【セックスレス】は予防できる?更年期からのコミュニケーション改革
性に関する悩みは誰しもが持っているものの、誰に相談をしたらいいかわからないと感じている人は多いのではないでしょうか。そこでTRULYが訪ねたのは、男女コミュニケーション心理士やセックスレス予防アドバイザーとして活動している小室友里さんです。
1999年にAV女優を引退して以来、口喧嘩からセックスレスまで男女が抱える幅広い悩みに日々向き合ってきた小室さんに、更年期世代のカップルが抱えるセックスの悩みや解決方法、そして自身の更年期との向き合い方などについてお答えいただきました。
Q. 小室さんは現在40代後半ですが、更年期に関するケアで実践していることはありますか?
恵まれていることにあまり身体的な変化を感じていないものの、お恥ずかしいお話をすると、走っているときに尿漏れしてしまうことが増えました。
最近マラソンを始めたばかりというのもありますが、特にカーブを曲がるときの尿漏れが多いですね。膣に重りを入れて鍛える海外の製品を以前いただいたことがあったので、それを使ってみようかなとちょうど考えているところです。
あとは、よもぎ蒸しの椅子を自宅に買ったので、できるときは週2~3回ほどするようにしています。体温を下げてはいけないと思って始めたものですが、使った日は本当によく寝れるんですよね。
Q. 精神的な面での変化に関しては、いかがでしょうか。何か意識されていることもありますか?
今はメンタルもわりとコントロールできるようになりましたが、以前は全然得意ではありませんでした。周りに当たってしまうこともあり、母や当時のパートナーに矛先が向かっていたこともあったと思います。そんななかできっかけとなったのは、離婚してシングルになったこと。先のことを考えたときに、「自分で自分をコントロールできないとダメだ」というところに行きつきました。
もちろん落ち込むこともありますが、自分が落ち込んでいることを自認できるようになってからはすごく楽になりましたね。そのおかげで、「いま落ち込んでるからお風呂に入るか」とか「とりあえず3キロ走りに行くか」みたいな感じで、自分なりの対処法が少しずつわかってきました。
Q. では、男女コミュニケーション心理士やセックスレス予防アドバイザーとして活動されるなか、更年期世代から寄せられる性の悩みには、どういったものが多いのかを教えてください。
女性の場合は「濡れにくい」「痛みが生じる」「眠い」といったものが多く、男性は「立たなくなった」「いかなくなった」「途中でダメになった」というのがほとんどです。
Q. そういった方々には、どのようなアドバイスをされているのでしょうか。
身体の不調は血液の問題も大きいので、その方の仕事内容や就寝時間、食生活、運動しているかどうか、などをお聞きして、どのくらい健康的な生活を送っているかを確認。
さらに、ストレスチェックを行ったうえで改善できる方法を提案させていただき、ご自身が長く続けられるものを試していただくようにしています。
Q. 更年期世代のカップルがコミュニケーションを取る際、気を付けたほうがいいことはありますか?
これは男性に多いですが、“こうしなければいけないセックス像”みたいなものがご自身のなかにあり、それが足を引っ張っているように思います。
「女性を楽しませてあげたい」と言ってはいるものの、「相手がどうして欲しいかを聞きましたか?」と尋ねると「聞いていません」とみなさんおっしゃるので。その思い込みはどこからきているのかというと、やはりこれまで見聞きしてきた情報の影響力が強いですね。
そういったこともあるので、まずは性の話ができる土壌作りが必要だと考えています。一見遠回りのように感じるかもしれませんが、いきなり「したい!」と言ったら、拒否されて終わってしまうこともあるので、少しずつ外堀から埋めていくのがいいのではないかなと。
このあたりはハラスメントもセックスレスも似ている部分ですが、「いままで自分が培ってきた価値観が実は違っていた」というのを受け入れるのが男性は難しい傾向にあると感じています。
Q. では、女性側が意識したほうがいいことはありますか?
「嫌だったら嫌だとすぐに言って欲しい」と男性はよく言いますが、まさにその通りだなと私も思います。「相手ががんばってくれているから」とか「相手の行為を無駄にしたくない」という女性の気持ちもわかりますが、小さなうちに「No」を渡しておかないと、むしろパートナーの勘違いを増長させることになってしまいますから。
はっきりと言ってあげたほうが男性も修正が効きやすいと思うので、自分の気持ちを伝えて交渉したほうがいいですね。その際、女性にとって重要なのは「No」と言っても嫌われない確信を持てるかどうか。言葉にしたときに雰囲気が悪くならないような信頼関係を普段から築いておくのは大事だと思います。
Q. 更年期世代のカップルで性生活を改善したいと考えている方に、アドバイスをお願いします。
男性も女性も血流の問題や睡眠不足などが原因で、20代や30代の頃と同じような成果を得られない年齢になってきています。
セックスにゴールがあるとすれば、男性は射精、女性はオーガズムを感じることだと思うかもしれませんが、更年期世代の方々はこのゴールを一旦横に置いてください。なぜならゴールを決めてしまうと、できないことが増えていったときにセックスをすること自体が嫌になってしまうからです。
それは更年期を迎えたカップルにとってはハッピーではないので、「時間を共有していることを目的にしましょう」と伝えています。結果を求めない時間の作り方を2人で一緒に考えながらセックスの形を変えていくと、60歳になっても70歳になってもスキンシップができるパートナーシップを築くことができるはずです。
AVのようなエンターテインメントの世界では過程は結果を作るためにありますが、そういうものを追い求める時期はもう終わり。ぜひ、その考え方を逆転していただきたいです。忙しい方が多いとは思いますが、まずはどうしたら時間を作れるかをおふたりで考えてみてください。
Q. 50代を目前に、ご自身が意識していることがあれば教えてください。
あと1年で50歳になりますが、いかに楽しく50代を迎えられるかがテーマ。
そのために髪の毛をキレイにしてみたり、マラソンをしてみたり、新しいプロジェクトを始動してみたり、同世代の女性たちが「本当はやりたかった」と思っているようなことを自分が率先してやっていくことが、私にとっては1つのチャレンジとなっています。
あと、最近になってカッコつけるのはやめました。それまでは水面下でバタバタしているのに、完璧っぽく見せようとしてばかり。でも、自分で作っていた壁をなくしたら、すごく楽になりました。
なので、いまはいかにポンコツに楽しく生きるかが一番ですね(笑)。それから、大切なのは自分の弱みを見せられる相手が男女問わず1人でもいること。みなさんも「ポンコツでもオッケー!」と言ってくれる人と一緒にパートナーシップを築いていっていただけたらいいなと思います。
小室友里
タレント
男女コミュニケーション心理士®︎
セクシー女優というキャリアスタートをもつ異色の講演家。ジェンダーサイコロジー(社会的男女心理)を生かした社内コミュニケーションやハラスメント対策研修・セミナー、逆境を乗り越えた女性の生き方講演会を全国で開催中。
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