【薬剤師】岡下真弓
オリモノの様子がいつもとなんだか違う……、そんな時みなさんはどうしていますか?市販の薬で対処しようとしても、薬剤師さんに相談するのもなんだか気が引けますよね。
今回は薬剤師の岡下さんが、オリモノについてとオリモノの変化によって分かる病気についても解説します。
----------------
みなさんこんにちは。薬剤師の岡下真弓です。【薬剤師の体験談】シリーズは私がこれまで患者さんと接してきた経験の中で、とくに印象的だった方のエピソードをご紹介し、その体験から得た学びやメッセージをみなさんにお届けしている連載です。
今回はオリモノの話。なかなか受診や相談がしにくいかもしれませんが、オリモノの変化によって、隠れていた疾患が見つかる可能性もあります。
----------------
薬局で働いていると、いろんな相談を伺う機会があります。
「病院に行くほどでもないが、いつもと何だか違う」
「これって何だろ」
「気のせいかも」
気にしない様にしなきゃと思えば思うほど、気になるものです。
今回は、こっそり相談に来られた60代の女性の話です。
「やっといたわ。いつ覗いてもあなたがいないから、何回足を運んだかわからない」
「すいません。何度も足を運んでいただいて」
私は不定期のパート勤務の為、患者様から「いつ出勤しているのかわからない」と、クレーム? を伺います。
「ところで、私でなきゃいけないことって何でしょうか?」
その当時勤務していた薬局のメンバーは非常に優秀であり、薬のことならば、私でなくても答えらえるはずです。
しかもその女性は、多くの疾患を患っており、若い男性薬剤師がかかりつけで、いつも楽しそうに話しています。
だから、なぜ私が? と不思議に思っていました。
「だって男性にシモの話はしづらいでしょう……?」
「なるほど。そういうことでしたか」
若い男性薬剤師には言いづらいものですよね。
「最近ショーツが汚れて、洗濯しても落ちないほどひどくて。これってどこか悪いのかしら?」
「オリモノですね」
「オリモノ? 性病のこと? 何年も彼氏がいないから、伝染らないわよ」
女性の笑い声が薬局に響き渡りました。
オリモノと一般的には言われていますが、医療の世界では帯下(たいげ)と言います。
女性の性器からの血液以外の分泌物をおりもの・こしけと言いますが、専門用語として帯下(たいげ)と言います。
原因によって白色、膿を持つもの、血液のような帯下になります。
膣内にいる、乳酸桿菌(かんきん)という善玉菌が乳酸を分泌するため、少しすっぱいにおいがします。月経周期によって変化し、一般的に月経前はにおいが強くなりやすいと言われています。
子宮や膣の分泌物、子宮や膣からはがれた古い細胞が、老廃物として排出されます。これが帯下です。
個人差はありますが、排卵の時期や生理前に、量が増えます。
帯下はエストロゲンの分泌量に連動し、エストロゲン分泌量のピークを迎える時期に量が増え、減少時期に減っていくのが特徴です。
従って、閉経後はエストロゲンの分泌がほとんどなくなるため、通常は量が一気に減少します。
閉経前の女性の健康な膣内の細菌は、デーデルライン桿菌(かんきん)がほとんどを占めています。
このデーデルライン桿菌は、酸をつくりだし、膣内を酸性に保つことで他の菌の増殖を防ぎ、膣内環境を良好に保つことに役立っています。
しかし、更年期以降デーデルライン桿菌は減少します。
デーデルライン桿菌が減少すると、膣内は酸性状態を保てなくなり、細菌感染しやすい環境になります。
この女性の様に、下着を洗っても落ちづらいほどひどい場合は、なんらかの感染が考えられるため、婦人科で検査を行うことが望ましいです。
婦人科では帯下を下記のように診察するのが一般的です。
(あくまでも一般的な話なので、すべての医師がこの様に行うとは限りません)
そして私は先程の女性に、こう言ったのです。
「大概の場合は塗り薬か飲み薬で治るから、一度婦人科受診し、検査してもらってくださいね」
「また、脅かして」
「いえいえ、もしもの事もあるから、検査しておいた方がいいですよ」
体の違和感は何かのメッセージだから 無視しないでほしいのです。
他の記事も読みたい方へ
記事ページTOPはこちら・このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。
・専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。