【薬剤師の体験談】食欲が止まらない女性の話

記事更新日: 2023/02/18 TRULY編集部

【薬剤師】岡下真弓

  • 〜「閉経したら太る」と聞いたことがありませんか?また年を取るにつれて体重が自然に増えてきた、そんな経験がある方も多いはず。女性ホルモンと肥満について薬剤師の岡下さんが解説します〜




  • みなさんこんにちは。薬剤師の岡下真弓です。【薬剤師の体験談】シリーズは私がこれまで患者さんと接してきた経験の中で、とくに印象的だった方のエピソードをご紹介し、その体験から得た学びやメッセージをみなさんにお届けしている連載です。



  • 食欲が止まらないんです。お腹が空いているわけでもないのに、気がつけば何かを口に入れています。 

  • 年々ひどくなってきている気がします。体型もすっかり変わってしまいました。昔はこんなにスリムだったのにね。」

  • と言って数年前の写真を携帯の画面で見せてくださいました。


  • この女性に限らず若い頃より太ってしまうのは、50歳前後の女性によく見られる兆候です。

  • また、よくみなさんから質問される「閉経したら太る?」という疑問。

  • これは事実なのでしょうか?今日はホルモンと肥満の関係についてお話しましょう

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  • なぜ年齢を重ねると太ってしまうの?

  • 太る原因は様々です。

  • 例えば基礎代謝の低下。以前と比較して、同じ運動をしてもカロリー消費量が低下し、ご自身の「痩せのセオリー」が通じなくなってしまいます。

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  • なぜこのようなことがおこるのでしょうか?

  • エストロゲンには筋力を保つ働きがあります。閉経前後の急激なエストロゲンの分泌低下に伴い、筋力も低下します。

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  • そして食欲に関してですが、エストロゲンは食欲をコントロールさせる働きがあるのです。

  • エストロゲンは、脳の視床下部に存在する食欲中枢に作用し、食欲を増したり抑制したりします。

  • 閉経前後はエストロゲン分泌量の低下により食欲を増す働きがある「グレリン」と呼ばれるホルモンの働きが増強し、食欲が増します。

  • 食欲が増すと食事摂取量も増えるため、必然的に太りやすくなってしまいます。

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  • 健康的であるのは良いのですが、太りすぎには要注意です。

  • なぜならば、エストロゲンには骨量を維持する働きがありますが、閉経前後のエストロゲンの分泌低下により骨が脆くなるので、腰痛や膝痛などの関節障害などの原因になります。

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  • 肥満の定義

  • 脂肪組織に中性脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI 25以上。

  • ※BMI:体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)

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  • 分類

  • 単純性肥満(原発性肥満):生活習慣を背景に、過食、運動不足、遺伝要素からくる肥満

  • 二次性肥満(症状性肥満):特定の疾患が原因


  • 原因

  • ① 食生活

  • 脂質、糖質の過剰摂取や低タンパク質の食事。早食い、ながら食い満腹感を感じる前に食べすぎてしまい体重が増えてしまいがちです。

  • リモートワークや忙しい人はながら食いになりがちです。

  • どんなに忙しくても食事の時間を設けるように習慣づけたいですね。

  • ② 飲酒

  • おつまみなどのながら食いにつながります。

  • ③ ストレス

  • ④ 胎児期から幼少期の低栄養

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  • 改善方法

  • ① 食事療法

  • 1日の摂取カロリーを25Kcal✖️標準体重(BMI22✖️身長(m)✖️身長(m)以下に設定し、現在の体重から3~6ヶ月間で3%以上の体重減少を目指しましょう。

  • ② 運動療法

  • 仕事・家事・通勤などの日常生活でできる範囲で、こまめに体を動かすことを意識しましょう

  • ③ 行動療法

  • 起床時、毎食後、寝る前に体重を測る。

  • ④ 30回噛んでから飲み込む

  • ⑤ 薬物療法

  • ⑥ 外科療法


  • ⑤と⑥はどちらも専門医の治療を受けることをお勧めします。


  • 個人的には痩せているよりふくよかな女性の方が魅力的かと感じます。

  • しかし肥満は放置しておくとメタボリックドミノを招きます。


  • 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気を悪化させ血管を傷つけたり、もろくしたりして、やがて動脈硬化を引き起こしてしまいます。

  • その結果、心筋梗塞や脳卒中、腎不全などの重大な病気の原因ともなってしまうのです。

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  • 適度な運動、食事を摂り常にベスト体重でいたいものですね。

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  • 甘いものを食べすぎると低血糖になる?

  • さて、冒頭の女性ですが、美味しいスイーツや菓子パンが大好きで、SNSにアップするため話題のお店に行っては大量に購入していました。

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  • 3食の摂取量を減らしてカロリーコントロールしていたようですが、これが大きな落とし穴だったのです。

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  • 炭水化物を多く食べる人の場合、血糖値スパイク(※)によって食欲が止まらなくなっている可能性もあります。

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  • ※血糖値スパイク:急上昇した血糖値が「インスリン」の作用によって急降下する現象です。低血糖状態になるため、食べたばかりなのに空腹感を強く感じるようになります

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  • 「甘いものを食べすぎて低血糖になる」とお話すると、いつもみなさん驚かれるのですが、糖質(特に精製糖)を過剰に摂取する生活を続けていると、膵臓に多大な負担が掛かって、低血糖になることがあります。

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  • 理想的な食事のバランスを心がけて

  • 偏った食事の内容ですと、ビタミン・ミネラルが不足し、体の代謝が悪くなって低血糖を起こしやすくなると考えられています。

  • アルコールで肝機能が悪くなると、肝臓から「ブドウ糖の放出」が行われなくなって、低血糖を引き起こすこともあります。

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  • 理想的な食事バランスは

  • ・炭水化物:5~6割

  • ・タンパク質:2~3割

  • ・脂質:2割

  • と言われています。

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  • 毎食難しいかもしれませんが意識していると自然と身につくはずです。

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  • また、ストレスを発散させるために食べすぎる方もおられます。食べることは簡単で手っ取り早く満足感を得られるからです。

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  • 思い当たる方はどうか食べる以外のストレス発散方法も、今から見つけてくださいね。

ライタープロフィール

【薬剤師】岡下真弓

フリーランス薬剤師。JAAアロマコーディネーター協会認定講師。化粧品メーカー研究開発や薬剤師の知識を生かし、女性の健康と美容をテーマにした講演活動を行っています。 歳を重ねるにつれ、衰えや失われていくものはあります。また更年期世代は仕事で負う責任が大きくなり、後ろ向きな気持ちになりがちです。私は人の美しさとは、その人の生き方次第で変えることが出来ると多くの患者様から教わりました。「歳を重ねる事をネガティブに捉えずセクシーに健康に楽しみましょう」

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