更年期と免疫力の関係とは?食事で「冬に負けない」体作り

栄養士が解説 風邪やインフルに負けないための冬の食事とは?
  • URLをコピーしました!

冬は気温差や乾燥により、風邪やインフルエンザが一気に広がる季節です。さらに、更年期の女性はホルモンバランスの乱れから免疫力が低下しやすいため、疲れが抜けない・風邪をひくと長引くといった声も多く聞かれます。

「最近、免疫力が落ちている気がする」「生理前・生理中に体調を崩しやすい」そんな方こそ、まず見直したいのが毎日の食事です。

この記事では、栄養士が冬に強いカラダをつくる食事法をわかりやすく解説。 更年期の免疫力アップに役立つ栄養素、日々の食べ方、サプリ・漢方の上手な位置づけまで、すぐに実践できる内容をお届けします。

目次

【更年期×冬】なぜ免疫力が低下しやすい?

更年期は卵巣機能の低下によりエストロゲンが減少し、免疫機能にも影響が出やすくなります。エストロゲンには免疫細胞の働きを調整する役割があり、これが減ると免疫応答が弱まることが研究で示されています。

さらに、更年期は自律神経の乱れが起こりやすく、睡眠の質低下・冷え・疲れやすさが免疫力低下につながる要因に。冬の寒さと乾燥は粘膜の防御力を落とし、ウイルスが侵入しやすい環境をつくります。
また40代以降は感染症にかかると症状が長引きがちで、生理前・生理中は免疫がさらに下がることもあるため注意が必要です。

冬に強い体をつくる「免疫力アップ栄養素」

免疫力を支える栄養素は一つではなく、複数が連携して働くことが大切です。 特に更年期の女性は、ホルモン変動や加齢によって栄養の吸収・利用効率が下がりやすいため、「毎日継続して摂る」ことが免疫力維持のカギになります。

● たんぱく質

免疫細胞や抗体、粘膜を修復する材料はすべてたんぱく質からつくられています。 不足すると、風邪をひきやすくなるだけでなく、治りが遅くなる原因にも。

更年期は食事量が減ったり、炭水化物中心の食事になりやすく、隠れたんぱく質不足に陥りがちです。 肉や魚だけでなく、卵・豆腐・納豆・ヨーグルトなど、消化にやさしい食品を毎食少しずつ取り入れることがポイント。

 ・毎食「片手手のひら1枚分」程度
・朝食に卵やヨーグルトを加える

● ビタミンD

ビタミンDは、免疫を「高めすぎず、弱めすぎない」よう調整する役割を持つ栄養素。ウイルス感染への抵抗力とも深く関係しており、冬の免疫力低下と特に関連が深いとされています。

日光を浴びることで体内合成されますが、冬は外出時間が減ることや、日照不足で慢性的に不足しやすい季節。 更年期世代では骨の健康にも関わるため、意識的な摂取が重要です。


・鮭、サンマ、イワシ
・きのこ類(特に干ししいたけ)
※日光に当てたきのこはビタミンD量が増加

● ビタミンC・A

ビタミンCビタミンAは、鼻や喉、腸などの粘膜を健康に保つ重要な栄養素。粘膜はウイルスや細菌の侵入を防ぐ「最前線」のため、ここが弱ると感染リスクが高まります。

ビタミンCはストレスや寒さで消耗しやすく、更年期の自律神経の乱れでも不足しがち。ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。


・ビタミンC:ブロッコリー、パプリカ、みかん
・ビタミンA:にんじん、かぼちゃ、ほうれん草
・スープや炒め物など油を使った温かい料理で

● 鉄

は血液中で酸素を運び、免疫細胞がエネルギーを使って働くために不可欠な栄養素。不足すると「疲れやすい」「だるさが取れない」といった不調が出やすく、免疫力も低下します。

更年期は月経量の変化や食事制限の影響で、自覚のない鉄不足が起こりやすい時期。特に疲労感が強い人、風邪が長引きやすい人は注意が必要です。


・鉄+ビタミンCを一緒に摂ることで吸収率UP
・動物性鉄(レバー、赤身肉、魚)を適度に取り入れる

● 亜鉛

亜鉛は免疫細胞の生成・活性化を助け、傷ついた粘膜の修復にも関わります。不足すると、感染しやすくなるだけでなく、味覚低下や食欲不振につながることも。

更年期による食事量の減少や、忙しさによる加工食品多用の影響で、亜鉛不足になりやすい傾向があります。


・牡蠣、赤身肉
・卵、チーズ、ナッツ類
※過剰摂取には注意が必要なため、サプリ使用時は量を確認

● 発酵食品・食物繊維

免疫細胞の約7割が腸に存在するといわれており、腸内環境=免疫力といっても過言ではありません。更年期はホルモン変化やストレスで腸内バランスが乱れやすく、便秘や下痢を繰り返す人も多い時期です。

発酵食品で善玉菌を補い、食物繊維というエサを与えることで、腸の免疫機能がしっかり働きます。

 ・味噌汁+野菜
・納豆+海藻
・ヨーグルト+果物・きなこ

このように、免疫力アップは「これだけ食べればOK」という単純なものではなく、複数の栄養素をバランスよく、毎日の食事で積み重ねることが何より大切です。

更年期女性が意識したい“毎日の食べ方”

➀血糖値を安定させる

急な血糖値の上下は自律神経を乱し免疫にも悪影響を与えるため、糖質は食物繊維やたんぱく質と組み合わせて摂るのがポイント。

➁体を温める

温かい汁物や生姜・根菜など、体を内側から温める食材を取り入れると循環が良くなり免疫細胞の働きも高まります。

➂腸内環境を整える

発酵食品(納豆・味噌・ヨーグルト)と食物繊維で腸内の善玉菌を増やすと、腸が免疫機能の中心としてしっかり働きます。

④糖質・アルコールを控える

過度な糖質やアルコールは免疫細胞の働きを鈍らせるため、バランスを意識しましょう。

忙しい日でも、例えば朝食にたんぱく質+温かい汁物を入れるだけで免疫力の支えになります。

風邪・インフル予防に役立つ食材&メニュー

免疫力を高めるおすすめ食材は下記の通りです。

・粘膜を守る食材:にんじん・かぼちゃ・ほうれん草(ビタミンA・抗酸化物質が豊富)
・体を温める食材:生姜・ねぎ・味噌汁・根菜スープ
・良質なたんぱく源:鮭・鶏むね・豆腐
・免疫アップ菌活:味噌、納豆、ヨーグルト、キムチ(腸内環境を整える)
これらを組み合わせたメニューで、体の内側から冬の感染予防を支えます。

忙しい日でも簡単に作れる“冬の免疫UPメニュー”

鮭ときのこのホイル焼き

材料(1人分)
・生鮭 1切れ
・お好きなきのこ(しめじ・えのき等)ひとつかみ
・塩こしょう 少々
・バター or オリーブ油 少量

作り方
アルミホイルに鮭ときのこをのせる
②塩こしょう・油をかけて包む
③フライパンまたはトースターで10〜15分加熱


豆腐と卵のとろみスープ

材料(1杯分)
・絹ごし豆腐 1/4丁
・卵 1個
・鶏ガラスープの素
・水
・片栗粉 少量(省略OK)

作り方
鍋に水とスープの素、豆腐を入れて温める
②溶き卵を回し入れる
③とろみをつけたい場合は水溶き片栗粉を加える


発酵食品+野菜の腸活ボウル

材料(1人分)
・お好きな野菜
・納豆 or ヨーグルトorチーズ
・塩麴・レモン汁・オリーブオイル(各大さじ2):A

作り方
器に野菜を盛る
②発酵食品をのせる
③Aをかける

サプリ・漢方は必要?使う時の注意点

食事が基本ですが、どうしても栄養が不足しがちな場合はサプリメントで補うのも選択肢です。 ただし、特定の栄養素の過剰摂取や他の薬との飲み合わせには注意が必要です(特に鉄・亜鉛など)。

更年期の体調を整えるために漢方薬の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などが使われることがあります。ただし漢方は体質に合わせた処方が重要であるため、医師や薬剤師に相談して選ぶようにしましょう。


風邪がなかなか治らない、感染症を繰り返すなどの不調が続く場合は、医療機関で相談することもおすすめです。

無理をせず自分のペースで更年期の免疫ケア

更年期はホルモンの変化により、誰でも免疫力が落ちやすくなる時期です。それに冬の寒さ・乾燥が重なることで、風邪やインフルにかかりやすい状態になってしまいます。

しかし、毎日の食事を少し意識するだけで、カラダの防御力の底上げが期待できます。たんぱく質・ビタミンD・鉄・亜鉛などの免疫に関わる栄養素をバランス良くとることが大切です。

さらに、疲れが取れない・風邪が長引くなど「免疫低下のサイン」が続く場合は、サプリや漢方の力を借りるのも一つの方法。無理なく元気を維持するためのサポートツールとして上手に活用しましょう。

冬はまだ続きます。今日の一食から、あなたのカラダを守る食事にシフトしていきませんか。

出典

 1)https://e-jmm.org/pdf/10.6118/jmm.21011?utm_source=chatgpt.com

栄養士が解説 風邪やインフルに負けないための冬の食事とは?

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

「TRULY」LINE公式アカウント

女医や専門家による正しい情報を配信中!

この記事を書いた人

藤本崇代のアバター 藤本崇代 【栄養士】

野菜ソムリエ
ナチュラルフードコーディネーター
食育インストラクター

大手料理教室にて健康と美容に関するレシピ開発やセミナー開催の経験を経て、個人事業主として独立。その後、卵子凍結を目的としたクリニックにて、食事のアドバイスや簡単にできるクッキング教室を運営。その他、大手家電メーカーの調理器具を使ったレシピ開発などに携わってきました。2023年9月から息子と2人でマレーシアに母子留学中。
TRULYでは人生のさまざまなステージにおいて、おひとりお一人が心豊かに過ごせるように食の面からサポートしたいと思います。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

<専門家の皆様へ>
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。

目次