【薬剤師の体験談】手首が痛むのは更年期の影響と思い込んでいた女性の話 《リウマチと関節痛について》

記事更新日: 2022/11/07 TRULY編集部

【薬剤師】岡下真弓

  • 〜 今回の薬剤師の体験談は、関節痛を更年期のせいだと思いこんでしまったという話。確かに更年期の症状に関節痛はあるのですが、更年期世代の痛みの原因はそれだけではないのです 〜



  • みなさんこんにちは。薬剤師の岡下真弓です。【薬剤師の体験談】シリーズは私がこれまで患者さんと接してきた経験の中で、とくに印象的だった方のエピソードをご紹介し、その体験から得た学びやメッセージをみなさんにお届けしている連載です。


  • 手首の痛みは更年期のせい?

  • 1ヶ月おきに整形外科の処方箋を持参する控えめな女性は、手首の痛みで受診しておられました。

  • かれこれ1年くらい、同じ鎮痛剤と胃薬の2種類の薬が処方されているのです。

  • その女性は50歳を過ぎていたので、「エストロゲンの低下に伴い、関節痛が生じることがある」旨を、服薬指導の際に私は伝えていました。

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  • ある日、処方日数が2週間に変更になっていたので「何か症状に変化があったのですか」と尋ねると「血液検査をしたので、結果を聞く為いつもより短いのです」と話されました。

  • そして、2週間後に持参した処方箋にはいつもの薬とリウマチの薬が記載されていたのですが、私は心の中で「しまった!痛みの原因をエストロゲンの減少からの関節痛と思いこんでいた…」とつぶやきました。


  • 彼女の手首の痛みの原因は、エストロゲンの減少が原因ではなく、リウマチによるものだったのです。リウマチの治療法は鎮痛剤だけでなく、免疫の異常に作用して、病気の進行を抑えるリウマチ薬を服用します。

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  • リウマチと更年期について

  • 更年期はエストロゲン低下に伴い、関節や腱の周りにある「滑膜(かつまく)」という組織の腫れや関節の炎症を招きます。

  • さらにエストロゲンの低下は神経を圧迫しやすくし、しびれが起こりやすくなります。

  • また朝のこわばり、手指の疼痛などが生じますが、この症状はリウマチでも現れるため、両方の側面から原因を探る必要があります。

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  • 以前、変形性関節症についての体験談を書きましたが、こちらもこの時期によく見られる症状です。参考にご覧ください。

  • 【薬剤師の体験談】親指の痛みを訴える女性の話

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  • 更年期世代の変形性関節症について

  • 朝のこわばり、手指の疼痛は更年期やリウマチだけではありません。もしかすると変形性関節症の痛みである可能性もあるのです。

  • 変形性関節症では、朝のこわばりや、指先の感覚異常,手を握りにくくなる、バネ指、手の指、関節部の痛みを感じる等の症状がみられます。

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  • 圧痛・運動痛があり、関節の腫れはさほど見られませんが、指全体の腫れがみられ、指輪がはまりにくくなることもあります。

  • 症状が第1関節に出るのは「へバーデン結節」第2関節に出るのは「ブシャール結節」親指の付け根あたりに出るのは「母指CM関節症」といわれます。

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  • いずれも軟骨がすり減るなどして痛みが生じ、進行するとモノがつかみにくくなる場合もあります。

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  • リウマチについて

  • 現在、日本においては70~100万人の患者がいると考えられています。また、罹患数には男女比に差があり、男性1に対し女性は2.5と女性が多く、中でも20~50代の女性に多くの発症が見られます。


  • 年齢的に更年期の症状かと思っていたら、今回の女性のようにリウマチが原因であったという可能性もあるため、注意が必要です。

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  • リウマチとは主に関節が炎症を起こし、重症化すると骨などが破壊され、関節機能を損なってしまう疾患です。発症部は全身の関節で、特に指(第二関節、第三関節)や手首、足などに起こりやすく、関節の炎症が血管などを介し全身に広がることもあることから、膠原病(こうげんびょう)の一種とも考えられています。

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  • 手の指は91%、足の指は43%の確率で症状が現れ、右半身の症状が出ると左半身の同じ箇所の関節にも症状が認められます。


  • *Harris ED Jr: Clinical features ofrheumatoid arthritis. Kelley's Textbook ofRheumatology(Ruddy S, Harris ED Jr,Sledge CB eds).6th ed,pp967-1000,2001

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  • 主な症状

  • 良く言われているのが朝のこわばりです。

  • 朝から家事をこなす機会が多い女性にとって、起きてすぐに関節が動かない症状は生活に支障をきたします。

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  • ・初期症状

  • 関節の炎症に伴うこわばり、腫れと痛み、発熱など

  • ・進行すると

  • 関節の軟骨や骨が破壊され、関節の脱臼や変形などが生じる

  • ・関節破壊が進んでくると

  • 日常生活や家事、仕事に支障が出て介助が必要になるなど、生活をする上での機能障害が進行します

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  • 病院での診断方法

  • 病院や医師によって異なりますが、一般的には以下のようなことを確認します。

  • 1つ以上の関節の腫れがあることをチェックします。

  • ・その後診察で、以下の項目を確認します

    • 腫れまたは痛みのある関節の数
    • 血液検査:リウマトイド因子、抗CCP抗体、炎症反応(CRP,ESR)
    • 関節炎の持続時間が6週間経っても継続しているか経過観察
  • (2010 ACR/EULAR関節リウマチ分類基準より)

    • リウマトイド因子:ヒトのIgGというたんぱく質に対する抗体で、関節リウマチ患者の約80%の方がリウマトイド因子陽性
    • 抗CCP抗体:陽性だと、関節リウマチである可能性が高くなる
    • CRP:体に炎症が起こると増加し、炎症の程度を示す
    • ESR血沈:体に炎症が起こると増加し、炎症の程度を示す
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  • 原因

  • 出産後、閉経前後の方などが発症しやすいため、女性ホルモンの影響ではないかと最近注目されています。

  • その他、かかりやすい体質、ウイルス感染や喫煙などが発症の引き金になると考えられています。

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  • 思い込みを防ぐためにも、知識を蓄えておくことが大事

  • 私は医師ではないので、目の前で困っておられる患者様の症状から、診断名をお伝えすることはできません。

  • だからこそ、患者様がいつも困っていることを医師の前で伝える時に、わかりやすく、効率良く伝えられるようにお手伝いをしているつもりでした。

  • しかし今回は、互いに更年期のせいだからと思いこみ、自分の体調の違和感を医師に伝えず、継続的に受診していました。

  • もちろん私はリウマチの知識も兼ね備えていましたが、なぜか出会った時からホルモンの影響だと思い込んでいたのです。

  • リウマチだけでなく、更年期の女性には、現れる症状が同じような疾患が、他にも多くあります

  • またこれらの症状に関しては、いつかお伝えできたらと思います。

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  • さて、その後その女性はどうなったのでしょうか。

  • 「痛みはどうですか?」

  • 「あまり変わらないので、鎮痛剤は欠かせないですね」

  • 指の関節の痛みよりも体のあちこちが痛むらしいのです。

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  •  もはやこの方が訴えている痛みはいったいどこが発生源であるのか……そう思いながら

  • 「お大事に。体冷やさないようにしてくださいね」

  • と声をかけました



  • 薬剤師岡下さんの過去記事はこちらから見られます!

  • 薬剤師の体験談シリーズ

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【薬剤師】岡下真弓

フリーランス薬剤師。JAAアロマコーディネーター協会認定講師。化粧品メーカー研究開発や薬剤師の知識を生かし、女性の健康と美容をテーマにした講演活動を行っています。 歳を重ねるにつれ、衰えや失われていくものはあります。また更年期世代は仕事で負う責任が大きくなり、後ろ向きな気持ちになりがちです。私は人の美しさとは、その人の生き方次第で変えることが出来ると多くの患者様から教わりました。「歳を重ねる事をネガティブに捉えずセクシーに健康に楽しみましょう」

・このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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