【ハラスメント】を生まない男女のコミュニケーション
恋愛関係や職場において、年々関心が高まっている問題といえば、ハラスメントやコミュニケーションについて。男女ともに、さまざまな疑問を持っている方は増えていると思います。
そこでTRULYがお話を伺ってきたのは、心理カウンセラーのスキルを活かし、男女コミュニケーション心理士として活躍している小室友里さん。
1990年代後半には“伝説のトップAV女優”とも呼ばれていましたが、現在はセックスレス予防アドバイザーや日本性科学学会会員などの肩書も持ち、さまざまな問題に取り組んでいます。今回は、活動のきっかけや男女がコミュニケーションを取るうえで大事なこと、増えている相談内容などについて、教えていただきました。
Q. まず、男女コミュニケーション心理士として活動をしようと思ったのはなぜですか?
男女間におけるコミュニケーション改善のお手伝いがしたいと思うようになり、起業したのが10年前のこと。ただ、当時は男女間といえば恋愛の問題しかなかったので、私の専門でもあるセクシャリティにフォーカスを当てることにしました。
そのため、初めの頃は「夜の生活相談員」や「ラブヘルスカウンセラー」という肩書きだった時期もありましたね(笑)。ところが、そこから世の中的に男女の問題は恋愛だけではなく、セクハラやパワハラも含まれるという認識に少しずつ変化。そこで、「男女コミュニケーション専門家」を経て、現在の「男女コミュニケーション心理士」となりました。
Q. 主な活動内容について教えてください。
5年ほど前から性の多様性や性教育の意味合いも変わってきましたが、いきなり「ダイバーシティ&インクルージョン」と言われても、そういう価値観が自分のなかになかった人たちがほとんどではないでしょうか。特に日本は世界から遅れている部分もあるので、まず知識を取り入れて理解を進めていく必要があると感じています。
そのための活動としては、企業からの依頼でハラスメント研修をしたり、パートナーシップのコミュニケーションについて1対1で相談に乗ったりすることが多いですね。「男女コミュニケーション心理士」に関しては、商標も取ったのでいずれ資格化したいと考えています。
Q. 企業の研修ではどのようなことをされているのでしょうか。
私の場合、主なテーマは「コミュニケーションを考える」。それをわかりやすく伝えるためにしているのが、紙コップを使ったワークです。どういったものかというと、自分が一番大切に思うものを紙に書いてコップに入れ、それを相手に渡す、というのを3回繰り返してもらいます。
その際、受け取り方を「片手で受け取る」「両手で受け取る」「握りつぶして受け取る」と徐々に変えていくのですが、それによって、受け取る側と渡す側の感情の違いを体感することができるのです。
「何を言ったらよくて、何を言ったらダメなのか知りたい」とよく聞かれますが、大事なのは言葉を受け取る相手がどう感じるか。ハラスメントは相手に言葉を渡すときの気持ちや温度感がかみ合わないときに起こりやすいので、そのギャップを埋めていくことがハラスメントの防止に繋がっているという説明をしています。
Q. 印象に残っている受講者の声などもあれば、お聞かせください。
社労士さんとコラボレーションをして、半日の研修プログラムを行うことがよくありますが、先日ある会社に伺ったときのこと。社長さんが私のことを「美人で有名な小室さんです」と紹介したんです。その方がまったく意図して言っていないのはわかっていましたが、これからハラスメントの話をするのに大丈夫かなと。
そこで、「モヤッとされた方はいませんでしたか?」と聞くところから急遽始め、「私が不快に思っていないので今回はハラスメントにはなりませんが、関係性を築き始めた頃が結構危ないんですよ」という話を例として取り入れました。研修が終わった後、社長さんからは「教えてくれてありがとう」とお礼を言われましたが、それくらい自覚もないうちについ口から出てしまうというのが現状だと思います。
Q.また、セックスレス予防アドバイザーとしても活動されていますが、こちらにはどのような悩みが寄せられることが多いのでしょうか。
私の場合は男女比が6:4くらいの割合ですが、ほとんどの相談者は1人。パートナーにセックスの相談をしていることを秘密にされていますが、ごくまれにご夫婦でいらっしゃることもあります。
「私にバレなければ外でしてきていいよ」とパートナーに拒否されてしまったとか、お互いに別の相手がいるご夫婦が関係を修復したいとか、いろいろなご相談をいただいています。
Q. セックスレスの悩みを抱えているのは、どの年齢層が多いですか?
私のところにいらっしゃるのは、特定の年代というよりも20代前半から60代くらいまでかなり幅広いですね。悩みとしては意外と同じような内容が多いかなという印象です。
ただ、若い世代は「今後セックスレスになるかもしれない」という漠然とした不安で、年齢が高い方々は「実際にセックスレスで困っている」といった傾向にあるように感じています。
いまはいろんなところから情報を得ることができますが、多すぎて自分に合う情報や本当に欲しい情報が見えなくなっているところもあるのかもしれませんね。
Q.では、正しい情報を得るために意識したほうがいい方法などがあれば、教えてください。
なかなか難しい問題ではありますが、情報にはいろんな角度があるので、医学的なものとセックスをエンジョイするためのものを同じ量だけ取っていくのがいいのかなと。メディカルなことだけ知っていても楽しめない場合もありますし、楽しむことだけに注力していると相手を傷つけてしまう場合もありますから。
どちらかに偏ることなく、バランスよく性の知識を高めていくのがいいと思います。
小室友里
タレント
男女コミュニケーション心理士®︎
セクシー女優というキャリアスタートをもつ異色の講演家。ジェンダーサイコロジー(社会的男女心理)を生かした社内コミュニケーションやハラスメント対策研修・セミナー、逆境を乗り越えた女性の生き方講演会を全国で開催中。
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