあります。妊娠と更年期の症状や見分けるポイントをご紹介します。

妊娠の初期症状

妊娠すると月経が来なくなるほかに、次のような症状がみられます。

  • 微熱
  • 体のほてり
  • 胃のムカつき吐き気(いわゆる「つわり」の症状)
  • めまい立ちくらみ
  • 便秘
  • 眠気
  • 疲れやすさ
  • 胸の張り
  • イライラ
  • 気持ちの不安定さ など

これは、妊娠を維持するために女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの分泌が増えるためです。

妊娠した場合は、基礎体温が普段と異なるようになります。高温期が17日以上続いている場合は、妊娠している可能性が高いといえるでしょう。ただし、基礎体温の変化がご自身では分かりづらい場合もありますので、念のために妊娠検査薬で確認することをおすすめします。

更年期の症状

更年期症状は、一般的には次のような症状がみられます。

  • のぼせほてり発汗などのホットフラッシュ
  • 体のだるさ
  • 肩こり
  • 頭痛
  • めまい
  • 耳鳴り
  • イライラ
  • 憂うつ など

更年期症状は妊娠初期症状と似ているものが多く、症状だけではどちらなのかを見分けることは難しいでしょう。

ただし、更年期症状が起こる主な要因は、卵巣の働きが弱まることで女性ホルモンの分泌が低下すること。そのため、更年期の基礎体温では高温期が14日以上続くことはありません。また、排卵が起こっていない月は基礎体温が上がらずに低温期が続くようになります。

更年期世代の妊娠はリスクがあります

更年期世代の女性が妊娠した場合、妊娠や出産に伴ってさまざまな問題が生じるため注意が必要です。

35歳以降は年齢が高くなるほど、流産や死産のリスクが高まるといわれています。また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症が起こりやすく、体への負担が大きくなってしまうことも。

出産の時にも前期破水や切迫早産などのトラブルが起きやすく、母体だけではなく産まれてくる赤ちゃんにも影響してしまうかもしれません。

また、高齢妊娠では赤ちゃんの染色体異常が生じる確率も高まります。そのため、更年期世代の女性が妊娠・出産する場合は、リスクを理解した上でこれまで以上に十分な妊娠中のケアが必要になるでしょう44)

更年期も妊娠することはある!避妊は忘れずに

40代・50代女性の「生理が来ない」場合、閉経なのか妊娠なのかは症状だけですぐに見分けることが難しく、基礎体温の変化や妊娠検査薬で確認することが必要です。

閉経前の女性であれば、妊娠する可能性は0ではありません。高齢での妊娠・出産はリスクがあるのに加えて、トラブルなく妊娠を継続できるかどうかといった不安がつきまとうかもしれません。

更年期を穏やかな気持ちで過ごすために、まだ月経がある女性は、妊娠を望まないのであればしっかりと避妊しておきましょう

出典

  1. Yasui T, Hayashi K, Mizunuma H, et al. Factors associated with premature ovarian failure, early menopause and earlier onset of menopause in Japanese women. Maturitas 2012; 72:249–255. ↩︎
  2. 玉田・岩崎 (1995). 本邦女性の閉経年齢. 日本産科婦人科学会雑誌, 47(9), 947-952. ↩︎
  3. 年齢別ART妊娠率・生産率・流産率 2017. 日本産科婦人科学会 ARTデータブック2017. http://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2017data_20191015.pdf ↩︎
  4. 日本産科婦人科学会. 高齢妊娠のリスクについて. HUMAN+ 第二版.
    https://www.jsog.or.jp/citizen/5735/ ↩︎
50代でも妊娠の可能性! 正しい知識で閉経まで避妊しよう

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この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

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