更年期に取り入れたい!【ハーブや精油】を使った自然の対症療法とは?

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女性に訪れる更年期。40代半ば頃からエストロゲンが減少するに伴って、人それぞれさまざまな症状が起こります。

エストロゲンの急降下が起こると、働きが悪くなった卵巣をもっと動かそうと、脳が興奮状態になります。

この脳の混乱により自律神経が刺激され、様々な症状が現れるのです。

体の不調はもちろんのこと、イライラしたり、涙もろくなったりと心の面に症状が出る方もいます。

今回は、代替療法の1つとして更年期の時期に味方になるハーブや精油(エッセンシャルオイル)をご紹介します。

目次

メディカルハーブのホリスティックな考え方

ホリスティックと自然療法

「ホリスティック」という言葉を最近よく聞くようになった方も、多いのではないでしょうか。

ホリスティック(Holistic)とは、「全体的」「全包括的」などと訳される「ホーリズム(Holism)」という言葉の形容詞にあたり、ギリシャの「ホロス(holos)」を語源としています。

派生語には、whole(全体)、heal(癒す)、 holy(聖なる)、 health(健康) などがあり、健康も「全体」に根ざした言葉です。

つまり、心も体も全体的に健康であることが、真の健康ということなのでしょう。

メディカルハーブは代替療法のひとつの「植物療法」

メディカルハーブは代替療法の1つであり、植物を使用した「植物療法」と呼ばれています。

代替療法では、健康な時の人の体は、全体的に一定のバランスが取れた状態になっていると考えます。

そしてそのバランスが崩れた時に、元の調和した状態に戻す力が働くと考えるのです。

これが自然治癒力です。メディカルハーブは植物の力を借りて、人間本来の自然治癒力を高めます。

メディカルハーブは、病気の治療を目的とした西洋療法と異なり、ホリスティック(包括的)な働きを期待して用いられます。

そのため、複雑に症状が起こる更年期との親和性が高いといえます。

メディカルハーブは、植物全体を使った天然のトリートメント

ハーブは人の生活に役立つ植物の総称です。

人間は昔から病気や怪我をすると、身の回りの薬草で自らを癒してきました。

現在、医療機関で使用される医療用医薬品の中にも、天然の薬草からヒントを得て作られたものも多数あります。

つまり、メディカルハーブは西洋・近代医学のルーツでもあるのです。

メディカルハーブは、私たちが普段食べている野菜や果物と同様に、葉、根、皮や花など、植物全体を用います。

植物にはアルカロイドやポリフェノールなどの植物化学(フィットケミカル)成分、炭水化物、種子に含まれる脂質、大豆のような植物性タンパク、根から吸い上げるミネラル、植物が作るビタミンなどのたくさんの栄養素が含まれています。

香りの成分である精油は、アロマテラピーで使用されるため、メディカルハーブの一領域として位置付けられています。

アロマテラピーは、精油(エッセンシャルオイル)を使う自然療法

アロマ(Aroma)は「芳香」、セラピー(Therapy)は「治療・癒し」を意味します。

つまり、アロマテラピーとは、ハーブなど芳香植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を用いる自然療法です。

日本でも、美容やセルフケアのツールとして馴染みのあるものになってきましたが、ヨーロッパをはじめとする世界各地では古くから薬草や芳香植物が民間療法に利用されています。

精油(エッセンシャルオイル)とは

精油は、植物の花、葉、果皮、樹皮、種子、樹脂などから抽出した天然素材で、有効成分を高濃度に含んでいます。

例えば、バラの精油1滴にはおよそ50輪のバラの花が含まれています。

それだけ、植物の成分とパワーが込められたものなのです。

なぜ精油は私たちの心と体に働くの?

精油成分が私たちの心と体に働くのは、以下の3つのルートがあります。

・鼻から脳のルート

芳香成分が鼻の奥にある嗅細胞を刺激し、その刺激が脳の大脳辺縁系へ伝達されます。

さらにそこから視床下部、下垂体へと伝わります。

大脳辺縁系の中には扁桃体や海馬と呼ばれる器官が存在し、芳香成分はここにもダイレクトに伝わります。

感覚器の中でも嗅覚は、唯一「情動」(怒りや悲しみなど一時的で急激な感情の動き)に伝わるといわれています。

香りを嗅ぐと、心が落ち着いてリラックスできるのも、このメカニズムによるものです。

・皮膚から全身のルート

芳香成分は分子が小さいため、オイルトリートメントなど外用で用いた場合は、皮膚の奥にある毛細血管にまで浸透します。

そして血液にのって、全身の筋肉や器官に運ばれます。

・鼻から肺のルート

鼻や口から吸収された芳香成分は肺へ到達し、肺胞から血液に流入して血液循環によって、全身の組織や細胞に運ばれます。

更年期におすすめなハーブや精油は?

ハーブと精油には、それぞれ女性ホルモンと同様の作用を持っているものがあります。

更年期におすすめのハーブや精油は、それらの種類のものです。

フィトエストロゲンとは

メディカルハーブの中には、女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用を発揮するものがあります。

それらは、植物ホルモン(フィトエストロゲン)と呼ばれています。代表的な成分として、大豆に含まれるイソフラボンがあります。

植物化学(フィットケミカル)成分は複合的に作用し、自立神経ー内分泌系の応答を調整し、心身相関的に働きます。

そのため、ホルモン分泌や自律神経の調整に優れているばかりでなく、心身に同時に働きかけることで様々な症状を緩和します。

クラリセージ精油

ホルモンバランスの乱れを調整します。月経痛にトリートメントや温湿布、芳香浴に用いられます。

クラリセージ精油

シソ科

使用部位:花・葉

クラリセージはマスカットのような甘い香りです。

女性ホルモンの分泌を調整する働きがあることから、更年期の主症状に、オイルトリートメントでよく用いられています。

また、精油成分に含まれるリナロールは痛みと気持ちを沈める働きに加え、筋肉弛緩作用もあり、緊張からくる肩こりや全身のコリをほぐしてくれます。

クラリセージ精油はホルモンバランスの周期によって匂いの感じ方に変化の出る方が多く、必要であれば心地よく感じ、必要でなければうっとうしく感じる不思議な精油です。

自分の状態を知るためのツールとして、日常に取り入れていただくのもおすすめです。

*心と体の緊張を緩める働きが強く現れることがあるため、運転前の使用は避けましょう。

ブラックコホッシュ

更年期のホルモンバランスを調整し、ホットフラッシュ、不安、抑うつに用いられます。

ブラックコホッシュ

キンポウゲ科

使用部位:根・根茎

北アメリカの先住民が古くから利用していたハーブ。

ホルモンバランスを調整するため、更年期症状のホットフラッシュ、不安、抑うつに用いられます。

月経痛や月経前症候群(PMS)にも用いられています。

主に、カプセル剤などのサプリメントとして販売されています。

*妊娠中、授乳中の方は使用しないこと。

ハーブや精油で、ストレスフリーの更年期を

いかがでしたか?更年期の症状別のアロマ&ハーブをご紹介しました。

このように、更年期症状を少し楽にする方法には、病院で治療をする以外にも自然の力を借りた対症療法があります。

今回の記事でハーブや精油を使う植物療法の考え方や、それぞれの使い方などを選択肢のひとつとして知っていただけたのではないでしょうか。

おすすめのハーブや精油を使いながら、楽しくリラックスして更年期を過ごしましょう。

ただし、改善しない場合や症状が重度の場合は、必ず病院で診察を受けることを覚えておいてくださいね。

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この記事を書いた人

福島梨沙のアバター 福島梨沙 【薬剤師】

薬剤師/薬学修士
ハーバルセラピスト
メディカルハーブコーディネーター
アーユルヴェーダアドバイザー

外資系製薬メーカーにて薬の副作用や安全性情報に関わる、その後、在宅訪問薬局に転職。薬局勤務の傍ら、吉祥寺にシェア型レッスンサロンオリーブケアを開業。「あたま・こころ・からだを健やかにする」をモットーに、気軽で楽しく生活に取り入れられるハーブ・アロマの提案や講座を開催している。

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