更年期の耳鳴りはなぜ起こる?原因と対処法・受診の目安を解説

更年期の耳鳴り 病院に行く目安を解説
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「最近、耳の中でキーンという音が聞こえる」

更年期世代でこうした耳鳴りに悩む女性は少なくありません。

耳鳴りは加齢のせい、疲れているだけ、と軽く考えてしまいがちです。しかし、耳鳴りには他の病気が隠れている可能性もあり、放置すると日常生活に影響を及ぼすことも考えられます。

この記事では、耳鳴りと更年期との関係にフォーカスして、考えられる原因、受診の目安、セルフケアのポイントを解説します。

目次

更年期に耳鳴りが起こるのはなぜ?

更年期の耳鳴りは、耳そのものの病気だけでなく、体の内側の変化が影響して起こる場合があります。特に女性ホルモンの変動に伴う自律神経の乱れや、更年期特有の不調が重なることで、耳鳴りを感じやすくなる傾向があります。

ホルモンバランスの変動と自律神経の乱れ

更年期に耳鳴りが起こりやすくなる理由の1つは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少による自律神経の乱れです。エストロゲンの分泌が不安定になると、血流調整や神経の働きに影響が及び、内耳の循環が低下しやすくなります。

これにより、聴覚に関わる神経が過敏になり、耳鳴りやめまいを引き起こすと考えられます。

更年期症状による睡眠不足・ストレス

耳鳴りは、心身のストレス、疲労、睡眠不足といった要因で悪化しやすい特性があります。12更年期には、ホットフラッシュや動悸などの症状で夜間に目が覚めやすく、これが疲労や睡眠不足につながります。

さらに、更年期症状自体による精神的な心労や不安も加わり、自律神経のバランスを崩すケースも珍しくありません。こうした要因が重なり、耳鳴りが起こりやすくなります。

更年期が関係している可能性がある耳鳴りの特徴

更年期と関連が深い耳鳴りとして、ほてりや発汗など他の更年期症状と同時に現れるケースが挙げられます。

睡眠不足が続いた日の翌日や、心身に大きな負担がかかった後など、疲労やストレスが溜まった際に耳鳴りを感じることもあるでしょう。また、めまいや頭痛などの不定愁訴を伴うことも珍しくありません。

さらに、検査では器質的な異常が見つからないという点も、更年期が関係している耳鳴りの特徴の一つです。

更年期の耳鳴りをラクにするためのセルフケア

更年期の耳鳴りは、自律神経の乱れや血流の低下が原因となっているケースが多いため、日常生活で心身のバランスを整えるセルフケアが重要です。

耳鳴りの症状を悪化させるストレスや疲労を軽減し、内耳周辺の血行を促すために、以下の方法を意識して取り入れましょう。

十分な睡眠と休息をとる

質の良い睡眠は、乱れた自律神経を整えるための基本です。

寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は避け、リラックスできる環境を整えましょう。また、毎日決まった時間に就寝・起床すると、体のリズムが整いやすくなります。昼間でも、疲れたと感じたら無理をせず、短時間の休憩や仮眠を意識的に取り入れましょう。

ストレスを溜めない

ストレスは自律神経を過度に緊張させ、耳鳴りの悪化に直結します。自分に合ったリラックス法を見つけ、こまめにストレスを解消することが大切です。2)

例えば、ストレッチやヨガ、深呼吸は、心身の緊張を緩め、自律神経を整えるのに役立ちます。また、読書など、自分が夢中になれる趣味の時間を持つことは、思考を耳鳴りから遠ざけ、気分転換につながるでしょう。

運動・入浴・ツボ押しで血行を促す

耳鳴りの原因の一つである内耳の血流低下を改善するためには、全身の血行を促すケアが有効です。

日光を浴びながらの散歩や軽いストレッチ、ウォーキングなどの運動を継続的に行いましょう。血行を促進し、自律神経の働きを整えることにつながります。また、38〜40℃程度のお湯にゆっくりと浸かることで、全身の血管が広がり、血流を手軽に改善することができます。

さらに、耳鳴りに効果的とされるツボ押しも血流を改善する効果が期待できます。

  • 聴宮(ちょうきゅう):耳の穴の付け根、口を開けたときにへこむ部分にある
  • 翳風(えいふう):耳たぶの裏側、骨のくぼみにある

上記のようなツボを優しく押してみましょう。

静かすぎる環境を避ける

実は、静かすぎる環境だと脳が耳鳴りに意識を集中してしまいやすくなるとされています。2)

そのため、自然の音源(波の音、小川のせせらぎなど)やリラックスできる音楽を流し、静かすぎる環境を避けましょう。

耳鳴りの音を完全に消し去るのではなく、耳鳴りが際立たない程度の音量で音を流す「部分マスキング」を行うことがポイントです。これにより、耳鳴りへの注意をそらし、脳を徐々に音に順応させる訓練となります。3

こうした対策は、夜間、耳鳴りが気になって眠れない場合にも活用できます。

「受診が必要な耳鳴り」のサインとは?

耳鳴りの原因の中には、放置すると聴力や健康に深刻な影響を及ぼす疾患が隠れていることがあります。

特に、急激に発症したものや、特定の症状を伴う耳鳴りの場合は、治療により軽快する可能性も高いため、早期に耳鼻咽喉科を受診することが強く推奨されます。

以下のような耳鳴りのサインが見られた場合は、速やかに専門医に相談しましょう。

難聴を伴う

耳鳴りのほとんどは、難聴が原因で起こるとされています。その中でも、急激な難聴(片耳)を伴う場合は、なるべく速やかに受診することが推奨されます。2)

例えば、突発性難聴は、片耳に高度な難聴と耳鳴りが起こる疾患で、発症後1週間以内の早期治療が聴力回復につながります。

難聴を伴う耳鳴りは、以下のような病気のサインである可能性も否定できません。2)

  • 聴神経腫瘍
  • 中耳炎
  • 耳硬化症
  • 外リンパ瘻

めまいを伴う

耳鳴りや難聴に加えて、激しいめまいを繰り返す場合は、内耳の平衡感覚に関わる器官の異常が疑われます。

代表的な疾患として、耳鳴り、難聴、回転性の激しいめまいの3つの症状を繰り返すメニエール病が挙げられます。4

ストレスや疲労が引き金になることが多いとされ、更年期の自律神経失調症と症状が似ているため、見過ごされがちな点に注意が必要です。

片側だけ耳鳴りがある

左右の耳で症状に差があり、特に片側だけに強い耳鳴りが続く場合は、その耳自体に原因がある可能性が高く、詳細な検査が必要です。

考えられる疾患には、以下のようなものが含まれます。2)

  • 中耳炎
  • 突発性難聴
  • メニエール病 など

メンタルや日常生活に支障が出ている

耳鳴りの原因が更年期によるものであっても、その症状のために日常生活に重大な影響が出ている場合も、専門的な介入が必要です。

耳鳴りによるストレスや睡眠不足が重なると、うつ状態や不安障害を引き起こすことがあります。このような場合、耳鼻咽喉科での治療と並行して、精神科や心療内科での治療が必要となることがあります。

耳鳴りそのものへの治療に加え、メンタルケアを行うことで、症状の感じ方や生活の質(QOL)の改善が期待できます。

緊急性あり|激しい頭痛を伴う

耳鳴りに加えて、激しい頭痛拍動(ドクドクという脈打つような音)を伴う場合は、脳や血管に異常がある可能性も否定できません。2)

硬膜動静脈瘻や脳腫瘍など、脳や血管の病気のリスクが考えられるため、自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。

可能であれば、脳神経外科や神経内科と連携がとれる病院を受診しましょう。

耳鳴りは治る?医療機関で受けられる治療法

耳鳴りの治療法は原因によって異なります。まず耳鼻咽喉科で診察と検査(聴力検査、画像検査など)を受け、治療が必要な病気が見つかった場合はその治療を優先します。

原因が特定できない、または生活に支障がある場合は、耳鳴りそのものに対する治療が検討されます。

主な方法として、血流改善薬や漢方薬などの薬物療法、補聴器や音源を用いる音響療法(TRT)、そして耳鳴りへの不安を和らげるカウンセリングがあります。更年期症状が強い場合は、婦人科と連携した治療も有効です。

更年期の耳鳴りは一人で抱え込まず相談を

更年期の耳鳴りの多くは、ホルモンバランスの変動や自律神経の乱れ、それに伴うストレスが複雑に関わって起こります。症状を一人で抱え込むと、不安が増大し、かえって耳鳴りを悪化させる悪循環につながる可能性もあります。

まずは危険な疾患を除外するために耳鼻咽喉科を、更年期症状が強い場合は婦人科や更年期外来を受診しましょう。

セルフケアと専門家による治療を並行し、症状の緩和と自分に合ったセルフケアを取り入れることが大切です。つらい耳鳴りは決して無理せず、専門家に相談してください。

参考

  1. 厚生労働省|女性の健康推進室ヘルスケアラボ, 更年期障害とは? ↩︎
  2. 一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会|耳鳴りのこと、知っていますか? ↩︎
  3. 厚生労働省|女性の健康推進室ヘルスケアラボ, めまい・耳鳴り ↩︎
  4. 一般社団法人日本聴覚医学会|耳鳴診療ガイドライン2019年版, 耳鳴の治療 ↩︎
更年期の耳鳴り 病院に行く目安を解説

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この記事を書いた人

髙橋マキのアバター 髙橋マキ 【看護師】

・認定フェムテックシニアエキスパート(日本フェムテック協会認定資格1級)
・化粧品検定2級

看護師歴28年
都内の総合病院を中心に、循環器内科・ICU・CCUなどで勤務。切迫流産のため120日間の入院生活を経験。
育児・引越しを機に、キャリアチェンジを行う。ライフステージの変化に伴い、女性には多くの健康課題があることを痛感。
多くの女性の課題解決につながるよう、情報発信を行なっている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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