【薬剤師に質問!】更年期の治療と女性ホルモンの薬

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更年期などに関する治療や薬などの疑問があっても、それだけで病院へ行き医師へ尋ねるのはなかなか敷居が高いですよね。

でもネット上に落ちている情報だけを信じてよいものかどうかもわからない……。そんなみなさんのお悩みにお答えすべく、TRULYでは読者から寄せられた質問に対して、薬剤師がお答えするシリーズをはじめました。

現役薬剤師がみなさんの素朴な疑問にお答えしていきます。

第一回目の今回は「更年期の治療」に関していただいたご質問について、取り上げてみたいと思います。

更年期の治療は知る機会がなく、どんな治療があるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか?

更年期をはじめ女性の疾患に使用されることがある女性ホルモンの薬について、いただいた様々な質問にQ&A形式でお答えしていきます。

目次

Q. 更年期に近づいてきた友達がピルを使っていると話していました。ピルは更年期の治療にも使われるのでしょうか?

A. 一般的に更年期の治療にピルを使うことはありません。

ただし更年期障害の治療の1つであるホルモン補充療法では、40代後半から減ってくる女性ホルモンを補っていくために、飲み薬としてホルモン剤を使用することがあります。

一般的に、ピルとは経口避妊薬(OC:Oral Contraceptives)のことを言い、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンを配合した薬のことを指します。

ピルを服薬して血液中の2つの女性ホルモンを外側から補うことで、排卵を抑えます。この排卵を抑える効果を利用して、月経困難症やPMSの治療にピルを使用することもあります。

ピルも更年期の治療で使用される薬もホルモン剤ですが、含まれるホルモン量が異なります

Q. なぜ更年期障害の治療に、ホルモン剤を使用するのですか?

A. 更年期の症状を和らげエストロゲンの急激な低下を緩やかにするため、ホルモン剤を使用して外部から女性ホルモンを補います。

女性の体は閉経に向かう頃から女性ホルモン(エストロゲン)が下がってきます。すると脳は、卵巣にもっと女性ホルモンを出すようにシグナルを送ります。

そのシグナルが脳に不要な興奮を起こしてしまうことで、自律神経の調節がうまくいかなくなります。

このように、女性ホルモンの急激な減少に体がついていけず、自律神経や心身の不調が起こりやすくなる状態、これが更年期の症状の原因なのです。

ホルモンを外側から補充するため、ホルモン補充療法と呼ばれます。

Q. まだ月経があり今までピルは服用したことがありません。いきなりホルモン補充療法を受けることはできますか?

A. はい、大丈夫です。月経がある人でもホルモン補充療法で楽になる人もいます。

ホルモン剤は効き方に個人差があるので、一定期間使ってみて自分に合ったタイプのホルモン剤を医師や薬剤師と相談しながら探すのがよいと思います。

最初に使用したお薬が合わなかったとしても、いくつか種類があるので変更することも可能です。

Q. ホルモン剤のデメリットはありますか? ホルモン剤は避妊薬というイメージが強くて怖いです。

A. ホルモン補充療法は使用する薬剤により副作用のリスクが異なります。ほとんどの副作用は体が治療に慣れてくる1~2ヶ月後までに治まります。

<主な副作用>

  • 不正出血
  • 乳房のハリや痛み
  • おりもの
  • 下腹部のハリ
  • 吐き気

生理のような出血やだらだらとした不正出血が続くことがあるので、その場合は薬の頻度や量を調節したりします。このような症状が何ヶ月も続く場合は、別のお薬に変更することもあります。

その他に長期的に服薬を続ける際には注意が必要な副作用として、血栓症や乳がんがあります。

基礎疾患がある方に該当しないか、お薬を服薬できない人に該当しないかなどを確認し、ホルモン補充療法を行うリスクとベネフィットを確認して治療を選択していきます。

更年期で行うホルモン補充療法ではピルと違い排卵を抑える必要がないので、量が非常に少なく、生きていくのに快適に過ごせる最低限のホルモン量となっています。

医師や薬剤師と相談しながら正しく使用していただければ、不必要に恐れる必要はないと思います。

Q. ホルモン補充療法を受けたい場合はどうすればよいですか?

A. 婦人科を受診し、今のご自身の症状にあったお薬を処方してもらいましょう。

更年期の治療薬は飲み薬以外にもジェル剤や貼り薬があります。ご自身のライフスタイルにあったお薬を選択することが可能です。医師や薬剤師に相談してみてください。

更年期の治療は症状とライフスタイルに合わせた選択を

いかがでしたか? 今回は更年期障害の治療で使用するホルモン剤とその疑問についてお答えしました。

ご自身の症状とライフスタイルに合わせた治療を選択していくことが何よりも重要です。

更年期は心の面でも不安定になりやすい時期。不安や疑問に思うことはできるかぎり解消し、体の治療に専念しましょう!

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この記事を書いた人

福島梨沙のアバター 福島梨沙 【薬剤師】

薬剤師/薬学修士
ハーバルセラピスト
メディカルハーブコーディネーター
アーユルヴェーダアドバイザー

外資系製薬メーカーにて薬の副作用や安全性情報に関わる、その後、在宅訪問薬局に転職。薬局勤務の傍ら、吉祥寺にシェア型レッスンサロンオリーブケアを開業。「あたま・こころ・からだを健やかにする」をモットーに、気軽で楽しく生活に取り入れられるハーブ・アロマの提案や講座を開催している。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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