【薬剤師の体験談】若い頃と体型が変わってしまった女性の話
みなさんこんにちは。薬剤師の岡下真弓です。
【薬剤師の体験談】シリーズは。私がこれまで患者さんと接してきた経験の中でとくに印象的だった方のエピソードをご紹介し、その体験から得た学びやメッセージをみなさんにお届けしている連載です。
今回は患者さんではなく、私がお仕事で携わった保健師の方で、年齢とともに変わる「体型」についてのお話です。
加齢による体型の変化は誰しも経験するもので、興味がありますよね。
それでは今回の体験談をご紹介しましょう。
この数年で急に太ってしまった彼女。原因は女性ホルモンのバランス?
「私が言うと納得感ないわね」
保健師の女性が笑いながら私に話かけてきました。
私は薬局勤務以外に、自治体の健康診断会場でフレイル指導を担当しています。
この自治体では検診後にメタボリック指導、禁煙サポートなど該当希望者に対して様々な相談体制が整っています。
私に話しかけてきた保健師は、メタボリック指導を担当しています。
業務の合間にぽっちゃりした愛嬌のある彼女との会話はとても楽しく、私の検診業務の楽しみの一つでもあります。彼女が話すように、ぽっちゃりした体型の人から「メタボリックに気を付けましょうね」と指導受けても「あなたもね」と受診者さんから言われかねないことは彼女が一番よくわかっています。
彼女曰く、その日着用していたダウンジャケットのチャックが、今年に入って上がらなくなり
「昔は細くて、栄養指導受けるほどだったのにね」
「この数年で急に太っちゃったから、膝も痛くって」
指導者の立場にある保健師の方に、釈迦に説法と思いながらも、女性はホルモンバランスの影響で体型が大きく変化することをお伝えしました。
すると彼女は
「昔から生理不順でホルモンが乱れがちだった」「閉経もいつだったかわからない」と続け、
「仕事終わりのビールがやめられないから仕方ないね」
と、明るい彼女はケラケラ笑ってその場を立ち去りましたが、閉経を境に体型が変化した女性は多く見受けられます。
なぜ女性は閉経後に体型が変化するのでしょうか?
個人差もありますが、20歳代後半が最も体が引き締まっています。
30歳以降になるとウエストと腹部のサイズが少しずつ大きくなってきます。
50歳では腹囲はバストと同じサイズになり、ウエストは10cm、体重は約5kg増えると言われています。
参照:ワコール人間科学研究所
またサイズだけでなく、体型も変化します。
年齢と共にトップバストの位置が下がり、お腹がぽっこり出て、ヒップが垂れ下がり、ウエスト周辺から骨盤にかけて脂肪がつき、さらにウエストのくびれがなくなります。
また体型が変化する順序は皆共通です。
このように女性は年齢と共に、バストやヒップなどの女性らしさを象徴する部分が変化します。なぜならばエストロゲンには腰、臀部、太ももの周りに脂肪を蓄積する傾向がありますが、エストロゲン分泌量が低下する閉経前後になると内臓脂肪が増加するからです。
参照:PMID: 18045137
またダイエットで体重が減り、上半身の皮下脂肪と内臓脂肪が落ちてスリムになったけど、下半身のサイズは変わらなかった経験はありませんか?
それは上半身と下半身では脂肪のつき方に違いがあるからです。
上半身や皮下脂肪のつきやすい腹部は、脂肪細胞のサイズが大きくなりますが、太腿などの下半身は脂肪細胞の数が増えます。
年を重ねても体型を維持するために必要なこと
1. 骨量低下・骨密度の低下に気を付ける
骨は糖代謝やメタボリックシンドロームの発症と関係があり、骨、脂質、血管は互いに影響していると言われています。
例えば、
① 脂質の数値が基準値から外れている人は骨密度が低い、骨量減少傾向にある
② 骨粗しょう症の人は血中総コレステロール値が高い
③ 動脈硬化の指標となる脈波速度が高い人は、骨強度が弱い
④ メタボリックシンドロームの女性は骨折リスクが高い
などが挙げられます。
まだこれらの相関性には不明瞭な点もあり、今後さらに研究が深まる領域なので、わかり次第お知らせしますね!
2. 筋肉をつける
年齢と共に筋肉量は低下します。また筋肉の衰えは上半身より下半身に顕著に現れます。70歳代では20歳代の30%以上減少します。
体幹とは腹筋と背筋、つまり胴体の筋肉を指しますが、体幹は上半身と下半身を繋ぐ働きがあるため、これらが低下すると姿勢が悪くなるだけではなく、ぽっこりお腹の原因にもなります。
3. 下半身に皮下脂肪がつかないように意識する
女性を悩ますセルライトは、脂肪組織に老廃物が溜まったもの、脂肪細胞同士が付着してできる脂肪の固まり、リンパ液が固まったものなどと言われています。
普段あまり目にしない太ももの裏側やお尻などに凹凸のある皮膚を見て愕然としたことありませんか?
セルライトは見た目の悪さだけではなく、全身の代謝を悪化させ、循環も悪くなるため、ひどい場合は痛みを感じる人もいます。
また厄介なことに、外用薬や内服薬での治療では効果が認めにくく、外科的処置が必要です。
食べ過ぎや運動不足に注意しましょう。
スクワットやクロスクランチ、プランクなど下半身の筋肉に負荷のかかるトレーニングがおすすめです。
良い呼吸を意識してみましょう
毎回同じことばかりで恐縮ですが、質の良い食事を心がけ、正しい姿勢を意識し、無理のない範囲で運動をし、良い呼吸を意識しましょう。
人は忙しいと呼吸を疎かにしがちです。
緊張時は呼吸筋に加え首や肩、鎖骨周囲の筋肉、背筋も使い、息が上がった時のような呼吸をしがちです。
このような状態が長く続くと、肩凝りや筋緊張性頭痛の原因となります。
忙しいと季節の変化も見過ごしがちです。
そんな時こそ遠回りしてでも構わないので、緑の多いルートを選んでください。
人通りが少なければ、マスクを外して深呼吸もできればいいですね
様々な健康法が溢れていますが、無理のない範囲で、自分のペースで、毎日続けられる、あなただけのプチ健康法を選ぶことが大切です。
良い変化があれば教えてください。お待ちしております。