デリケートゾーンの保湿はどこまで?何を塗る?図解で解説

人には聞けない「デリケートゾーン保湿ケア」専門家が教えます!
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40歳を過ぎた頃から、「今までと違うな」と感じることが増えていませんか?疲れやすさ、肌のハリの低下、関節のこわばりなど…そして意外と多いのがデリケートゾーンの乾燥です。とはいえ、なかなか人には相談しづらい話題ですよね。

更年期に入ると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、外陰部※の皮膚が乾燥しやすくなります。これが、かゆみ・違和感・痛みなどの不快な症状につながることがあります。

顔や体のスキンケアは習慣になっていても、デリケートゾーンの保湿までは意識していなかった、という女性が少なくありません。この記事では、デリケートゾーンの正しい洗い方から、どこまで保湿するか、肌にやさしい成分の選び方まで、わかりやすく解説します。

※外陰部(デリケートゾーン)とは、大陰唇・小陰唇・腟の入口まわりなど、外から見える部分全体を指します。

目次

デリケートゾーンが乾くなんて…更年期女性の戸惑い

53歳の薫さん(仮名)。最近、デリケートゾーンの乾燥やかゆみを感じるようになりました。最初は季節的なものかと思っていましたが、調べてみると更年期によるホルモンの変化が関係していることを知り、「デリケートゾーンの乾燥も更年期の症状なんだ」と驚いたそうです。

ケアの必要性は感じるものの、「何を塗ればいいの?」「どこで買えばいいの?」「どこまで塗っていいの?」と疑問が次々に浮かび、結局そのままになってしまっている様子。しかも相談しにくい内容のため、友人には聞きにくく、ひとりで悩みを抱えています。

40代・50代|更年期にデリケートゾーンのケアが必要な理由

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、皮膚や粘膜に潤いと弾力を与える働きがあります。40代以降、卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌が減少します。すると、更年期のデリケートゾーンには次のような変化が起こりやすくなります。

  • 外陰部の皮膚が薄くなり、ハリや弾力が低下する
  • 下着やナプキンなどの刺激に敏感になる
  • 粘膜のうるおいが減り、乾燥や炎症を起こしやすくなる

こうした変化により、更年期のデリケートゾーンは洗うだけでは守りきれない状態になります。乾燥したまま放っておくと、かゆみや痛みが慢性化することも。だからこそ、日常の保湿ケアで皮膚を守ることが大切です。

どうやって洗う?保湿はいつ?デリケートゾーンの基本ケア

デリケートゾーンは顔よりもずっと皮膚が薄く、摩擦に弱い部分です。そのため、一般的なボディソープや石けんで洗うと、乾燥やかゆみを悪化させることがあります。また、保湿剤も一般的なスキンケア製品では、赤みや刺激を感じることがあるためデリケートゾーン専用のものを使うようにしましょう。

正しい洗い方

  • デリケートゾーン専用の洗浄料を使用(弱酸性・低刺激タイプ)
  • 洗浄剤はしっかり泡立てる
  • 指の腹で優しく、しわの間や溝をのばすように洗う。 小陰唇と大陰唇の間、会陰(肛門と腟の間)なども丁寧に。
  • 膣の中は洗わない
  • 洗い終わったら、柔らかいタオルで軽く押さえるように水分をオフ
  • こすらない・洗いすぎないが鉄則

すぐに保湿

入浴後や洗浄後は、皮膚表面の水分が蒸発しやすくなっています。時間がたつと角質層のバリア機能(刺激や乾燥から肌を守る働き)が低下してしまうため、乾く前に保湿剤を塗ってうるおいの膜を作るようにしましょう

【図解】保湿剤はどこまで?粘膜まで塗る?

デリケートゾーンの保湿ケアを始める際、どこまで塗っていいのか迷いますよね。基本は「外側のみ」でOKです。


<塗る範囲の目安>

  • 大陰唇(外側のふっくらした部分)
  • 小陰唇(内側のひだの外側まで)
  • 会陰部(腟と肛門の間)

清潔な手で保湿剤をパール粒大をとり、優しくなじませるように塗布します。こすらず、軽く押さえるように伸ばすのがポイントです。

また保湿剤は、腟内の粘膜まで塗る必要はありません。

腟の中は皮膚とは異なり、角質層によるバリア機能はなく、乳酸菌によって弱酸性に保たれています。市販の保湿剤を腟内に塗ると、腟内環境(pHバランス)が崩れて刺激や感染の原因になる可能性があるため、自己判断での使用は避けましょう。

ドラッグストアで買える《市販の保湿剤》選び方

最近は、ドラッグストアでもデリケートゾーン専用の保湿剤が豊富に並ぶようになりました。生活スタイルや肌の状態に合わせて、使いやすいものを選びましょう。

タイプで選ぶ|クリーム・ローション・ジェルなど

  • クリームタイプ:油分多く、しっかり保護してくれるのが特徴です。とくに乾燥が気になるときや、下着との摩擦が気になる日におすすめです。
  • ローションタイプ:水分が多くさらっとした使い心地で、肌に密着してくれます。適度に乾燥を防ぎたいときに向いています。
  • ジェルタイプ:軽いつけ心地でベタつきにくく、日中のムレや汗が気になる人に向いています。
  • オイルタイプ:肌になじみやすく、しっとり感が長続きし、乾燥や摩擦から守ります。

肌の状態(乾燥・かゆみ・ムレ)やライフスタイル(夜だけ・就寝前・日中使い)に合わせてタイプを選ぶと、続けやすくなります。

成分で選ぶ|白色ワセリン・セラミド・ヒアルロン酸など

皮膚のうるおいを保つには、成分選びも重要です。無香料・無着色・アルコールフリー・弱酸性と記載のあるものを選ぶと、刺激を最小限に抑えられます。以下のような成分が含まれていることも、選ぶ時の目安になるでしょう。

  • 白色ワセリン:皮膚表面に膜を作って水分の蒸発を防ぎ、摩擦刺激から守ります。厚く塗りすぎるとムレることがあるので、少量をうすくなじませるのがポイントです。
  • セラミド:肌のバリア機能を維持するうえで欠かせない成分です。年齢とともに減少しやすいため、外側から補うことでうるおいを保ちやすくなります。
  • ヒアルロン酸:高い保水力でしっとり感が持続します。

デリケートゾーンは毎日の保湿ケアで守りましょう

この記事では、更年期に起こりやすいデリケートゾーンの乾燥と、正しいケア方法についてお伝えしました。デリケートゾーンの乾燥やかゆみは「誰にも相談できない」「年齢のせいだから仕方ない」と我慢してしまう人が多い悩みです。

しかし、放置すると炎症や感染、痛みなどのトラブルにつながることもあります。もしケアしても改善しない場合や、乾燥や違和感が強い、出血がある、痛みが続く場合は、婦人科や更年期外来を受診しましょう。

デリケートゾーンの保湿は、年齢を重ねると特に重要なケアです。乾燥やかゆみを防ぎ、快適に過ごすためにも、日常のケアのひとつとして少しずつ習慣にしていきましょう。

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この記事を書いた人

十枝明日香のアバター 十枝明日香 【看護師】

総合病院にて13年、職場を変え乳腺外科クリニックで勤務。その間、婦人科疾患の手術と重症妊娠悪阻により入院を経験。3児の子育て中で、自分自身が女性のキャリアや働き方の壁に突き当たり、仕事・育児・夫婦関係について、楽しみながら模索している最中。女性特有の悩みに左右されることなく、日々ご機嫌さんに過ごすことが当面の目標。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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