セックスからオーガズムを感じるのは男性の9割、女性の4割。「オーガズムギャップ」のリアルとは?
オーガズムに男女格差があることを知っていますか?男女のオーガズムに対する感じ方や考え方の違い、なぜ男女格差があるのかを此花さんが解説します。
こんにちは。リレーションシップコンサルタントの此花わかです。
アメリカの性科学者のエイヴァ・カデル博士が男性906名、女性535名の計1441名を調査したところ、女性の66.3%、男性の30.6%がオーガズムをフェイクしていたそう(※1)。
また、別調査で1,008人のアメリカの成人女性を対象にしたものでは、オーガズムをフェイクしたことのある女性は全体の約59%もいました。なぜ、男性よりもはるかに多くの女性がオーガズムを演技するのでしょう?
ジェンダーギャップは男女の格差を表しますが、実はオーガズムにも男女格差が存在するのです。「オーガズムギャップ」とは、異性間の性行為において、男性のほうが女性よりもオーガズムを感じることが多いという事実を指します。
様々な調査でオーガズムギャップが明らかに!
フロリダ大学教授のローリー・ミンツ博士が約800人の大学生を調査したところ、女性の39%、男性の91%がパートナーとのセックスで”ほとんどいつも”オーガズムを経験することが分かりました。(※2)
さらに、アメリカの52,500人以上の成人(レズビアン、ゲイ、バイセクシャルを含む)を調べた2016年の研究によると、ヘテロセクシュアル(異性愛者)男性の95%がセックスで”ほとんどいつも”オーガズムを感じていると答えた一方、ヘテロセクシュアル女性のなかでそう答えたのは65%しかいなかったそう。(※2)
レズビアンとヘテロセクシュアル女性の間にもオーガズムギャップが!
男性の場合、オーガズムに性的指向は影響されておらず、ゲイ、ヘテロセクシュアル、そしてバイセクシャルの間にはオーガズムギャップがなかったと判明。
同様に、800人の女子大生を対象にした調査では、39%の女性がセルフプレジャーでいつもオーガズムを感じると答えたのに対し、男性パートナーとのセックスでいつもオーガズムを感じると答えたのはたったの6%でした。(※3)
レズビアンのセックスやセルフプレジャーからはオーガズムの確率が高いのに、女性にとって男性とのセックスではなぜオーガズムの確率が低くなるのでしょうか?
男性目線で表現されてきた女性のオーガズム
先述したフロリダ大学のミンツ教授は、オーガズムギャップの原因は”クリトリスが無視された文化”にあると主張します。
現実に、クリトリスへの刺激によるオーガズムのほうが腟内オーガズムよりも得やすいという統計は多数あります。
2015年にGfK Knowledge Panelというオンラインパネルが1,055人の女性を対象に行った調査では、81.6%の女性が挿入だけでは(クリトリスを追加で刺激しないと)オーガズムを感じず、挿入だけでオーガズムを得られると言う女性はわずか18.4%だったのです。(※4)
それなのに、映画やドラマでは、女性がオーガズムを感じるのは”挿入によるシーン”がほとんど。
また、AVでは”潮吹き”が女性のオーガズムのように表現されています。AVに見る”潮吹き”のほとんどは演出であり、作られたフィクション。
実際に、世界の性科学者たちも”潮吹き”に関しては統一した見解に至っていません。ただ、潮の主成分は尿であることが分析されています。
このように、女性のオーガズムは腟内で得られるもの、あるいは男性の射精に似たものとしてメディアで描かれています。それにより、女性のオーガズムは”挿入により達成される”と多くの人々が思い込み、クリトリスへの刺激は単に”前戯”として軽視されているのでしょう。
実際に、セックスは男性の射精により終わるものだと多くの人が思っているのではないでしょうか?
だからこそ、射精によりテストステロンが急激に下がり、ひとりになりたくなる男性の本能を”賢者タイム”などという言葉でセックスを締めくくるのが社会で許容されているのです。
女性がオーガズムを感じていなくても、射精でセックスが終わりだと広く信じられているからこそ、オーガズムギャップが生じている一因でしょう。
オーガズムギャップは日本の既婚カップルの過半数がセックスレスだという現象にもつながっているのかもしれません。次の記事ではオーガズムギャップを縮める方法について記したいと思います。
【参考】
※1……Loveology University
※2……The ‘orgasm gap’: Why it exists and what women can do about it – NBC News
※3……The Orgasm Gap: Simple Truth & Sexual Solutions – Psychology Today
※4……Women’s Experiences With Genital Touching, Sexual Pleasure, and Orgasm: Results From a U.S. Probability Sample of Women Ages 18 to 94 – Journal of Sex and Marital Therapy
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