貧血?更年期症状?違いと関係を解説

40代・50代の要注意!見分けにくい貧血と更年期症状
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息切れや動悸、めまい、疲れやすいといった症状は、更年期症状としてよく知られています。こうした症状を自覚した40代・50代の女性は、「更年期の症状かしら」と思う人が多いのではないでしょうか。

しかし、貧血によっても似た症状が起こることがあるのです。更年期症状と思いこんでしまい、貧血を見逃すことで、悩みが悪化したり長引いたりしてしまう可能性も。

今回は、貧血と更年期症状の違いや関係性、さらに貧血の対策についてもお伝えしていきます。

目次

「めまい・動悸・息切れ」更年期と貧血の見分けにくい症状

更年期と貧血には、共通している症状があります。

貧血で起こる症状

貧血とは、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という色素が不足した状態です。ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役目があるため、貧血になると全身に酸素が行き渡らなくなり、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、頭痛、眠気、疲労感などの症状が見られます。

血液検査で、成人女性で12g/dL未満の場合、貧血と診断されます。

貧血に似ている【更年期症状】

更年期症状は、閉経(平均50.5歳)の前後10年間に起こりやすい症状で、女性ホルモンであるエストロゲンの減少により引き起こされます。

のぼせやほてり、いらいらや肩こり、腰痛など様々な症状が見られますが、中でも疲労感や動悸、頭痛、めまいなどは貧血症状と共通するため、見分ける必要があります。

簡単にできる貧血チェック

貧血と更年期の症状は似ているため、自分の症状が更年期によるものなのか、それとも貧血からくるものなのか見分けにくいと感じてしまいますね。

そこで自分で簡単にできる「貧血チェック」をご紹介します。

下まぶたのうら側が白い
顔色が悪い
爪の色が白っぽい
爪が割れたり欠けたりしやすい

このような症状がある場合は貧血の要注意信号。受診して血液検査をしてもらうことをおすすめします。

40代・50代の女性に貧血が起こりやすいのはなぜ?

更年期に突入する40・50代では、女性ホルモンのゆらぎが原因で月経が長引くことがあります。8日以上続くと過長月経と呼ばれ、貧血を引き起こすことがあります。

また、ホルモンの影響で子宮の内膜が厚くなりすぎたり、これらが上手にはがれ落ちないことで、結果として大量に出血することがあります。これも更年期世代の女性に貧血が起こりやすくなる理由の一つです。

閉経前は「隠れ貧血」に注意

「健康診断の血液検査で貧血じゃなかったから大丈夫」と思っている人もいるでしょう。しかし閉経前で月経のある女性は、血液検査では見つかりにくい「隠れ貧血」に注意が必要です。

「隠れ貧血」とは、ヘモグロビン値は正常でも、体内にストックされている鉄分(フェリチン)が減った状態で、放置すると貧血になってしまう「貧血予備軍」を指します。

通常の血液検査では分からないことが多いので、貧血の症状がある場合は、フェリチン値の測定をしてもらうとよいでしょう。

【貧血対策】食べ物・サプリ・漢方

ヘモグロビン濃度が低下する原因で最も多いのは鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血の予防には、鉄などの必要な栄養素を摂る必要があります。

➀鉄分が含まれている食べ物を摂る

食品中に含まれる鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄はレバーや赤肉、赤みの魚に多く含まれ、非ヘム鉄は野菜、卵、牛乳などに含まれています。吸収率はヘム鉄の方がいいので、バランスよくいろんな種類の食事を摂りつつも、ヘム鉄をより積極的に摂取すると良いでしょう。

②サプリメントを活用

毎日忙しく栄養バランスの取れた食事を続けるのが難しい人も多いかもしれません。食事から十分な鉄を摂取するのが難しい場合は、サプリメントを活用してみてはいかがでしょうか。その場合も、食べ物と同じく吸収のいいヘム鉄のサプリメントを摂取することをおすすめします。

➂漢方の力を借りる

漢方における貧血治療では造血の役割を担う脾臓の機能を高めたり、血を補ったりすることが重要視されます。

代表的な漢方薬としては十全大補湯、動悸や息切れもあるようなら人参栄養湯、いらいらやのぼせがみられる場合は加味帰脾湯などが多く用いられます。

「貧血っぽい症状を放置しない!」原因に病気が隠れていることも

貧血と更年期には似ている症状があり見分けにくいこと、更年期は月経の変化から貧血になりやすいこと、そして貧血の対策についてをお伝えしました。

月経の変化以外にも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、悪性腫瘍や子宮筋腫などの病気が原因で、貧血を起こすことがあります。また、血液のもとになる細胞が上手く作れなくなるような病気もあります。

「更年期だから」「貧血くらい…..」.と放っておかず、貧血のような症状がある場合は一度受診してみましょう。月経に変化を感じている場合は婦人科へ、何科に行ったらいいかわからない場合はかかりつけの内科でもいいので相談してみて下さいね。

40代・50代の要注意!見分けにくい貧血と更年期症状

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この記事を書いた人

秋山真衣のアバター 秋山真衣 【薬剤師】

元国家試験予備校講師。

現在は薬局を経営する傍ら、薬剤師教育のための会社を設立し、婦人科系疾患やがん、接遇を専門に講義している。

TRULYでは、講師としての経験を活かして、医療記事やチャット相談回答をどなたにも理解していただけるようにお伝えしています。

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