【質問】血圧が高くなってきました。降圧薬をのむべきでしょうか? 一度降圧薬を飲むとやめられないと聞いたので、できれば飲みたくありません…。また年齢的に、更年期との関係はありえますか?

記事更新日: 2020/06/22 TRULY編集部

【監修医師】小杉理恵

  • 質問

    血圧が高くなってきました。降圧薬をのむべきでしょうか? 一度降圧薬を飲むとやめられないと聞いたので、できれば飲みたくありません…。また年齢的に、更年期との関係はありえますか?


  • 回答

    血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管の壁を押すときの圧力のことで、心臓が収縮したり拡張したりすることで発生します。血圧の値は心臓から押し出される血液量と、血管の収縮のしなやかさによって決まってきます。


  • 血圧が高いということは、血管に当たる血流の力が強い、すなわちそれだけ微細な傷が血管につきやすいことを意味しています。平均的に人間は1日大体10万回脈を打っているので、一回の血圧が20違うとしたら、1回ではそれほどの違いはないですが、1日10万回、1年では…と、血管のダメージが大きく進んでしまうわけです。


  • このように、高血圧の放置は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞・脳出血・大動脈解離・腎不全などの重大疾患を招き老化を促進させます。高血圧は特に症状がないことから、「沈黙の殺人者(Silent Killer)」と呼ばれています。

    長年にわたる健康調査などによって、血圧が高い人ほど心臓血管系の病気になりやすく、死亡率が高いこと、とくに収縮期血圧が140以上、拡張期血圧が90以上になると急に高まることがはっきりしています。健診や病院では普段と違う状況なので、血圧が高くなったり、時間によっては低くなったりすることもあります。そのため家庭血圧の測定が推奨されており、家庭血圧の場合は「135/85」が高血圧の基準となっています。ぜひ自宅や職場で血圧チェックをしてみましょう。


  • 高血圧の治療について「一度降圧薬を飲み始めると、やめられないのですか?」とよく質問を受けますが、薬をやめることができる人もいます。降圧薬は高血圧の原因を改善するわけではないので、やめてしまうと元に戻ってしまうといえます。しかし、降圧薬を内服しながら、生活習慣の改善などによって血圧が低下していく傾向があれば、降圧薬を次第に減量し、最後にはやめられる人も少なくありません。ただし、降圧薬は飲んだり飲まなかったりすると、逆に血圧の変動を大きくして血管ダメージが増加してしまうことがあるので、自己判断で中止はせず、主治医とよく相談して減量をすることが大切です。


  • 具体的な生活習慣の修正では、以下が代表的なものです。


  • 1 肥満の改善・予防 

    体格指数(BMI)25㎏/m²以上の人はとくに、2~3㎏の減量でも血圧は低下傾向となることが多いです。

    *体格指数 体重(㎏)÷{身長(m)}²


  • 2 減塩 

    日本人は塩分感受性が高い人が50%近くといわれています。塩分過多の人は減塩で降圧効果があらわれます。


  • 3 禁煙 

    喫煙直後は収縮期血圧が平均20上昇するといわれており、また喫煙習慣がある場合は1日の血圧も全体的に上昇してしまいます。


  • 4 節酒

    アルコールを飲んだすぐあとは血圧が下がりますが、継続して一定量以上を飲むと高血圧の原因になります。また、睡眠時にお酒が残っていると眠りの質が低下し睡眠不足に陥り、さらに血圧上昇の原因となります。寝る前の飲酒は睡眠時無呼吸症候群の悪化もきたしますので、寝酒はよくありません


  • 5 寝不足の改善、寒さやストレスの軽減

    寝不足、寒さやストレスなど交感神経への刺激があると、血圧は上昇します。しっかりと睡眠をとり、ストレスをなるべくためこまない生活を心掛けましょう。


  • 更年期と高血圧の関連ですが、女性ホルモンであるエストロゲンは血管のしなやかさを保つ作用があるので、エストロゲンの減少によって高血圧になりやすいといえます。また、ホルモンバランスの乱れから、自律神経のバランスが崩れやすく、血圧が上昇しやすくなります。更年期女性を対象にした研究では、ホットフラシュがあり、タバコを吸っている人は特に高血圧になりやすいといった結果も出ています。血圧は持続的に高いと、それだけ心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化疾患や、細かい多発脳梗塞で発症する認知症などになりやすくなります。早めからの血圧チェックが重要です。


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監修者プロフィール

【監修医師】小杉理恵

医学博士。 日本内科学会総合内科専門医。 日本循環器学会認定循環器専門医。 日医認定産業医。 人間ドック健診専門医・指導医。 北里大学医学部入学。北里大学病院にて初期研修終了後、関連病院にて心不全や心筋梗塞といった循環器内科領域の研鑽を積み、北里大学医療系大学院にて博士号取得。 北里大学病院循環器内科助教、北里研究所病院循環器内科医長、北里大学東病院健康科学センターを経て、北里研究所病院予防医学センター人間ドック科部長として活躍中。

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