閉経したら病院へ行くべき?受診する3つのメリットをご紹介
「閉経したら病院にいくべき?」
「閉経後、体調に変化を感じるけれど、これが普通なの?」
閉経はすべての女性が経験する、自然なプロセスです。
しかし、病院に行くべきか迷う方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、閉経した方や閉経の可能性がある方に向けて、受診を検討すべきポイントを紹介します。
からだの変化が正常かを確認し、安心した毎日を過ごすために正しい知識を獲得しましょう。
閉経が近づくとどうなる?|更年期との違い&閉経前後におこる症状
閉経が近づくと、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまな症状があらわれます。
今回は、閉経前後であらわれるおもな症状と、更年期との違いについてくわしく解説します。
閉経と更年期の違い
閉経とは、卵巣の機能が低下し、月経が永久に停止することです。1)
閉経と診断されるには「12ヵ月以上、月経がないこと」が指標のひとつです。1)
そのため、月経が停止した直後に閉経と診断することはできません。
一方、更年期は、閉経前後5年間の約10年間をさします。
日本女性の平均閉経年齢は50.5歳であるため、45〜55歳頃に当てはまることが一般的です。
更年期には、ホルモンバランスの変化によってさまざまな症状があらわれます。それらを更年期症状といい、更年期症状が日常生活に支障をきたすようになると、更年期障害とよばれます。2)
つまり、閉経は更年期に起こる「月経の終わり」です。
閉経前後にあらわれやすい症状
閉経前後にあらわれやすい症状は、以下のとおりです。3)
- 発汗
- ほてり
- 寝つきが悪い、眠りが浅い
- 疲れやすい
- 腰痛
- 肩こり
- 手足の痛み
- 月経の変化
これらは、卵巣から分泌されるエストロゲンをはじめとした女性ホルモンの分泌が減少するために引き起こされます。2)
月経については、周期が不規則(月経不順)になったり出血量が変動したりするため、目に見えて変化がわかるでしょう。
ただし、すべての女性が同じ症状を経験するわけではありません。
症状の強さも人によって異なります。
日常生活に支障をきたすほど症状が強い場合は、適切な治療を受けることで症状の軽快が期待できるため、医師へ相談することをおすすめします。
「閉経で病院に行くべきか」の判断基準
閉経で病院に行くべきかの判断は「受診を検討すべき症状」と「ただちに受診するべきケース」に分かれます。
正しい受診の基準を知り、症状が深刻な事態になる前に対処しましょう。
受診を検討すべき症状
閉経の可能性がある方で、以下の症状があらわれている場合、婦人科を受診することをおすすめします。
- 不正出血
- 激しいめまいや動悸
- 耐えられない痛みや不快感
理由は、これらの症状の原因がホルモンバランスの変化ではない可能性があるためです。
たとえば不正出血の場合、子宮筋腫やポリープなどの病気がひそんでいる恐れがあります。
起こっている症状が更年期のホルモン変化によるものかは、医師の診察を受けなければ明確になりません。
閉経は女性のほとんどが経験する一方で、症状があっても病院を受診しない方が多いのです。
2022年の厚生労働省の調査で、更年期の症状を自覚する女性のうち「病院を受診していない」方が40代は81.7%、50代は78.9%いることがわかりました。4)
放っておくと病状の進行につながりかねません。
少しでも迷ったら、医師に相談したり、婦人科を受診したりしましょう。
ただちに受診するべきケース
すぐに受診すべきケースは、以下のとおりです。
- 閉経後に不正出血がある場合
- 更年期症状が日常生活に支障をきたすほどひどい場合
閉経後の不正出血はもちろん、更年期症状が日常生活に影響をおよぼしている場合も、婦人科を受診しましょう。
更年期症状のひとつである精神的な症状(気分の落ち込み、不安など)が進行すると、うつ病をはじめとする精神疾患へ移行する恐れがあるためです。
2022年の厚生労働省の調査では、更年期症状を自覚している女性のうち「くよくよしたり憂うつになることがある」と回答したのは、40代で49.1%、50代で49.2%でした。4)
半数近くの方が、抑うつ気分を実感しているにもかかわらず、受診しないという現実があります。
ホルモンバランスの変化によってあらわれる症状は、適切な対応で症状悪化を防げます。気になる症状がある場合は、放置せずに病院へ行きましょう。
閉経で病院に行くときに知っておきたい2つのポイント
閉経で病院に行くときは、以下のポイントをおさえましょう。
- 受診前の準備
- 病院で診察を受ける流れや検査内容
それぞれくわしく解説します。
1. 受診前の準備
受診の際にスムーズに答えられるよう、以下の内容を受診前に確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
月経 | 最終月経 出血の有無 月経周期の変化 月経が停止している期間 |
既往歴 | おもに子宮や卵巣、乳房に関する病気の既往 |
からだの症状 | 発汗 ほてり 肩こり 疲れやすさ 手足の痛み |
精神的な症状 | 不安感 気分の落ち込み |
生活習慣 | 睡眠習慣 仕事内容 ストレスの有無 嗜好(喫煙や飲酒など) |
閉経で受診するときは、ホルモンバランスに関連する既往歴や生活習慣についてくわしく尋ねられます。
症状の具体的な内容や頻度、開始時期などを明確にしておくと、より正確な診断につながります。
婦人科の受診は緊張してしまいがち。事前に自分の状態を整理し、メモしておくと落ち着いて診察を受けられるでしょう。
2. 病院で診察を受ける流れや検査内容
起きている症状が閉経によるものかを調べるために、病院では以下の診察や検査をおこないます。
- 問診
- 内診
- 血液検査
- 超音波検査
血液検査は閉経に関係するホルモン(エストロゲン、FSHなど)の値を測ります。
また、コレステロール値や血糖値なども同時に調べることで、ホルモンの影響によるからだの変化をくわしく知ることが可能です。
これらの検査結果を総合的に判断し、体調変化の原因が閉経や更年期症状であることを診断します。
閉経で病院に行く3つのメリット
閉経で病院に行くメリットは、以下のとおりです。
- 安心感を得られる
- 体調の変化の原因を明確にできる
- 専門的サポートを受けられる
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 安心感を得られる
閉経前後の身体的・精神的な変化は、女性に不安を与えます。
専門家の診察を受けることで、症状に対する正しい理解が得られます。
今後の体調変化に対する心構えができるため、安心して日々を過ごせるでしょう。
2. 体調変化の原因を明確にできる
閉経で病院に行くメリットのひとつは、不正出血や強い痛みが閉経に関連するものか別の病気によるものか原因を明確にできることです。
起きている不調が閉経にともなうものであり、症状が通常の範囲内であることがわかれば、不安を軽減できます。
万が一、異常が見つかった場合でも、早期発見・治療につながるため、安心して日常生活を送れるでしょう。
3. 専門的サポートを受けられる
閉経で病院に受診すると、医療的なサポートを受けられます。
閉経前後の症状が、日常生活に支障をきたすほど重症化している場合、ホルモン補充療法(HRT)をはじめとする専門的な治療を受けることで、症状の緩和が期待できます。
また、専門家から日常生活の適切なアドバイスを受けることによって、閉経にともなう症状をコントロールし、健康的な生活を送れるでしょう。専門家によるアドバイスは将来の健康維持にも役立ちます。
閉経は新たなライフステージのはじまり!心とからだをケアする第一歩を
閉経や更年期は、新たなライフステージのはじまりです。
だれもが経験するプロセスであり、からだの変化も自然なことです。
異常な出血や強い不快感がある場合でも、適切な治療やケアで快適な生活を送れます。
不安を感じた際には、医師に相談することで心身ともに安心感を得られるでしょう。
からだの不調を早期にキャッチし、正しいタイミングで受診することが症状の悪化や異常の早期発見につながります。
自分のからだを大切にし、必要なサポートを受けるために前向きな一歩を踏み出しましょう。
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ホルモンの変化にいち早く気づくことで、適切なタイミングでの受診に役立てられます。
1)働く女性の心とからだの応援サイト「更年期」女性特有の健康課題
2)公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害」産科・婦人科の病気
3)田仲 由佳「中年期女性における更年期症状と閉経に対する意識の実態」神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要p107-p113