夫がストレスで体調不良? 「夫源病」と更年期の関係
私はときどき女性ホルモンに関するセミナーを行っているのですが、セミナー後「夫源病」と思われる悩みで個別カウンセリングを希望された40代前半の女性のお話を今回はお伝えします。
コロナ禍以降、家で過ごす時間が長くなり、今まで気づかなかった夫の側面が見え、夫の存在自体が疎ましく感じる方も増えているようです。
また「定年の夫がいるだけでイライラする。夫源病だって医師に言われました」とネタにして、主婦層から共感を得ている有名人もいるほど話題のキーワードです。
「夫源病」と更年期の関係、セルフチェックや対策についてお伝えしていきます。
女性とやりとりしながら「夫にだけつらくあたってしまう原因は何だろう?夫に不満があるわけでもなく、夫婦仲が悪いわけでもないようだし。」と疑問に感じました。
そして考えを巡らせた結果、私はこの女性はPMSや更年期でなく、いわゆる「夫源病」なのではないかという結論に行きついたのです。
「夫源病」とは?
医学的な病名ではありませんが、「妻の病気の9割は夫がつくる」の著者、石蔵文信医師が考案した呼び名で、夫の言動や存在自体がストレスとなり、妻の心身に不調があわられることを意味します。
主な症状は【頭痛、めまい、耳鳴り、動悸・息切れ、血圧上昇、不眠、情緒不安定、憂鬱感など】さまざまです。更年期症状と非常によく似ていますね。
しかし年齢に関係なく起こるため、更年期を無事に乗り越えた女性が、また同じような症状に悩まされることも少なくありません。
更年期との関係は?
和歌山県立医科大学の上山敬司医師らによると「更年期が原因となって夫源病が悪化する」と言われています。
40歳以降、徐々に女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が減少します。エストロゲンは体の機能維持だけでなく、ストレスに耐え得る心身のお守りの役目もあります。
このお守りホルモンの分泌が低下すると、今までスルーできていた夫に対するストレスに耐えきれなくなり、イライラや頭痛など様々な症状が起こるそうです。
どんな夫婦が「夫源病」になりやすい?
さて、先述の石蔵医師によると、もっとも厄介なご主人は「外づらのいい夫」だそうです。
先ほどの女性にご主人はどんな方か伺ってみました。
職場では順調にキャリアアップされているようです。また仕事だけでなくお子様のPTAの役員をしたり、地域ボランティアに参加したりと周囲の人からも「素敵なご主人で羨ましい」と言われるそうです。
そんなご主人に対し「イライラしてしまう自分が許せない。」と話してくれました。
- 人前では愛想が良いが、家では不機嫌
- 「上から目線」で話をする
- 家事には手を出さないが、口は出す
- 妻や子供を養ってきたという自負が強い
- 「ありがとう」や「ごめんなさい」が言えない
- 妻の予定や行動をチェックしたがる
- 仕事関係以外の交友関係や趣味がない
- 妻が一人で外出するのを嫌がる
- 家事の手伝いや子育てを自慢する「自称良い夫」
- 車のハンドルを握ると性格が一変する
- 我慢強く弱音を吐かない
- 自分の感情を表に出すのが苦手
- 世間体が気になる
- 良い妻、母はこうあるべきという姿がある
いかがでしたか。
多くあてはまるほど「夫源病」のリスクが高いため注意が必要です。
自分のことは諦めがちなあなたへ
ご本人がイライラの原因は自分にあると思っているため、更年期とストレス耐性についても触れてみました。
しかしあまりピンとこないようです。
控えめで美しく、誰からもよい奥様と言われるタイプの女性です。
しかし一方で、自分で自分を枠にはめてしまい、新たな可能性を見出せないようにも感じられました。
この女性に限らず、若くして結婚・出産した女性は「家庭があるから」「子どもがいるから」などの理由で何かと自分の夢を諦めがちです。
また若い間は子育てに夢中で、夫婦の関係について考える暇もなかったかもしれません。
しかし長く連れ添っているうちに、お互いに甘えた関係にもなりがちです。
「これくらいわかっているでしょう」「なぜあなたがやってくれないの」
もしかしたら相手も同じように思っているかもしれません。
あたり前のことを言葉にしてコミュニケーションを取り、お互いにとってストレスとならない関係性を見出すことが、更年期以降の夫婦には必要なのでしょう。