職場でのコミュ力を育てよう。4つのコミュニケーションタイプと建設的批判を育む方法
こんにちは。リレーションシップコンサルタントの此花わかです。
ビジネス専攻の大学生は、コミュニケーションやスピーチのクラスが必須教科であることが多いアメリカ。
小さなころから「自分とは何者か」を探求し、個を確立した上で他者と議論を建設的に進めるスキルを学校、家族やコミュニティから学びます。
そんな環境にいない私たち日本人は批判を受けると、パーソナルに捉えて感情的になってしまう場合がよくあります。
今回は、職場で人間関係を育むコミュニケーション、建設的議論やハラスメントにつながるマイクロアグレッションについてお話したいと思います。
コミュニケーションをとる5つの理由
人間は社会的な生き物であることから、お互いのニーズを伝え合うためにコミュニケーションをとります。
大きく分けて5つ理由があります。
①身体
食べ物や水など身体的に必要な欲求を満たすため
②安心
安全、安心や安定への欲求を満たすため
③自己肯定
自己肯定感や自己価値を満たすため
④自己実現
仕事に対するミッションや理想を満たすため
⑤敬愛
好意や帰属意識を与え・受け取り、感謝される欲求を満たすため (非性的・非ロマンティックな敬愛の情)
どんな関係においても基本的なコミュニケーションの目的は同じで、上記にセックスを加えると、ロマンチックなリレーションシップに当てはまります。
職場においても、感謝や好意など敬愛の情は必要とされます。
部下や後輩を指導する場合も、上記の理由から外れないコミュニケーションをとりましょう。
人は叱責されるよりも、自由でオープンなディスカッションからアイデアを生み出します。
誰かに注意・提案する時はあくまで業務にフォーカスし、本人の安心感、自己肯定感、自己実現を脅かすような言動は避けて敬愛の念をもって接します。
注意をする時も、まずは感謝してから注意するようにすれば、円滑なコミュニケーションがとりやすくなります。
自分のコミュニケーションタイプを評価してみよう! 4つのコミュニケーションタイプ
まずは自分のコミュニケーションを振り返ってみましょう。
①パッシブ(受け身)
自分の意見、気持ちや欲求を我慢していますか? 自分の心を声に出すことを遠慮していますか?
パッシブ・タイプは自分の状況に対し、「自分ではどうしようもない」と考えがちです。
例)
・会議で自分の意見を言わない
・誰かに反対意見を言われるとすぐに沈黙したり、意見を変えたりする
②アグレッシブ(攻撃的)
誰かを攻撃したり、犠牲にしたりすることにより、自分の意見・気持ち・欲求を主張していませんか?
周囲の人に威圧感を与えていませんか? 失礼な態度をとりながら自己主張していませんか?
アグレッシブ・タイプは相手を不快にさせ、相手のネガティブな感情を引き起こします。
この方法はお互いのストレスに繋がり、一時的に自分の意見が通っても人望を得られることはできません。
例)
・人が話をしているのに、遮って自己主張する
・感情的になる
・反対意見が出ると必要以上に攻撃的になったり、自分を守ろうとしたりする
・誰かをおとしてめることで自分の正しさを主張する
③ パッシブ・アグレッシブ(受け身の攻撃)
間接的に攻撃していませんか? 遠回しに非難していませんか?
あてこすりや皮肉を言っていませんか? 他人の意見に冷めた態度で対応していないでしょうか?
パッシブ・アグレッシブ・タイプは消極的に相手を攻撃します。
例)
・問題を先送りにする
・やると言ったことを忘れたフリをする
・心のなかでは反対しているのにその場では賛成し、陰口を言ったり、足を引っ張ったりする
・他人をコントロールしようとする
・遠回しに非難する
④ アサーティブ(主張的)
相手を思いやりながら、自分の意見・気持ち・欲求をオープンに表現していますか?
話す前に熟考し、尊重しながら合理的に自己主張することのできるアサーティブ・タイプが一番効果的なコミュニケーションです。
例)
・他人の意見を聞き、尊重しながら自己主張する
・問題を先送りにせず、問題には合理的な解決法を考える
・反対意見を述べる時にも「その意見はXXの長所があるけれども、ゴールを満たすにはXXの方が、XXの理由で効果的だと思う」など、まずは異論を尊重し、理路整然と話すことができる
・感情で議論しない、建設的な議論を進める
建設的批判の仕方とは?
ビジネスでは問題を解決し、新しいアイデアを打ち出すため、常に批判的な視点をもっていないといけません。
ところが、子供の頃から減点方式と呼ばれる日本の学校教育を受けてきた私達は、建設的な批判をする練習ができていませんよね。
建設的批判とは他者の行動を変えるために、相手を非難することなく、礼儀正しく助けになるようなポジティブな提言のこと。
まずはネガティブな批判の例をあげてみましょう。
ネガティブな批判
・「これは君の責任だ。何でこんなことをしたんだ?」と失敗にフォーカスする
・「何でこんなことが分からないんだ。何度同じ間違いをしているんだ。頭が悪いんじゃないか」と、相手の人格を攻撃する
・「天然ボケ」「不思議ちゃん」「XXさんは変わっているから」などと言う
・「これくらいの仕事ができないと、昇進は無理だね」などと脅す
こういったネガティブな批判は、人を傷つける凶器となるので気をつけましょう。
次に建設的批判の例をあげます。
建設的批判
・「見事なXXをありがとう。XXが分かりやすかったけれど、次はXXも入れるとXXが分かりやすくなるのではないだろうか」とポジティブとネガティブのバランスがとれた批判をする
・「先日のレポートを読むとXXという課題が浮かび上がるが、XXという解決法もあるのではないか。XXの視点のレポートも入れてみてはどうか。どう思う?」と”問題と解決法”を指摘しながらも、相手に”自分で考える”余地を与える
・「私はXXと捉えるが、君はどう思う?」「私はXXと指示したいが、君はもっとよい方法があると思う?」と相手が質問・アイディアを提案しやすくなるように仕向ける
建設的批判のコツは、ポジティブなトーンで自分が異なる意見を言う度に相手のフィードバックを聞くこと。そうすれば、相手は一方的に非難されたとは思いません。
ミスコミュニケーションとパラフレーズ
コミュニケーションの齟齬、“ミスコミュニケーション”を避けるには、相手の言葉の意味を”確認”することが大切。
ミスコミュニケーションを避けるために、相手が発した言葉を自分の解釈でもう一度聞いてみてください。
相手の言葉をより簡単な言葉に言い換えることで、その間に自分の考えをまとめることもできます。これを”パラフレーズ”と呼びます。
パラフレーズの例
・自分「先ほど、XXとお話されていましたが、それはXXするいう意味でしょうか?」
・相手「いえ、そういう意味ではなく、XXという意味でした」
・自分「なるほど。それもよい方法ですね。加えて、XXも選択肢として考えるのはいかがでしょう?」
・相手「確かに。両方試してみましょうか?」
このように、相手の意図をパラフレーズしながら確認することでミスコミュニケーションを防ぎ、相手へ自分の提言を盛り込むことができます。
相手の意見に対し必ずポジティブなフィードバックをして自分のアイディアを付け足し、また相手の意見を聞く。
これを繰り返すことでディスカッションが前に進み、問題解決へと向かいます。
ハラスメントに繋がるマイクロアグレッション
ハラスメントのなかでも、無自覚に行われているのが”マイクロアグレッション”。
マイクロアグレッションは、社会的・性的・民族的マイノリティが押し付けられているステレオタイプや、差別的な決めつけを助長するようなコメントのことです。
職場でNGのコメント
・「へぇ、ゲイなの? 私の友達はゲイだから会ってみない?」
・「(日本国籍を持っている人に)で、あなたは本当はどこの国の人?」
・「ハーフ?」「ガイジンなんだ」
・「障害があるのに頑張っていて、すごいと思います」
・「XX人の名前の発音って難しいよね」「きらきらネームすぎて名前が読めないよ」
・「若いのに部長さん?」
・「こんなキレイな方がいらっしゃるとは」
・「何でそんな恰好しているの?」「年がいもなく短いスカートはいているね」「その恰好、エロいね」
・「XX国の人は勤勉だから一緒に働けて嬉しいです」
職場において、性的指向、宗教、国籍や民族アイデンティティ、障害、年齢、外見や服装については誉め言葉でもコメントしないほうがよいでしょう。
飲み会やうちとけたパーティーであっても、こういったトピックスに関しては何も言わないことがプロフェッショナルな態度です。
プロフェッショナルとして敬愛を示したい時は、「先日のプレゼンは分析が優れていましたね」「レポートが分かりやすかったよ」など業務のことだけに留めておきましょう。
また、仕事関係の人と2人きりで話したい時は部屋のドアを開けたり、オープンエリアで話したりするのをオススメします。
そうすることでハラスメントやプレッシャーからお互いを守ることができます。
コミュニケーションの役割は”自分の正しさ”を主張することではなく、共通のゴールへ一緒に向かうこと。
相手のニーズ、安心感、自己肯定感や自己実現感を大切にし、尊敬の意を示しながらポジティブに前へ向いたディスカッションする。
難しく考えずに、「この人のアイデアをもっと知りたい」という好奇心をもち、率直に自分をオープンにすれば、口下手さんでも上手なコミュニケーションがとれるのではないでしょうか。