早い閉経は要注意!閉経が早い人の特徴とリスク
閉経かも、と感じた時に、「もしかして私の閉経は早い?」「閉経が早いことは問題があるかもしれない」と不安になる女性は多いのではないでしょうか。
一方、生理をわずらわしく感じていると「早く閉経してよかった」という気持ちを持つ女性もいることでしょう。
実は、閉経が早いことにはリスクがあるのです。
今回は【閉経が早い人の特徴】を学んでいきましょう。特徴を知ることで、閉経が早いことのリスクを下げ、更年期障害の対策にもつながるかもしれません。
閉経が早いって何歳から?
月経が自然に1年こない状態を閉経と呼びます。
日本人女性の平均閉経年齢は約52歳1。そのため、これより早い年齢の場合には、閉経が早いと言えそうですね。
閉経には個人差があり、30代や40代で閉経を迎える女性もいます。
40歳未満で閉経することを「早発閉経」と呼び、全体の約1%と言われています2。
また、40〜45歳で閉経する女性は約5%とされており 3、早めの閉経は誰にでも起こりうるものなのです。
閉経が早い人の特徴
ストレスや生活習慣で閉経が早まる
生活習慣やストレスがホルモンバランスに影響を与え、閉経の時期を早める可能性があります。
- 1.喫煙
-
喫煙は早期閉経の重要なリスク要因です。特に、喫煙量が多く、長期にわたって喫煙している女性は、非喫煙者に比べて閉経が早いとされています4。
- 2.低BMI
-
BMIが低い女性は、肥満または適正体重の女性と比較して、早期閉経を経験する可能性が高いという研究結果があります5。
- 3.ストレス・偏った食生活・過度な飲酒・寝不足
-
これらは体のホルモンバランスに影響を与え、閉経の時期を早める可能性があります。ストレス対策や生活習慣の改善は、ホルモンバランスを整える上で重要です。
子宮の病気によって閉経が早まる
早発閉経の根本的な原因ははっきりとは分かっていませんが、近年の研究では子宮内膜症は閉経を早めるということが示唆されています6。
また、化学療法や骨盤放射線治療、両側卵巣摘出術などの医学的介入も閉経を早める要因となります。
そのほかにも遺伝子異常、自己免疫疾患、染色体異常などが早発閉経に関連があるとされています。
閉経が早い人=エストロゲンの影響が短い
閉経が早いということは、エストロゲンの恩恵を受けて過ごせる期間が短いということです。
エストロゲンが少ない状態が健康に及ぼす影響についてお伝えします。
寿命に関係する!?早い閉経のリスク7つ
- 1.心臓・血管の病気のリスクが上昇
-
エストロゲンは血管の弾力性を維持する効果があります。閉経によりエストロゲンが減少すると、動脈硬化を引き起こしやすくなり、心臓・血管の病気のリスクが上昇します。
- 2.骨粗しょう症のリスクが上昇
-
エストロゲンは骨密度を維持するのに役立ちます。早発閉経による長期的なエストロゲン不足は、骨粗しょう症のリスクを高めます。
- 3.認知症のリスクが上昇
-
エストロゲンは、脳の神経細胞の成長と修復を促し、炎症を減少させる効果があります。一部の研究では、一生の間にエストロゲンにさらされる期間が短いほど、認知症リスクが増加するとされています7。
- 4.肥満のリスクが上昇
-
エストロゲンの減少により、新陳代謝の低下や食欲の増加、筋肉量の減少をまねき、体重が増えやすくなります。特に閉経後の女性は、腹部に脂肪が蓄積する中心性肥満になりやすいとされています。
- 5.脂質異常症のリスクが上昇
-
エストロゲンには悪玉(LDL)コレステロールを減らす作用と、善玉(HDL)コレステロールを高める作用がありますが、閉経後はその効果が減少してしまいます。また、体が脂質を効率よく処理できなくなり、血中のトリグリセリドが増加し、脂質異常症のリスクが上昇します。
- 6.糖尿病のリスクが上昇
-
エストロゲンの減少に伴いインスリン抵抗性が増加すると、血糖コントロールがうまくいかず2型糖尿病の発症リスクが高まります。
- 7.デリケートゾーンのトラブルが起こりやすくなる
-
エストロゲンの減少は膣の壁が薄くなる原因となり、膣の乾燥や膣内のpHバランスの変化を引き起こします。これにより、かゆみや不快感、膣萎縮、性交痛、頻尿、尿もれなどが発生することがあります。
閉経に伴うエストロゲンの減少が原因で起こる一連の症状を、閉経後性器尿路症候群(GSM)と呼びます。
閉経 早いほうがいいことってあるの?
エストロゲンの恩恵を受ける期間が短いことのリスクをお伝えしましたが、逆にメリットはあるのでしょうか?
- 1.月経の悩み・不調からの解放
-
突然の出血や痛み、PMSから解放されるのは大きなメリットと言えるでしょう。
- 2.経済的・心理的コストの削減
-
生理用品にかかる毎月の出費がなくなります。旅行などの予定を組みやすくなるのもメリットですね。
- 3.新しい生活スタイルのチャンス
-
閉経が早いと、体と心の変化に早めに適応することになります。健康に対してよりいっそう気を配ったり、新しい趣味を始める良い機会になるかもしれません。
早めの閉経には治療が必要なことも
閉経が早いことは寿命を左右するようなリスクがあることを知って不安に感じているかもしれません。
ここからは早めの閉経への対策についてお伝えします。
要注意!40歳前の早発閉経とは
40歳未満で起こる閉経は早発閉経と診断されます。平均的な閉経は約52歳なので、早発閉経の場合は10年以上早くなった状態です。
早発閉経にはリスクがあります。エストロゲンの恩恵を受けられる期間が短くなることから、骨粗しょう症や動脈硬化、肥満など、将来的な健康問題のリスクが上昇してしまうのです。
30〜40代での生理不順、ホットフラッシュや疲労感といった更年期症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
婦人科でホルモン補充療法(HRT)の相談を
エストロゲンの欠乏した期間が長ければ長いほど、骨粗しょう症や心臓・血管の病気のリスクが高まるため、40歳未満の早発閉経では積極的にホルモン補充療法がおこなわれます。
ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT)は、不足したエストロゲンを補うことで更年期症状を緩和したり、骨粗しょう症や動脈硬化などのリスクを減少させる効果があります。
ただし、HRTは乳がんや血栓形成などのリスクを増加させる可能性もあります。治療を始める前には必ず、リスクとメリットについて医師とよく話し合いましょう。
40代前半や40代半ばの閉経は?
40歳未満の閉経は早発閉経と診断され、将来的な健康リスクが高まることから、治療が必要になる場合があるとお話しました。
では、40代前半や40代半ばの閉経はどうでしょうか。
約5%の女性が40〜45歳での閉経を経験しています。日本人の平均的な閉経年齢は52歳ですから、それに比べるとだいぶ早いと言えます。
40代で閉経した場合も、将来的な骨粗しょう症の予防のために1年に一度は骨密度を測定するのが良いでしょう。
医師の方針にもよりますが、50歳未満で閉経になった方に対して、骨粗しょう症の予防を目的にHRT(ホルモン補充療法)を開始する医療機関もあります。
めまいや動悸、ホットフラッシュなどの更年期症状がある場合には、HRTをすることで症状の改善が期待されます。
しかし、先に述べたようにHRTは乳がんや血栓形成などのリスクがあるため、婦人科や更年期外来の医師とよく話し合う必要があります。
早い閉経のリスクを知ることで対策を
早めの閉経は
「エストロゲンの恩恵を受けられる期間が短くなることで、骨粗しょう症や心臓・血管などの病気のリスクが高まる」
ことをお伝えしました。
早くに閉経するということは、ただ単に生理が止まる以上の意味を持ち、将来的な健康に影響を与える可能性があります。
閉経の前兆の有無もひとそれぞれで、自分の閉経がいつなのか予測することは難しいものです。だからこそ月経周期をしっかり把握して、もしも30~40代で「閉経かも?」と思ったら、一度、婦人科や更年期外来の医師に相談することをお勧めします。
参考文献
- Yasui T, Hayashi K, Mizunuma H, et al. “Factors associated
with premature ovarian failure, early menopause and earlier
onset of menopause in Japanese women”. Maturitas 2012; 72: 249–255. ↩︎ - ”Premature and Early Menopause” .Cleveland clinic . 2022-6-9
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21138-premature-and-early-menopause,(アクセス日2023-12-14) ↩︎ - ”Premature and Early Menopause” .Cleveland clinic . 2022-6-9
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21138-premature-and-early-menopause,(アクセス日2023-12-14) ↩︎ - Darina Peycheva, et al. ”Risk factors for natural menopause before the age of 45: evidence from two British population-based birth cohort studies”
BMC Women’s Health.22, Article number: 438 (2022) ↩︎ - Darina Peycheva, et al. ”Risk factors for natural menopause before the age of 45: evidence from two British population-based birth cohort studies”
BMC Women’s Health.22, Article number: 438 (2022) ↩︎ - Madhavi Thombre Kulkarni, et al. ”Association Between Laparoscopically Confirmed Endometriosis and Risk of Early Natural Menopause” JAMA Network Open.2022-1-21 ↩︎
- Paola Gilsanz, et al. ”Fewer Reproductive Years May Be Linked to an Increased Risk of Dementia”
AMERICAN ACADEMY OF NEUROLOGY(2019) ↩︎