【更年期女性の尿漏れ】骨盤底筋トレーニングでかんたん対策

40代・50代でも尿漏れ!? お悩み解消 寝たままできる筋トレを紹介
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「くしゃみをしたら少し漏れてしまった」

「久しぶりに縄跳びをしたら尿漏れした」

このようにふとした瞬間の尿漏れの悩みがある女性の多くが、実際に医療機関へ受診できずに一人で悩まれているようです。

今回は40代・50代女性の尿漏れの原因や対策について、詳しく解説します。

目次

働き世代でも尿漏れに悩んでいる女性は多い

40代、50代の女性を中心に、多くの女性が悩んでいる「尿漏れ」。

40~50代で尿漏れを自覚している女性は、30%前後いるという調査結果があります。1 この数字は、尿漏れが決して珍しい問題ではなく、多くの女性が直面する共通の悩みであることを示しています。

尿漏れの影響は身体的な不快感にとどまりません。外出を控えるようになったり、スポーツや趣味の活動を楽しめなくなったりと、生活の質を大きく低下させてしまう可能性もあります。

特に働き盛りの女性にとって、この問題は深刻です。仕事や育児との両立に奮闘する中で、尿漏れという新たな課題を抱えることは、大きな精神的負担ともなり得ます。

40代・50代女性に尿漏れが起こりやすい理由

40代・50代の女性が尿漏れになりやすいのは、主に以下の2つの理由が考えられます。

1.加齢による筋力低下

年齢を重ねるにつれて、体全体の筋肉が衰えていくように、骨盤底筋も弱くなります。

骨盤底筋は骨盤の底にある筋肉で、膀胱や子宮を支える役割を担っています。この筋力が低下すると、咳やくしゃみ、運動など、腹圧がかかる際に尿漏れしやすくなります。

2.女性ホルモンの低下

女性ホルモンのエストロゲンは、体のさまざまな組織の弾力性や張りを保つ働きがあります。

更年期になると、エストロゲンの分泌が低下し、骨盤底筋の弾力も低下します。その結果、尿道や膀胱を支える力が弱まり、尿漏れが起こりやすくなります。

尿漏れ改善のカギ「骨盤底筋」とは?

尿漏れを改善するためには、骨盤底筋を鍛えることが非常に重要です。

骨盤底筋は、骨盤の底部にハンモックのように位置し、複数の筋肉層から構成されています。尿道、膣、肛門の開閉をコントロールしたり、膀胱、子宮、直腸を適切な位置に保持する役割を担っています。

骨盤底筋が弱ると、膀胱や尿道を支えきれなくなり、尿漏れが起こりやすくなります。逆に、骨盤底筋を鍛えることで、これらの臓器をしっかりと支え、尿漏れの予防や改善につながります。

尿漏れを予防・対策《骨盤底筋トレーニング》

尿漏れでお悩みの方におすすめなのが、骨盤底筋トレーニング。トレーニングと言っても、特別な道具も場所も必要なく、自宅で簡単にできる運動です。

立ったままできる尿漏れ体操

  1. 足を肩幅に開き、姿勢を正す
  2. 尿道、膣、肛門を引き上げるようにして骨盤底筋を締める
  3. 5秒間キープし、その後ゆっくりリラックス
  4. 10回を1セットとし、1日3〜5セット実施

寝ながらできる尿漏れ体操

  1. 仰向けになり膝を立てる
  2. 骨盤底筋を5〜10秒間締め、その後リラックス
  3. 10回を1セットとし、1日3〜5セット実施

慣れてきたらヒップリフトにも挑戦してみましょう。骨盤底筋だけでなく、臀筋や大腿筋も同時に鍛えられます。

  1. 仰向けで膝を立てた状態から、肩から膝まで一直線になるようにお尻を持ち上げる
  2. この姿勢を数秒間キープし、ゆっくりと元の姿勢に戻る

骨盤底筋トレーニングのコツ

  • 息を吐きながら締め、吸いながら緩める(呼吸を止めない)
  • 骨盤底筋以外の部位(お尻や肩など)に力が入らないようにリラックスする
  • 日常生活の中ですき間時間を見つけて行う

1回のトレーニング時間は5分程度から始め、慣れてきたら10〜20分まで徐々に延ばしましょう。効果が現れるまでには1〜3ヶ月かかるため、継続が重要です。

「締め方が分からない」そんな時は?

骨盤底筋の締め方が分からない場合は、排尿を途中で止める動作をイメージしてみてください。この時に使っている筋肉が、骨盤底筋です。この感覚をつかむことができれば、より効果的にトレーニングを行うことができます。

また、膣や肛門を頭側に引き上げるようなイメージを持つことで、より正確に骨盤底筋を動かせます。「じわ〜っ」とゆっくりと長く動かすことを意識しましょう。

尿漏れの相談は泌尿器科?婦人科?

尿漏れでお悩みの方の中には、「泌尿器科と婦人科、どちらを受診すれば良いのか迷う」という方もいらっしゃるかもしれません。尿漏れに関する相談は、泌尿器科でも婦人科でもどちらでも大丈夫です。

泌尿器科では、尿路に関する病気全般を診療します。尿漏れ以外にも、頻尿や残尿感、尿が出にくいといった症状がある場合は、泌尿器科を受診するのが適切です。

婦人科では、妊娠・出産や更年期障害など、女性のライフステージ全般を診療します。出産経験がある方や、更年期症状が気になる方は、婦人科を受診するのが良いでしょう。

骨盤底筋を鍛えて尿漏れの悩みから解放!

今回は女性の尿漏れとその対策である骨盤底筋トレーニングについて解説しました。

何となく尿漏れと言えば女性のイメージが強いかもしれませんが、実は悩んでいる男性も少なくありません。尿漏れは男女共通の悩み。ぜひ男性の尿漏れについても知ってみて下さい。

出典

  1. 中高年者における尿失禁に関する調査(2008)  ↩︎
40代・50代でも尿漏れ!? お悩み解消 寝たままできる筋トレを紹介

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この記事を書いた人

十枝明日香のアバター 十枝明日香 【看護師】

総合病院にて13年、職場を変え乳腺外科クリニックで勤務。その間、婦人科疾患の手術と重症妊娠悪阻により入院を経験。3児の子育て中で、自分自身が女性のキャリアや働き方の壁に突き当たり、仕事・育児・夫婦関係について、楽しみながら模索している最中。女性特有の悩みに左右されることなく、日々ご機嫌さんに過ごすことが当面の目標。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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