この症状は更年期?自律神経失調症?違いと関係を解説

「更年期症状」と「自律神経失調症」見わける方法ってあるの?
  • URLをコピーしました!

「最近、疲れやすい」
「めまいや頭痛がある」
「気分が落ち込みやすい」

更年期世代の女性の中には、このような体調不良が更年期によるものなのか、自律神経失調症によるものなのか、分からずに不安を感じてしまう人が多くいます。

実は更年期症状と自律神経失調症は、どちらも自律神経の乱れが関係しており、共通する点が多いのです。

今回は、更年期症状と自律神経失調症にはどのような違いがあるのか、女性ホルモンと自律神経の関係、そして対処方法はあるのかといった内容をお伝えしていきます。

目次

「自律神経失調症」実は病名ではありません

ストレスなどにより全身倦怠感やめまい・頭痛・動悸などの症状があらわれる「自律神経失調症」。一度は耳にしたことがある人も多いと思いますが、自律神経失調症は正式な病名ではありません

明らかな身体・精神的な病気がないにもかかわらず、自律神経のバランスがくずれて起こる不調がある場合に、自律神経失調症と呼んでいます1。つまり、症状をまとめて表している名前なのです。

【自律神経失調症】【更年期症状】私はどっち?

自律神経失調症と更年期症状はどちらも自律神経の乱れが関係していますが、両者の違いや共通点についてくわしく解説します。

セルフチェックを比べると症状はほぼ同じ

自律神経失調症や更年期症状かもと感じたら、以下のようなセルフチェックをしてみましょう。

症状セルフチェック

症状がいくつか当てはまるようであれば、自律神経が乱れているサインかもしれません。ただし、両者の症状はほとんど同じであり、自身で見分けるのはとても難しいのです。

「原因」の違いと共通点

自律神経失調症と更年期症状は症状が似ていますが、その原因をたどってみると異なる点があります。

まず、自律神経失調症の主な原因はストレスや生活習慣の乱れによるもの。自律神経は、自分の意思とは関係なく呼吸・体温・血圧・消化などを24時間休むことなく調整しています。ストレスを抱えていたり不規則な生活を続けていたりすると、自律神経のバランスが乱れ、イライラや胃腸の不調などが発生します。

一方、更年期症状の主な原因は卵巣機能が低下することで女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少すること。女性ホルモンを分泌するよう指令を出している脳の視床下部は、実は自律神経の調整や睡眠・感情などをコントロールする役割も担っています。

そのため、女性ホルモンがうまく分泌されなくなると、視床下部は混乱し始め、自律神経の乱れにもつながってしまうのです。更年期にホットフラッシュ・頭痛・めまい・動悸・息切れ・疲労感・イライラ・不眠などが起こるのは、こうした理由からです。

このように自律神経失調症と更年期症状の原因は違いますが、結果的に自律神経が乱れることで、似たような不調を生み出してしまいます。

「違いはある?」自律神経失調症と更年期の治療

自律神経の乱れによる症状を感じたら、適切に治療することで症状を和らげることが可能です。自律神経失調症と更年期症状・更年期障害では、どのような治療が行われるのかについてご紹介します。

生活習慣の改善

自律神経失調症と更年期症状・障害の治療で共通しているのは、自律神経を整えるために生活習慣の改善が大切だということ。不規則な生活や睡眠不足などが続いていると、自律神経の乱れから回復しづらくなってしまうので、生活習慣を見直すことが重要です。

薬、漢方薬での対処療

不安や気分の落ち込みが強いときは抗不安薬や抗うつ薬、睡眠不足の場合は睡眠薬などが対症療法として用いられます。体質を改善するための漢方薬が処方される場合もあります。

ストレスや心へのアプローチ

自律神経失調症の治療として用いられるのは、ストレスや心へのアプローチです。ストレスとの付き合い方や自己理解を深めるために、精神療法(カウンセリング)や意識的に心身をリラックスさせる自律訓練法を取り入れる場合もあります2

女性ホルモンへアプローチ

更年期症状・障害の治療では、自律神経を整えると同時に、主な原因である女性ホルモンにアプローチします。更年期症状は女性ホルモンの分泌が減ることによるものですので、血液検査で女性ホルモンの値を確認します。

女性ホルモンが減少している場合は、不足した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)を行うことで、のぼせ・発汗といった症状を和らげることが可能です3

いずれにしても症状の程度や治療法は人によってさまざま。自律神経失調症が思い当たる場合は内科や心療内科・精神科、更年期症状・障害かなと感じる場合は婦人科で相談してみましょう。

セルフケアは共通《自律神経を整える》

自律神経を整えるためには、活動するときに働く「交感神経」とリラックスするときに働く「副交感神経」をうまく機能させることが大切です。効果的なセルフケアをご紹介しますので、自分に合う方法を取り入れてみましょう。

➀生活リズムを整える

まず大切なのは、生活リズムを整えることです。体にはほぼ24時間周期の体内時計が備わっています。しかし、昼夜逆転の生活や睡眠不足などで体内時計が乱れてしまうと、自律神経も乱れてしまうのです。

できるだけ起床時間と就寝時間を同じにして、質のよい睡眠をとるだけで、症状が改善する人も少なくありません。体内時計の乱れをリセットするために、朝起きてすぐに朝日を浴びるのもおすすめです。

②運動

適度な運動は、自律神経を整えることに役立ちます。運動することで、ストレスを発散できるだけでなく、うまく活動しづらくなった副交感神経の働きを高めてくれます。

自律神経を整えるためには、ゆったり気持ちよいと感じる程度の運動が効果的。たとえば、ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、自分が心地よいと感じる運動を取り入れてみましょう。

➂東洋医学の力【ツボ・漢方】

全身にさまざまな不調があらわれる自律神経の乱れには、体質や体のバランスを整える東洋医学の力を借りるのもおすすめです。

ツボは気がついたときに自分で押せるので、気軽に取り入れやすい方法です。たとえば、自律神経を整えるツボには次のようなものがあります。

労宮(ろうきゅう):手のひらの真ん中で中指と薬指の間にあるツボ。副交感神経を優位にして、ストレスによる不安やイライラの緩和、不眠の改善に効果があります。

百会(ひゃくえ):頭のうえで両方の耳を結んだラインと眉間から伸びたラインが交わるツボ。自律神経の乱れを整え、副交感神経を優位にします。リラックス効果だけでなく、全身の血行をよくしてくれる作用があります。

また、漢方薬は病院で処方されることもありますが、市販薬を購入することも可能です。たとえば、更年期症状や自律神経の乱れに用いられる漢方薬は以下のようなものがあります。

加味逍遙散(かみしょうようさん)のぼせや肩こり、疲れやすさといった症状だけでなく、気のバランスを整えてくれるため、イライラなどの精神不安の症状も和らげてくれます。

ただし、漢方薬は体質に合ったものを服用しないと、十分な効果が得られないことも。自分に合う漢方薬を選ぶためにも、まずは医師や薬剤師にご相談ください。

④アロマ

アロマ(精油)を取り入れながら、自律神経を整えるのも効果的です。アロマの香り成分は嗅覚を刺激して、脳の視床下部へとダイレクトに伝わります。

自律神経を整えるためには、ラベンダーやローズマリー、ベルガモットなどの柑橘系のアロマがおすすめです。緊張がとれないときや気分を落ち着かせたいときに用いることで、リラックス効果を素早く得られます。

自律神経と更年期が気になったら【MENOPO CHECK FOR WOMEN】

「自律神経失調症」と「更年期症状」症状がほぼ同じで判断が難しいこと、しかし原因は違うことをお伝えしました。

40歳以降、急激に減少していく自分の女性ホルモンの状態を知ることが、「自律神経失調症」と「更年期症状」を見分けるヒントのひとつになるかもしれません。

MENOPO CHECK FOR WOMENは、病院で血液検査をしなくても、自宅で髪の毛を切って送るだけで、いつでもどこでも女性ホルモンの検査をすることが可能なホルモン検査のキットです。

さらに更年期に特化したTRULYだからこそ、検査結果を知るだけではなく、学んだり相談したりと改善までをサポートします。

https://menopocheck.com

自律神経と更年期を意識し始めたら、こうした手軽なホルモン検査を活用して、自分の女性ホルモンの変化を知る習慣を作りましょう。


出典

  1. 厚生労働省「働くメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳 用語解説|自律神経失調症」 ↩︎
  2. 日本臨床内科医会「わかりやすい病気のはなしシリーズ19 自律神経失調症」 ↩︎
  3. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会『産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2020』 ↩︎
「更年期症状」と「自律神経失調症」見わける方法ってあるの?

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

「TRULY」LINE公式アカウント

女医や専門家による正しい情報を配信中!

この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

<専門家の皆様へ>
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。

目次